霜と霧(Frost & Fog )

栽培気象学

霜(Frost)

草原奥の日陰に残る霜(Cascata:EMBRAPA/CPACTにて)

霜柱(Ice pillar):つくば市にて

土壌中の水が地表面で柱状の氷となり,析出したもの

 

 大気中の水蒸気が昇華して地面や地物に付着した氷の結晶で,うろこ状,針状,羽状または扇子状である。春秋の風の弱い晴天夜間に地表付近の気温が0℃以下(通常の気象観測を行っている1.5mの気温では3〜4℃以下)になると霜が降りる(降霜:frostfall)。秋から冬にかけて,最も早く降りた霜を「初霜」といい,春から初夏にかけて最も遅く降りた霜を「晩霜(遅霜)」という。

 耐凍性の急激な喪失が起こる春の生長開始以降に,発芽・開花や新出部分に発生する晩霜害のほうが霜害としての被害が大きく,近年の温暖化の影響で,果樹などへの被害発生頻度が増大している場所もある。

 果樹園での晩霜害被害(附属農場にて)

傷害が果実の赤道部に(新水;1999年5月)

成熟果のがくあ部にのこる被害(成熟果:1999年8月)

 幼果時に傷害が明らかなものは摘果により除かれるが,そのまま放置されると成熟果でも霜害後の癒傷組織の跡が「がくあ部の周囲に残る。

 霧(Fog )

 大気中の水蒸気が凝結して,無数の小さい水滴が浮遊しているものが,「霧」であり,発生の機構,地形条件,霧滴の特徴により,蒸発霧,混合霧,移流霧,放射霧,などや海霧,陸霧,川霧,谷霧,山霧,盆地霧などのように名付けられる。凝結核を十分含む湿潤な空気が,放射,熱交換,断熱膨張,冷気との混合などにより冷却されることが必要である。霧の発生した大気層では,相対湿度は100%に近い値となる。

 朝霧が徐々に晴れてていく様子

  

   

   

 AとBは,Sao Joaquim(SC州 Brazil)にて1999年12月,Cはつくば市(茨城県)にて2003年2月に撮影

参考文献:新編農業気象学用語解説集(日本農業気象学会発行,1997)