藤重 宣昭 (ふじしげ のぶあき) 助教授 

Nobuaki FUJISHGE,  Assoc. Professor
e
-mail: nobuaki@cc.utsunomiya-u.ac.jp 

内線5416)(園芸学研究室:農学部南棟1F東)

○自己紹介
 生まれ育ったところは山口県山口市,四方が山で囲まれた盆地で,西の京都と呼ばれる都市の一つである.中学時代に蝶の分類と題して研究発表して,研究の道に進みたいと強く意識するようになった.花咲爺物語のような,開花制御の仕事がしたいと思っている.
 いちご周年生産を目的として,花成・休眠・環境調節に関して,また園芸作物の生理生態反応と根の温度との関係を主な研究テーマにしている.学生諸君には作物栽培を含めて,ものづくりが好きな人.作物を育てられる人になってもらいたい.

○主な研究テーマ

夏秋期イチゴ:イチゴの生産は夏季高温期は冷涼地でわずかに生産されているが,一般平地では夏秋期に開花しないこと,開花しても果実の大きさや品質がよくないことから生産されない。この時期の果実生産を阻んでいる要因のうち,開花させることは解決できたが,果実の品質改善はまだできていない。そこでこの改善策への手がかりを探る。

 

根温と野菜生育:根の温度が野菜の生育にどんな影響を与えるのかを,昼の温度と夜の温度に分けて調べている。

ハナモモの種子繁殖:花木の繁殖は接ぎ木で行われる。これを種子を播いて繁殖する方式にする。モモは開花が早いこと,観賞形質が遺伝的背景から均一になりやすいことに注目して,この方式が確立できると考えている。

○主な開講科目

園芸学汎論園芸作物の周年供給を可能にする生産技術の理論と,その基礎となる作物の生理生態を理解してもらう。

園芸作物各論II(野菜)主要野菜の生理生態を学び,世界を視野に入れて,成立している生産技術を学ぶ。

園芸作物環境調節学苗生産・施設栽培・収穫物の取扱などにおける環境調節のあり方を,園芸作物の生理生態反応を基礎として考える。

「野菜をつくるー書を置いて畑に行こうー」初期セミナ)数種の野菜を種まきから収穫まで管理し,育てる。野菜の生活環を通して,栽培技術と食文化を考えたい。作物を作るのに大切なことは確かな観察眼である。あとは必要にせまられて自ら栽培書を開くようになればしめたものである。

○主な研究報告

観賞用モモの品種に関する研究,宇都宮大学農学部学術報告 17,2000

井水散水による温室の冷房法(第1報),農業施設,28,1997

Growth and development of four day-neutral strawberries under hydroponics system with or without chilling, J.Japan.Soc.Hort.Sci.64,1995

トマトの花芽分化と結実におよぼす根温の影響,園学雑,60,1991

○所属学会

園芸学会,生物環境調節学会,植物工場学会,熱帯農業学会,アメリカ園芸学会

○愛読書紹介
「沈黙の春」:本文はもちろんだが,訳者のあとがきを読んでもらいたい.農学への想いが熱く語られている. ソロモンの指輪,モンシロチョウの結婚指輪〔文庫本,最近は同結婚ゲームと新四六版となっているよう だ)で述べられる動物行動学は蝶を追いかけていたときの疑問ー訪花時間,訪花種の特定,蝶の通り道な どを少なからず解いてくれた.蝶の生活(絶版)は私にとっては生物学への招待券であった.
「寺田寅彦随筆集」:ペンネーム吉村冬彦の初版本をかなり集めた.初期の随筆は饒舌さがなく好きである.
 漱石門下であり,三四郎の広田先生の研究室はそのモデルという.寅彦を通して漱石全集を所有する事と なった.
「辰巳芳子の旬を味わう」(日本放送文化協会出版):朝日新聞に連載された記事を本にしたものである.農産 品が有していた個性が消失してきており,料理が成り立たないことが指摘されている.料理の手順を教える本としても勧めたい.


園芸学研究室

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