チャールズ・ダーウィン研究所で飼育されているロンサム(一人ぼっち)・ジョージの絵。ピンタ島でたった1頭発見されたオスのゾウガメに付けられた名前である。下にも示すが、彼の暮らすエリアの看板に描かれていた。 |
プエルト・アヨラにあるチャールズ・ダーウィン研究所や、エクアドル政府が作った国立公園事務所では、ガラパゴスの動植物の保護と繁殖のため、多大な努力を払っている。
自然保護活動は、主に4つに分けられる。野生生物の生態調査、絶滅危惧種の繁殖、人間が持ち込んだ動物の駆除、そしてナチュラリスト・ガイドの教育である。
ここでは、3つを簡単に書こう。
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人間によって消されたゾウガメの数は10万頭と言われており、既にフェルナンディナ島、フロレアナ島、サンタ・フェ島では絶滅した。おそらく、近いうちにピンタ島も・・。 ダーウィン研究所は1964年にその活動を始めたが、ここの最初の仕事も、ゾウガメを各島から集め、繁殖させることであった。今もその努力は続いている。1976年からは、同じく絶滅の危機に瀕したリクイグアナの繁殖も始めた。 |
ダーウィン研究所の入り口。ダーウィン研究所のロゴマークは、ピンタ島でただ1頭の生き残り、ジョージである(確かそうだと思う)。 |
ゾウガメの卵を孵卵させている様子。ただしこれは、展示用のもので、実際に孵卵しているところは見せてくれなかった。大きさは、ニワトリの卵よりも少し大きいくらいであろうか。 孵化したゾウガメは3〜5歳になるまで、研究所で育てられる。写真を撮らなかったので見せられないが、孵化して1年も経たないゾウガメの赤ちゃんは、手に乗るくらいのサイズであった(もちろん、実際に乗せたわけではない)。ある程度大きくなったら(人間が島に持ち込んだネズミに食われない大きさと硬さになるまで、という基準らしい)、それぞれの出身島へ帰すのである。 |
見学用に飼育されているゾウガメたちがいるエリア。ちょっと見づらいかも知れないが、こちらから向こうへかけて、坂になっているのが分かるだろうか? ここのゾウガメたちには、野生に帰したときにもちゃんと生活できるようにと、できるだけ自然に近い環境が整えられている。飼育場には岩や坂が多く、ゾウガメの足腰を鍛えているのだそうだ。 |
この写真も、ダーウィン研究所のゾウガメ飼育場の一区画である。飼育しているゾウガメの食物には(野菜や果物なども少し与えてはいるが)、ゾウガメが本来食べているウチワサボテンなどの植物が飼育場にあり、それを食べさせている。これも、いずれ野生に帰ったときの訓練なのだろう。 |
ピンタ島でただ1頭発見されたゾウガメ、ジョージの暮らす場所。ピンタ島出身のメスの発見に高額の賞金が掛けられているが、まだ見つかっていない。 今、彼にはエスパニョラ島から来た2頭のメス(甲羅の形が似ているのでエスパニョラ島のメスが妻として選ばれたのだろう)と暮らしているが、彼の子供が出来たという朗報は聞かない。案内してくれたナチュラリストガイドの話だと、ジョージは大人になるまでメスを見たことがなく、交尾の仕方を知らないのだと言うことだった・・・。 |
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人間による乱獲は既に過去の話であるが、その名残が今も続いている。現在ガラパゴスが抱える最も大きな問題は、おそらく人間が持ち込んだ動物がそこの生態系に被害を及ぼしていることであろう。 前述したが、ゾウガメの最大の敵は、人間が島に持ち込んだネズミと言えるだろう。卵や、孵化したばかりでまだ甲羅の柔らかいゾウガメは、ネズミの格好の餌食になってしまう。 |
リクイグアナの生息地の一つ、サンタクルス島のドラゴン・ヒルで観たロバの糞。ガイドの話だと、ロバやヤギなどの再野生化動物たちは、駆除活動を警戒して、なかなか人前に姿を現さなくなったそうだ。 |
これも、ドラゴン・ヒルでの写真。潅木の下にある、白いモノが何か分かるだろうか? 下に拡大図を載せたが、ヤギの頭蓋である。ヤギやロバなどの草食動物は、ゾウガメやリクイグアナを直接襲いはしないが、その食物を食い荒らしてしまう。 |
特にヤギは繁殖力が強く、問題になっている。サンタ・フェ島とピンタ島では、ヤギの完全駆除に成功したそうだが、諸島全体には依然10万頭が生息しているそうである・・。 |
しかし、ロバ、ヤギ、ブタなどの大きな動物よりも、ネズミやアリなどの小さな生物の方が始末が悪く、駆除が難しいかも知れない。右の写真はダーウィン研究所の一区画である。このエリアでは、諸島に進入した昆虫の生態を研究している。 |
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プエルト・アヨラなど、人間が住む場所以外では、観光客はナチュラリスト・ガイドと供に行動しなければならない。ナチュラリスト・ガイドは、観光客の引率、ガラパゴスの自然の説明、そして観光客たちの監視を行う。 |
ノース・セイモア島で、アオアシカツオドリの親子を前に、観光客に説明をするナチュラリスト・ガイドのFさん(下に出てくるマリオさんの相棒なのだが、正確な名前を忘れてしまった・・。「F」から始まるのは覚えているのだが・・)。 彼らの知識の豊富さに驚いた。ダーウィン研究所の案内をしてくれたときには、爬虫類の人工授精の難しさを家畜の人工授精との比較で教えてくれたし、諸島の鳥たちの奇妙な色や求愛行動の儀式を、「利己的な遺伝子」の理論をもとに素人にも分かりやすく教えてくれた。 |
これもノースセイモア島で撮影。手前にいる白いのはアオアシカツオドリのヒナである。手前でカメラを構えている客の向こう側にFさんがいる。観光客が歩く道は決まっており、あまりそこから外れるとFさんに注意される。ときには観光客に向かって命令口調になるのも印象的だった。 |
Fさんの相棒、マリオさん(左。ちなみに中央と右の2人は、船のバーテンである)。今回青山が参加したツアーではガイドが2人一組で、一方が英語、もう一方が母国語のスペイン語でガイドするシステムだった。Fさんもマリオさんも、どちらも堪能で、たまに役割を交代していた。マリオさんは少しだけ日本語も話した。かなりうさんくさかったが・・。 |