森林生態学・育林学研究室

Laboratory of Forest Ecology and Silviculture

研究室メンバー

博士課程1名、修士課程4名,学部4年6名

研究室の特徴

 森林樹木を主な対象として,森林が維持・更新する仕組みについて研究を行っています。特に,栃木と山形のブナ林やアジアの熱帯林に調査区を設け,長年にわたって,その中の樹木の成長・生残,結実周期,種子食性昆虫と結実周期との相互関係などを調べ,森林生態系の基本的な仕組みの解明に取り組んでいます。また,スギ・ヒノキ人工林や旧農用林などの人に利用されることで維持されてきた森林を,今後どのように育成していくのかといった実践的な課題や,遺伝解析を基にした森林植物の繁殖・更新様式の解明といった種生物学的な課題にも取り組んでいます。本研究室では,奥山から里山まで幅広い森林をフィールドとして,現場を重視した野外での生物の観察・実験と,室内での分析実験といった多面的なアプローチによって課題を解決する能力を身につけることができます。

研究テーマ

(1)自然林の更新過程の解明
(2)森林植物の生態,繁殖様式,地理的変異の解明
(3)森林生態系における放射能降下物の動態
(4)針葉樹人工林・落葉広葉樹二次林等の植生管理
(5)森林動物の生態と森林管理との関係の解明
(6)地域フロラ調査
(7)アジアの熱帯・亜熱帯林・温帯林の研究
(8)森林の病虫害の調査

研究室の活動

(1)毎週1回の研究室ゼミ:論文読解,植生・毎木調査法およびデータ解析方法の習得,卒論・修論研究
(2)公開植物観察会(3・4年生企画担当)
(3)学会参加(日本森林学会,日本生態学会,日本熱帯生態学会)
(4)季節行事:入室歓迎会(7月),修・卒業生追い出しコンパ(2月),卒業歓送会(3月)

過去の卒業・修士論文テーマ

(1)自然林の更新過程の解明
・栃木県高原山におけるイヌブナ・ブナ天然林の25年間の動態とイヌブナの萌芽更新の重要性
・山形県小国町における低木層が発達する日本海型ブナ天然林の29年間の林分構造変化
(2)森林植物の生態,繁殖様式,地理的変異の解明
・会津地方において栽培桐として利用されているキリ属種の識別
・植栽後30年が経過したカヤ植栽地における雌雄決定の要因の検討
・積雪量とシカ生息密度の異なる地域におけるサンショウの分布とトゲの有無
・キツネヤナギ、オオキツネヤナギおよび推定種間雑種の遺伝的関係
(3)森林生態系における放射能降下物の動態
・福島原発事故の影響を受けた広葉樹大径材内の放射性セシウムの挙動
・栃木県高原山のミヤコザサ群落の放射性セシウム動態
・初期沈着量の異なる栃木県内3地域におけるコナラ樹上枝葉からの樹幹・落葉の放射性セシウム濃度推定
・栃木県における初期沈着量が異なるコナラ林の落葉と表層土壌の事故後10年間の放射性セシウム動態
・ブナ科樹種大径木の放射性セシウム(137Cs)とセシウム全量の樹体内分布の違い
(4)針葉樹人工林,落葉広葉樹二次林等の植生管理
・高齢級コナラ林伐採9年後の複合更新の可能性
(5)森林動物の生態と森林管理との関係の解明
・栃木県八溝山域におけるニホンジカの生息密度推定
(6)地域フロラ調査
・宇都宮大学農学部附属農場におけるカラコギカエデの分布と群落構造
(7)アジアの熱帯・亜熱帯林・温帯林の研究
・ボルネオ島のマレーシア・サラワク産ブナ科数属の形態的類似種の再同定
(8)森林の病虫害の調査
・関東地方においてナラ枯れを起こしたカシノナガキクイムシの遺伝的多様性と遺伝的由来
・日光街道桜並木における材質腐朽病害の発生状況と主要な腐朽菌の発生特性
・栃木県南部の足利市におけるカシノナガキクイムシの捕殺消長
・足利市におけるカシノナガキクイムシの発生消長


関連講義実習科目

樹木学(同実習),森林基礎生物学,造林学(同実習),森林立地環境学(同実習),森林生態学,森林病虫害論など