第3次経営案以降充実を図られてきた試験林や見本林の数と面積の概略は表に示すとおりです。大学演習林の役割は、森林科学の教育・試験研究に必要な森林を整備・維持すると共に、研究成果や林業技術を普及することによって地域に貢献することです。従って実習林や試験林、見本林などの充実は、演習林において最優先されなければなりません。
期間 | 研究課題数 | 小班数 | 面積(ha) |
第1次経営案 | 5 | 5 | 7.28 |
第2次経営案 | 7 | 12 | 10.84 |
第3次経営案 | 8 | 13 | 46.16 |
第4次経営計画 | 12 | 20 | 72.89 |
第5次経営計画 | 13 | 41 | 77.60 |
第6次経営計画 | 14 | 54 | 88.56 |
第7次経営計画 | 25 | 72 | 101.44 |
第7次経営計画案編成時点での研究課題数は第6次の14課題から25課題と急増しており、本演習林が教育・研究・実習の場として活発に活用されていることが分かります。一方、研究者の活動期間は40年ないし50年足らずであるにも関わらず、試験林の目的によっては、試験林の目的を達成するには幾世代にもわたる長期測定・観測が必要になります。試験林の長期測定・観測が研究者の退職等による中断、過去の貴重な測定・観測記録が散逸・消失することを防ぐには、試験林の維持・管理・測定・記録を組織的に可能とする体制の一層の充実が必要とされます。
第7次経営計画案編成をきっかけとして、研究者の退職によって試験林や見本林の責任者が不明確になり、試験林・見本林としての機能を充分果たしていないものを見直すことにしました。その結果、試験林等の設定責任者に変更がなされたものもありますが、第7次経営計画編成時点での試験林等の一覧は表に示すとおりです。それと同時に、演習林における新たな試験林・見本林の設定申請・維持・管理方法についても検討を加え、今まで以上に演習林を活発に活用できる体制を構築する予定なので、今後新たな試験林の設定が見込まれています。
種別 | 名称 | 林小班 | 面積(ha) | 設定組織 |
試験林 | 長伐期林分保護林 | 4林班た2 | 4.33 | 演習林研究部 |
8林班た | 1.26 | 演習林研究部 | ||
10林班ぬ | 1.14 | 演習林研究部 | ||
天然更新試験林 | 4林班い1,に | 9.56 | 演習林研究部 | |
6林班を | 5.96 | 演習林研究部 | ||
7林班り2 | 16.21 | 演習林研究部 | ||
菌根菌類研究林 | 4林班こ,け | 0.85 | 演習林研究部 | |
成木施肥試験林 | 5林班い11 | 1.44 | 演習林研究部 | |
有用広葉樹の生育環境適応性試験 | 苗畑敷 | 0.97 | 演習林 | |
少花粉スギF1家系の検定林 | 苗畑敷 | 0.97 | 演習林 | |
アオダモ母樹保残法天然更新試験 | 樹木園 | 5.32 | 演習林 | |
コナラ類薪炭林の萌芽特性及び保全管理 | 4林班た1 | 3.07 | 演習林 | |
コナラ属生育実態調査 | 4林班れ | 5.43 | 森林生態学・育林学研究室 | |
落葉広葉樹2次林の現存量および林分構造調査 | 6林班を、る、ち | 11.77 | 野生鳥獣管理学研究室 | |
長伐期施業試験林における生物多様性保全 | 2林班を3,を4 | 7.84 | 森林資源植物学研究室 | |
クロヒナスゲを使用した緑化工法の実用化 |
4林班か2, い2,わ 4林班を,5林班一部 |
11.28 | 森林資源植物学研究室 |
|
長伐期施業試験林 | 2林班を3,を4 | 7.84 | 森林計画学研究室 | |
スギ密度効果試験林 | 4林班ふ | 2.15 | 森林計画学研究室 | |
ヒノキ密度効果試験林 | 6林班い1,2,3,4 | 1.70 | 森林計画学研究室 | |
ヒノキ成長量試験林 | 4林班ま,け | 1.00 | 森林計画学研究室 | |
ヒノキ成長量標準地 | 2林班ぬ、3林班い、ろ | 0.67 | 森林計画学研究室 | |
5林班に、を | 森林計画学研究室 | |||
7林班い、8林班わ | 森林計画学研究室 | |||
