霜害防止(Frost Protection)

栽培気象学


防霜ファン

orchard heater

 霜害を防ぐには,大きく分けて熱を供給するか,逆転層がある時には上空の暖気と混合を図るか,熱損失を防ぐ(保温)の3つの手段がある。

 燃焼法(heating method):燃料油や固形燃料を使用するヒーターを置き,放射冷却で安定している接地逆転層に対流を起こし,上空の暖気を循環させるとともに放射熱で作物体を直接暖める。

 送風法(air stirring method):防霜ファンあるいは大型のwind machineを地上5〜10mに設置して,高所の比較的暖かい空気と地面近くの冷たい空気を混合し,放射冷却で冷えた作物体温を直接暖める。自動化が容易で,茶園や果樹園で普及した。

 散水氷結法(freezing method):氷点に達した作物体に散水し,氷結時に放出される潜熱により作物体温を0℃付近に保ち,霜害発生の限界以上に維持する。通常スプリンンクラを使用するが,湛水や樹冠下散水法もある。

 煙霧法・人工霧法(smoke screen method/fogging method):煙霧として発生させた煙や水蒸気の層で,あるいは人工的に超微粒子の水滴を作り,耕地の表面を覆い,地表面からの長波放射による放熱を防ぐ。

 被覆法(covering method):作物体や地面からの長波放射・放熱を遮断し,作物体への結霜を防ぐ。不織布,寒冷紗などが用いられる。

 遮光法(shading method):遮光することで日中の作物体温を低く保ち,耐凍性の維持を図る。ネット被覆や密植などの手段がある。

参考:日本農業気象学会発行「新編 農業気象学用語解説集」(1997)