本文へスキップ

宇都宮大学農学部 生物資源科学科 地質学研究室 (生物生産科学科植物生産学コース)

電話 028-649-5427

〒321-8505 栃木県宇都宮市峰町350

3D高精細SEM画像 3D-High Resolution SEM images

RGBステレオアナグリフ画像による微化石3D写真 (RGB stereo-anaglyph of microfossils)

 深海底から採取された放散虫軟泥をフルイで水洗し,残った残さの放散虫群集を高精細デジ・キャプチャー装置(サンユー電子製)を備えた走査型電子顕微鏡(SEM)で観察してみよう.

 高精細デジ・キャプチャー装置の特徴は,取り込み画素数が最大10,240 x 7,680 pixelsで画像を取得する事ができます.通常のSEMの画素数は2560 x 1920 pixels程度です.従って,高精細SEMで撮影した高画素数(5120 x 3840, 10240 x 7680)の画像をA0サイズのポスターに拡大しても,高精細な画質で観察する事が可能です.さらにもう一つの利点は通常のSEMではカバーしきれない大きさの標本,例えば玄米の1粒などのサイズでも,1回で画像取得する事が可能です.従って,高精細SEMでは,通常のSEMが同倍率で得られる画像視野よりもはるかに広範囲の画像を得ることが可能です.ここに示すSEM画像はオリジナルは画素数10240 x 7680pixelsで撮影したものです.まず高精細SEMによる放散虫軟泥の画像, 図1をご覧下さい.


放散虫軟泥

図1 北大平洋の北緯35°水深約4950mの深海底の軟泥からの放散虫群集のSEM画像(600 x 800 pixels).


 図1は北大平洋の北緯35°水深約4950mの深海底の海底下から採取された軟泥から産出する微化石です.大部分は放散虫の殻から構成されていますが,針状の細長い骨格は海綿骨針です.年代は第四紀のもので,現生の放散虫種も含まれますが,化石種も多く含まれています.円盤状や球形や3本腕などさまざまな形をした放散虫化石や細長くのびた中空の穴をもつ海綿骨針がはっきりと識別できます.

 次に同じ画面を正面から-7°と+7°に傾斜させて撮影した2枚の画像をAdobe Photoshopで加工してRGBステレオアナグリフ画像に加工した図2です.この方法は,2枚のSEM画像のうち右側の画像のRGB情報から赤(R)の出力を0に,左側の画像から緑(G)と青(B)の出力を0にして,重ね合わせることで立体視を得るものです.RGBステレオアナグリフ画像による3D写真は視点をずらした2枚の画像を立体視するもので,簡単に立体感を感じ取ることができます.RGBアナグリフ写真では一つ一つの殻が浮き出て見えます.まるで自分自身が微化石のサイズになってしまい,海の中に入って放散虫の殻を一つづつ手で捕まえられるような感じになります.

STEREO放散虫軟泥

図2 北大平洋の北緯35°水深約4950mの深海底の軟泥からの放散虫群集の3D−SEM画像(600 x 800 pixels). 赤と青あるいは赤と緑の立体視眼鏡で見てみよう.


 赤青(左目が赤,右目が青に),あるいは赤緑(左目が赤,右目が緑に)のステレオ眼鏡を自作したもので,ステレオアナグリフ画像をのぞいて見て下さい.文具店などで,市販のプラスチック透明下敷きの赤と青あるいは赤と緑を購入して,タテ9cm Xヨコ6cmのサイズに切って,真ん中を重ねてセロテープでとめるだけで,簡単な立体視眼鏡が自作できます(図3).

3D眼鏡

図3 簡単な立体視メガネの作り方







RGBステレオアナグリフ画像:3D放散虫の利用について


 このHPにあげた高精細SEM画像や3D高精細SEM画像は,実際にA3サイズやA0サイズのポスターに印刷して,3Dメガネで観察すると学生は感動して魅入ります.ぜひ小中学校の理科や高校の生物や地学の授業で実際に効果的に使ってほしいと思い作成しました.大学教育の中でも放散虫などの微化石スライドを顕微鏡で観察スケッチする時にも,3D高精細SEM画像で見てもらっており好評です.このような3D高精細SEM画像を小中高の授業などで画素数が高いファイルを印刷して使いたい方は相田まで(aida@cc.utsunomiya-u.ac.jp)ご連絡下さい.




地質学

宇都宮大学農学部地質学研究室
〒321-8505
栃木県宇都宮市峰町350
TEL.028-649-5427

この放散虫ステンドグラスは平成22年度農学研究科修士課程を修了した加藤摩利子さんのお姉さん,加藤摩耶子さんが制作された作品です.

ホームページの作成にあたっては,土壌学研究室HPのテンプレートを利用させていただきました.快く提供していただきました土壌学研究室の星野幸一氏に感謝いたします.