エゴノキ(Styrax属:エゴノキ属) |
植物のある風景(その16) |
別名:ロクロギ、チシャノキ | Japanese snowbell |
シダレエゴノキの花 シダレエゴノキ 宇都宮大学 峰キャンパスにて |
エゴノキ科。常緑あるいは落葉の低木または小高木で,全体に星状毛または星状の鱗片が目立ち,北半球の暖地に約100種がある。日本にも3種が自生している。
エゴノキ(Styrax japonicus Sieb. et Zucc. )は北海道,本州,四国,九州から琉球諸島,朝鮮半島南部,中国に分布する。山野に自生する落葉小高木で,高さ7〜8mになる。良く分枝し,枝は紫褐色、若枝は緑色で早落性の星状毛がある。葉は卵形か長楕円形で長さ4〜8cm,幅2〜4cm,上面は無毛で裏面は脈上にまばらに毛がある。 春、葉が展開したあとで,5〜6月に若枝の先端に下向きに1〜4個の白花を咲かせ,花柄は2〜3cm,花冠は径約2.5cmの鐘型で深く5裂し,星状毛が密生する。香りも良い。果実は卵形か楕円形で灰白色,熟すると縦に割れる。果皮にエゴサポニンが含まれているので,魚毒として魚とりや洗濯に用いられたほか,駆虫剤や肥料としても利用された。材は白色で緻密なために,床柱やその他の細工に利用される。果皮がえぐいことから名前がつけられた。 本種には,園芸的に選抜された変わりものが知られている。枝が雁木状に曲がるガンボクエゴノキ,花が淡紅色になるベニバナエゴがあり,左の写真は、鉢植えや庭木として栽培されているシダレエゴノキ‘Pendulus’は栃木県益子町西明寺境内にあるものから増殖された、枝が下垂するものである。 東南アジアに産する本種の仲間,S. benzoin Dryand.ほか数種の樹皮に切れ目をつけて流出させた液から得た樹脂が熱すれば強い芳香を放つ安息香(storax)をとることから,アンソクコウノキ(benzoin tree)との名がある。 (参考資料:園芸植物大辞典・小学館ほか) |