演習林内GPS測位網の構築 | 全林小班 | − | 森林計画学研究室 | |
LIDARデータによる森林モニタリング | 全林小班 | − | 森林計画学研究室 | |
伐採作業によるインパクション測定試験 | 6林班ろ3,4,5,6 | 5.24 | 森林工学研究室 | |
林業機械による間伐材集材作業試験林 | 5林班い5 | 3.48 | 森林工学研究室 | |
ヒノキ列状間伐試験林 | 4林班そ | 2.58 | 森林工学研究室 | |
森林資源の有効利用林(薪炭材の育成) | 4,5,6林班 | − | 森林資源利用学研究室 | |
クロマツ26号木の諸形質に関する調査 | 4林班く | 0.66 | 木材材料学研究室 | |
量水試験地 | 8林班れ | 2.85 | 農業水理学研究室 | |
見本林 | 樹木園 | 1林班を | 5.32 | 演習林研究部 |
外国産マツ見本林 | 4林班や | 0.89 | 演習林研究部 | |
ジグザグエンドレスによる搬出作業見本林 | 4林班ら | 2.42 | 森林工学研究室 | |
合計面積(ha) | 101.44 |
各試験林・見本林の概要を以下に示します。
(1) 長伐期林分保護林
この保護林は船生演習林を代表するヒノキ、スギ、アカマツ林を永久的に保存し、老齢林分としての成長の状況を明らかにする目的で設定された3ヶ所の小班からなる。これらの保護林の歴史は樹種によって異なり、一番古いヒノキ保護林は第1次経営案(昭和29年編成)において「ヒノキ優良林分」として設定されている。第2次経営案(昭和34年編成)においては、ヒノキ優良林分に加えてスギとアカマツの保護林が追加され、これらの林分は「長伐期林分」と改称されている。その後第4次経営計画において「長伐期林分保護林」と更に改称され、第5次経営計画編成過程でアカマツの保護林が従来の2林班か小班から現在の4林班た2小班に変更されて現在に至り、近年ではアオダモ等の繁殖・育成に関する調査が行われている。
船生演習林を代表する各樹種の優良林分であり、またその林齢も船生演習林で最も高いものであるから、今後さらなる調査・研究が行われ、その研究成果の演習林報告への掲載・記録が強く望まれている。
(2) 天然更新試験林
本試験林は第3次経営案(昭和44年編成)において、モミとツガの天然更新および広葉樹林の作業法の研究を目的として7林班り2小班に設定された。昭和54年編成の第4次経営案において、更に4林班い1、4林班に1小班、6林班を小班が追加設定された。追加設定された4林班い1及びに1小班は第1次経営案(昭和29年編成)において「広葉樹老齢林分」として設定されたものと考えられ、老齢林分としての自然の推移の状況を明らかにすることを目的として永久保存することにされ、定期的な調査を行うこと、間伐や落葉採取などは一切行わないことが指示されていた。しかし第2次経営案および第3次経営案では試験林としての登録はなされておらず、第4次経営計画において改めて復活したものと考えられる。これらの試験地は船生演習林の老齢林分として貴重なものであるにも関わらず、定期的な調査あるいは研究報告がなされておらず、演習林研究部として今後この試験林をどのように取り扱うかの検討が強く望まれている。
(3) 菌根菌類研究林
本研究林は菌根菌栽培技術の確立を最終目的とし、寄生樹の生理的性質と発生する菌根菌の種類の関係を調べることを目的として第4次経営計画において設定された。研究林の設定責任者は農学科植物病理学研究室の寺中理明教授であったが、寺中の定年退職後、継続研究がなされていないため第6次経営計画を機に植物病理学研究室から演習林研究部に研究林の設定責任者が変更になったものである。この研究林は以前にマツタケ試験林と呼ばれていたものと第3次経営計画にあるが、今後の取り扱いについては演習林研究部が検討中である。
(4) 成木施肥試験林
本試験林は土壌の浅い尾根筋の乾燥地で5林班い11小班に設定されている。森林調査の1999年時点での林齢は90年で、ヒノキの成長状況は平均胸高直径が24cm、平均樹高が17mと林齢の割には不良である。本試験区には対照区を設定せず全林にわたって施肥を行ない、施肥後の効果は葉の養分濃度増加と標本木の樹幹解析によって判定する計画である。
(5) 有用広葉樹の生育環境適応性試験
