動物細胞内の情報伝達機能に関する研究
コラーゲンは、哺乳動物の体内に最も豊富に存在するタンパク質であり、 体タンパク質の約30%を占めます。 その本質的な機能は組織の構造を維持することで、 外部からの張力に対して抵抗性を有することが大きな特徴です。 古くより食材としても利用されており我々の生活に身近なタンパク質でもあります。 近年コラーゲンを限定分解し、消化吸収しやすい物性をもたせた「コラーゲンペプチド」と 呼ばれる商品が多く販売されています。 肌の機能改善などの効能が期待されていますが、その作用機序や、実際の有効成分については不明な点が多いのが現状です。 本研究室では、実験動物や培養細胞を研究対象として、コラーゲンから得られるアミノ酸や 低分子ペプチドの機能性を解析しています。 これまでにコラーゲンを摂取することで、傷ついてしまった皮膚の再生がより円滑に進むことや、 体の錆つき(酸化)を抑える効果があることが判明してきました。 現在、有効な機能性ペプチドの同定を試みており、さらに、きわめて生理活性の強いペプチドの開発も目指しています。 コラーゲンは難分解性のタンパク質であり、食肉由来の産業廃棄物として多くは破棄されているのが現状ですので、 これを有効な資源として機能性サプリメントなど開発が行えれば大きく社会に貢献できると考えています。 我々の研究ではこれとは別のプロジェクトとして、皮膚がんのエネルギー代謝、アミノ酸代謝の制御機構の研究を行っています。 プロテオミクスの技術を駆使し、疾患マーカーの探索や、我々が発見したメチオニン代謝関連新規タンパク質であるMRDIの機能解析を行っています。