熱帯農業(農学部専門科目)

 

<授業の目標>  熱帯地域は自然資源が豊富で、農業生産のポテンシァルも温帯に比べてはるかに高いが、発展途上国が多く、そのポテンシャルは最大限に生かされていないのが現状である。そして現在熱帯地域での人口が急速に増加しており、それに伴い様々な環境破壊が進んでいる。この事は実は他人事ではなく、今後の熱帯農業の展開が私達の生活に大きな影響を及ぼす可能性がある。また一方で、熱帯農業は自然の摂理を巧みに利用し、自然と共存する形で営まれる資源循環型の持続的な農業でもある。授業ではビデオなどの視覚的教材を通して、日本では体験できない熱帯農業について学習し、国際的な視野で農業と人間社会を考えるための基礎知識を得、英語で授業を行うなどして国際的な感覚を身につける一助にする。

<授業内容>  熱帯農業を知るには、先ず熱帯の気候・風土を理解することが不可欠である。授業では、最初に熱帯の気候と地理的要因について学び、それらが植物と土壌に与える影響や、経済活動に及ぼす効果について理解を深め、そして熱帯地域での主用作物であるイネ・タロイモ・ヤムイモ・キャッサバの栽培について学習する。授業の後半では、私達にとって特に馴染みの薄い熱帯乾燥地・半乾燥地の農業と栽培植物について学び、これと関連して世界の水資源やダム建設の情勢についての知識を得、国際的な視野で農業を考える素養を養う。また、世界人口の増加や地球温暖化現象についても理解を深め、地球規模のレベルで環境を考える一方で、農産物の輸出入事情についても学び、私達の生活に直接関連する部分での熱帯農業に触れ、今後の私達の生活を見直す一助にする。  何回かの授業は英語で行い、海外の事情を英語で学ぶ訓練を体験する他、14~15回の授業を通して米国Discovery Channel Videoの "Water: To the Last Drop" を視聴し、世界各地での水の利用について英語で学習することで、国際的な感覚を身につける。

<授業計画>

第 1週 熱帯農業を取り巻く国際情勢

第 2週 気候と地理的要因が経済活動に及ぼす影響

第 3週 熱帯の農業環境

第 4週 熱帯環境とC4・CAM植物

第 5週 熱帯の土壌

第 6週 湿潤熱帯地域での稲作

第 7週 Growing Human Populations(In English)

第 8週 アジアのコメが消えていく(アジアの農業事情の変革と変貌)

第 9週 タロイモ、ヤムイモ、キャッサバ

第10週 地球温暖化現象

第11週 乾燥地・半乾燥地の農業

第12週 乾燥地における栽培植物の生理・生態(イネ科作物)

第13週 World Water Resources(In English)

第14週 世界の水資源とダム建設の情勢

第15週 イチゴをめぐる国内外の情勢