びわ(Eriobotrya japonica) |
植物のある風景(その9) |
ビワ属:
ビワ属は常緑の低木または高木で,東アジアの亜熱帯から温帯南部にかけて約10種が分布する。葉は単葉で互生し,先端が歯牙状になる。羽状脈が著しい。花は頂生の円錐花序につき,しばしば綿毛が生える。萼片,花弁ともに同数で5個あり,雄しべが約20個ある。花柱は2〜5個あるが,下部で合生する。子房は下位で,各室に2個の胚珠がある。果実はナシ状果で大型の種子を含み,先端に萼片が残存している。 Eriobotryaとは,erion(羊毛の意)とbotrys(ブドウの房の意)に由来し,房状の果実にちなむ。 施設栽培の写真以外は,宇都宮大学峰キャンパスにて撮影。 |
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ビワは,バラ科のビワ属の一種で果実を食用とするものである。ビワは,中国と日本の原産で,高さ10m,樹冠径7〜8mに達する高木である。主幹となる中心枝は直立し,それ以外の枝は開張するので放任樹は半球形の樹形となる。新梢は頂芽およびそれに続く数芽が叢状になって発生する。花芽は7月下旬から8月中旬に頂芽からの新梢の先端に分化する。花は白色で,11月中旬から翌年2月の長期間にわたって開花する。1花序あたりの花数は普通60〜70,ときには200以上になる。子房は5室で,果実は初夏に成熟する。果実は偽果で,可食部は花床が肥厚したものである。果形は丸形か西洋ナシ形,果皮は黄色,毛茸に被われ,薄くむけやすい。
耐寒性はカンキツ類に比べ強いが,冬季に開花・結実するので,花や幼果は寒害を受けやすく,温州ミカンより温暖なところを適地とする。花蕾の発育は花序間および花序内でも個々の花で異なり,開花期が長期にわたるため,寒害をかなり回避することになる。
露地から施設下に環境を改良することで,寒害を回避し,高品質果実の生産安定を図り,出荷時期の前進化が可能になった。
参考資料:園芸植物大事典(小学館,1994)
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