本試験地は「広葉樹の環境適用試験」として第6次期間に実施されてきており、その成果の一部は卒論・修論等に活用されてきている。第7次において「有用広葉樹の生育環境適応性試験」として名称が変更される。本調査はミズナラ,キハダ,メグズリノキなどの有用広葉樹の生育環境の適応性の解明を目的とし、特にナラ類については,産地間変異等も明らかにする。
(6) 少花粉スギF1家系の検定林
国の選定した少花粉スギで構成された栃木県事業用の採種園産の少花粉スギF1家系(少花粉品種)について,生存率,成長,雄花着花状況などの特性を解明し,栃木県における種苗事業に貢献することを目的とし、第7次計画の初年度に検定林を設定する。
(7) アオダモ母樹保残法天然更新試験
雄性両性異株のアオダモの天然更新機構を解明するため,両性花の個体を調査母樹に選定し,開花結実周期,種子の飛散,稚樹の出現や生育状況などを観察することを目的としており、その成果の一部は卒論・修論等に活用されている。
(8) コナラ類薪炭林の萌芽特性及び保全管理
広葉樹二次林を構成するミズナラ等の主な樹種の萌芽特性を明らかにするとともに,適切な保全管理の指針のための情報蓄積を図ることを目的としており、その成果の一部は卒論・修論等に活用されている。
(9) コナラ属樹種の生態調査
船生演習林ではアジアの大陸部に分布するモンゴリナラ(Quercus mongolica var. mongolica)と形態的に酷似する“ナラ”がみられることが知られている。近年、この“ナラ”に対して、コナラの新変種としてフモトミズナラ(Q. serrata
var. mongolicoides)という学名・和名が与えられたが、その分類学的位置づけについては未だ統一した見解をみない。本試験地は、この“ナラ”の(1)植生及び生態的特性の把握、(2)コナラ及びミズナラとのフェノロジー、形態、遺伝的特性の比較・解明を目的として設定されている。
(10) 落葉広葉樹2次林の現存量および林分構造調査
本試験地は、薪炭林として利用されていた落葉広葉樹2次林の地上部現存量および種類組成が利用を停止してからどのように変化するか時系列的にその動態を解明することを目的に設定したものである。
(11) 長伐期施業試験林
本試験林は従来の船生演習林で採用されてきた伐期の2倍程度の伐期を考え、5年毎に成長量を勘案した間伐収穫を行う場合の林分成長過程や間伐木の利用率を調べ、長伐期施業を考える際の基礎資料を得ることを目的として第3次経営案編成の際に藤原信教授によって設定された。昭和51年に2林班を3小班及びを4小班内にそれぞれ2つのプロットが設定され、それ以来、5年毎に胸高直径と樹高に関する毎木調査と間伐が森林計画・測定研究室と演習林職員によって行われている。この試験地の設定以来、5年毎に行われた定期調査結果やその解析結果は宇都宮大学演習林報告を中心に公表され、授業(総合実習)や卒業論文、修士論文、その他多くの研究発表に利用されている。
(12) スギ密度効果試験林
この試験林は密度効果の経年変化を追跡して間伐の指針を得ることを目的として故薄井宏教授によって計画され、演習林職員の協力によって昭和44年に植林された。この試験林は植栽密度が1,500本/ha から10,000本/haまでの4種類の試験区からなり、間伐の学生実習や卒業・修士論文などで利用されてきた。1回目の調査は昭和44年に行われているが、長期継続測定を前提とした個体識別番号の付与や間伐の記録が取られてこなかったため、その利用価値は極端に制限されていた。昭和58年に薄井の要請を受けた内藤が、森林経営学研究室(現森林計画・計測学研究室)の学生、演習林職員、造林学および防災工学研究室(現森林生態育林学研究室)の学生らの協力を得て9ヶ所のプロットを設定し、その後の試験林の継続測定を委任された。各植栽密度毎に無間伐の対照区(奇数プロット番号)が取られ、プロット設定と同時に胸高直径と樹高の毎木調査が昭和58年に行われた。その後定期調査は行われてこなかったが、平成14年に胸高直径と樹高に関する毎木調査が行われ、立木位置図など詳細なデータが作成された。
この試験林は森林の炭素固定機能に関する研究やLiDARデータを利用した森林調査法に関する研究など、多くの卒業論文、修士論文などに利用されている。
