モモ(Prunus persica
人間生活と植物

桃が満開

人工授粉:果実を安定して成らせるために

イタリアのモモ畑

白 桃(山梨県産)

黄肉桃(Pelotas, RS州, ブラジル)

黄肉桃は缶詰に(Pelotas, RS州, ブラジル)

毛のない桃:ネクタリン

 起源は?
 中国黄河上流域が原産か?中国からシルクロード(ペルシャ)経由でヨーロッパへ。
 東洋の桃:白肉,多汁で甘い
 ヨーロッパのPeach:黄肉で酸味が多い。イメージの違いに注意。
 古代中国では,妊婦のつわりの特効薬として,モモはその代表的地位を得て,ついには仙界の果物となった。モモに霊力があると信じた。種子のなかに人間の子供になる胚子がある。
 桃源郷:陶淵明(365-427,中国の詩人)の「桃花源記」に「渓によりて行き,道の遠近を忘る。たちまち桃花の林に逢う・・・・」が出典とされる。

 仙人の食べる不老長寿の果物:伝説の仙人西王母(せいおうぼ)のモモ,3000年に一つ実がなる。孫悟空はこれを盗み,天界追放。不老不死の超能力を得た。

 黄泉の国で雷神に追いかけられたイザナギノミコトがモモの実を3つ採ってなげ難を逃れた「古事記」の話,あるいは,モモに魔よけの効果。桃太郎伝説や桃の節句も桃の霊力に因む。

 明治期以前のモモは小さい,改良され大きくなった。昔の桃は尖っていた!Cf:天津水蜜桃

今の品種でも,時にはこんな形になることも

 モモは,弥生時代から,古事記や日本書紀にも記載有り。江戸時代は,京都や愛知が産地であった。今主流のタイプのものは,明治期に導入された上海や天津産のものが契機となった。いわゆる‘水蜜桃’というもの。
上海水蜜桃,天津水蜜桃:果頂部が尖っている
明治30年‘白桃’が発見され,昭和初期に‘白鳳’が育成された。
 生産量は,‘白鳳’19%,‘あかつき’14%,‘川中島白桃’11%,‘日川白鳳’8%,‘浅間白桃’4%である。生食用に約1万ha,加工用520ha,ネクタリン400haである。
 台木には,‘おはつもも’や実生,ニワウメやユスラウメの系統(矮化効果),センチュウ抵抗性の台木:‘モモ台木筑波4号’,‘同5号’がある。

 果肉の色は,我が国では「白肉桃」が好まれるが,「黄肉桃」は,煮崩れしにくい「ノンメルティング」で,加工に最適。日本も加工用品種あり。

「ネクタリン」は,黄肉のヨーロッパモモを交配して「油桃」を改良してつくった。毛が無い毛桃は優性のメンデル性遺伝である。