(13) ヒノキ密度効果試験林
スギ密度効果試験林と同じ設定目的をもったヒノキ密度効果試験林が内藤によって計画され、昭和60年から63年にかけて6林班に植林されたヒノキ人工林である。昭和60年に3,000本/ha 植栽区のい1小班が造成されて以来、順次 6,000本/ha 、12,000本/ha、1,500本/ha植栽区のい2、い3、い4小班が造成された。平成13年から14年にかけて各小班に原則として2個のプロットが設定され、個体識別番号が付されると共に樹高と強硬直径に関する第1回目の枚牧調査が行われた。この試験林はスギ密度効果試験林とともに、森林の炭素固定機能に関する研究やLiDARデータを利用した森林調査法に関する研究など、多くの卒業論文、修士論文などに利用されている。
(14) ヒノキ成長量試験林
現在のヒノキ成長量試験林は昭和36年に設定され、5年毎の定期調査を行うと共に間伐やその他の施業を行って林分成長の経過を考察して林業経営の参考に資することを目的とした。ヒノキ成長量試験林の名称は第1次及び第2次経営案においても見られるが、種々の理由により試験地が変更されたようである。5年毎に行われる胸高直径と樹高に関する毎木調査は森林計測・計画学研究室と演習林職員によって現在まで継続されているが、間伐は行われていない。その理由は試験林設定当初の目的から離れて、最多密度に達した林分の成長過程を研究することが試験林の目的に変更されたからである。設定以来の測定記録や関連研究報告は、演習林報告を中心に報告されており、数多くの卒業論文などで利用されている。
(15) ヒノキ成長量標準地
この標準地は船生演習林における一般的な施業を受けたヒノキ人工林の成長量把握を目的として昭和55年から56年にかけて設定された。普通林の4齢級以上の各齢級に最低1ヶ所の標準地が設定され、5年毎に胸高直径と樹高に関する定期毎木調査が森林計測・計画研究室と演習林職員によって継続されている。設定の目的からして特別な施業上の制約は設けず、伐期がくれば伐採されるが、10年毎に新しい3及び4齢級のプロットが新設されている。この標準地に関連した研究報告は10編以上に及び、卒業論文・修士論文などで利用されたり、10年毎に編成される船生演習林の経営計画にも利用されている。
(16) 演習林内GPS測位網の構築
本調査は船生演習林全域を対象として、演習林内に地理座標をもったGPS杭を設置し、既存の基準杭、基本図データの絶対座標変換を行うことによって、森林情報の基盤データシステムを構築するものである、その結果の一部は卒論,6件 修論:2件 学会発表:5件において公表されている。
(17) LiDARデータによる森林モニタリング
本研究・調査は「演習林内GPS測位網の構築」と同様に、演習林全域を対象としている。森林情報の基盤高解像度衛星データと航空機によるLiDAR計測データを用いて新しい森林モニタリング技術の開発・研究を行うことを目的としており、これまでにその成果の一部は、卒論:9件 修論:2件 学会発表:12件において公表されている。
(18) 伐採作業によるインパクション測定試験林
本試験林は、タワーヤーダによる機械集材作業の生産性解析と、作業システム改善のための基礎実験を行うため、平成8年より6林班ろ3からろ6小班に漸次設定された。この試験林では、タワーヤーダ集材作業の時間観測、試作搬器の実地試験、作業索張力の測定試験などを行うとともに、伐採木位置図の作成、材積調査が行われてきた。また、森林工学実習の実習地としても活用され、立木伐採作業、枝払・造材作業、荷積作業などの実習が行われてきている。
さらに、伐採作業後の林地は、引き続き機械集材が森林、特に森林内土壌に与える影響を継続測定するために活用されており、試験区内8カ所に設定された20x20mグリッド範囲内の、伐採前後の土壌支持力の変化及び、伐採後の経年変化を連続的に測定している。また、1998年には月毎の土壌支持力と土壌水分量の変化を測定し、土壌支持力の季節変動を求め留研究も行われている。
この試験林での研究成果は、博士論文、修士論文、卒業論文などの基礎データとして活用されるとともに、学会論文として公表されている。今後も、森林作業が森林に与えるインパクションを明らかにしていくため、5年ごとの支持力測定を継続していくことが望まれている。
(19) 林業機械による間伐材集材作業試験林
本試験林は、チェンソーによる定性間伐作業、小型作業機械による搬出作業実習のための試験・実習林として2000年に5林班い5、い6、い7小班を対象に設置されており、2003、2004年度の測量実習により樹木位置図が作成されるなど、基礎データの整備が進められてきた。また、2000年度以降、森林工学実習での間伐実習や、軽架線による集材実習に活用されてきており、2007年からは、森林工学・森林計測学の連携実習を活用した間伐材の成長量解析データ蓄積が進められてきている。
また、研究面では、間伐作業時のかかり木防止試験、伐倒木の挙動測定、可搬式シュートによる間伐木搬出、集材用懸垂式モノレール試験などが実施され、修士論文、卒業論文の基礎データとして活用されるとともに、学会論文として公表されている。今後は、定性間伐林としてデータ蓄積を進めるとともに、連携実習を活用して整備を進めていくことが望まれる。
(20) ヒノキ列状間伐試験林
民有林における間伐作業停滞の改善策として、列状間伐を用いた省力化間伐作業を取り上げ、2005、2006年の間伐対象林分(4林班そ)に効果確認のための試験林分設定を行った。試験地は、1伐3残、2伐3残、2伐4残、コントロールの4区から構成されており、これまでに集材作業生産性の調査、集材後の被害僕の調査、森林測量学実習による樹木位置測定、演習林LiDARデータを活用した樹冠位置、地形図の作成、伐採直後の全天空写真の撮影など基礎データの整備を完了している。また、整備後は、列状間伐見本林として活用されるほか、森林科学総合実習、卒業論文などにも利用されてきており、今後下層植生の経年変化などの測定を進めていくことが望まれる。
(21) 森林資源の有効利用林(薪炭材の育成)
コナラを中心とした萌芽による持続可能な薪炭林資源の充実を図り,森林科学3年生を対象とした森林資源利用学実習(製炭実習)を計画的に実施できる有効利用林を育成する。
(22) クロマツ26号木の諸形質に関する調査
当試験地は、1952年に岡本健治教授により、優良成長個体として選抜されたクロマ
(23) 量水試験地
本試験区は昭和42年の山火事後にスギ、ヒノキ、アカマツを新植した8林班わ小班の一部を区画して、新たに8れ小班として作成され、降水の流出量を観測して、山林における降水の流出機構を解明することを目的として設定された。6次計画期においては本試験区の定期的な観測機器の維持・管理には演習林職員が協力しており、この間の測定結果などに関する中間報告は、宇都宮大学演習林報告第14号、19号に掲載されているが、担当教員の退職等によって近年では観測が中断されている状況にある。今後の取り扱いについては演習林研究部が検討中である。
(24) 樹木園
本樹木園の設置は昭和51年3月16日の演習林運営委員会において決定され、1林班い小班内に新たにを小班として区画されたものである。本樹木園は船生演習林内にある樹種を紹介するとともに、青少年の森林教育の場として広く利用することを目的とする。現在,天然コナラ林の丘陵地に,約1haのカタクリ自生地を復元・整備している。
(25) 外国産マツ見本林
本見本林は昭和48年に設定されたもので、外国産樹種の日本での環境適応性を調べることを目的として約50種類のマツが植栽された。現在では,主にテーダマツ,リギダマツ,バンクスマツ,ストローブマツが成林している。テーダマツについては,41年生の3月の強風により,一部の個体に枯損や幹折れが発生した。
(26) ジグザグエンドレスによる搬出作業見本林
本試験林は、間伐材集材作業試験・見本林の一部として2000年に整備されたジグザグエンドレス集材見本林であり、4林班小班に設置された試験地内に、全長230mのエンドレス架線が常時架設されている。これらの展示施設は、森林工学実習、大学院セミナーなどにおける集材機集材実習や、外部見学者に対する集材デモに活用されており、2002年に開催された国際学会(IUFRO)後のエクスカーション、国際連携実習(2007,2009年)などの見学対象として活用されてきている。また、卒業論文、修士論文などにおける試験地としても活用されており、継続的な展示が必要と考えられる。