雪害(snow damage)

栽培気象学


リンゴ樹の枝折損

ブドウ樹の主幹の裂開と棚倒壊

 多量の降雪に伴い発生する農林作物・農業施設・交通機関の被害を雪害という。直接的には,機械的雪害と生理的雪害がある。  

機械的雪害(mechanical snow damage)の原因は,粘性圧縮・粘性流動・自重であり,吹雪,冠雪等の積雪荷重,沈降,移動,雪崩などの害があり,木本作物や樹木,施設での被害が大きい。

 また,電線や果樹用の張線を中心に太い雪の筒が回転して発達する現象により着雪害が生じる。

 降雪の時期や積雪期間が原因となり,積雪下の作物が低温,高湿,暗黒,難通気などの環境に長期間置かれると,衰弱,品質低下,雪腐病と総称される病害発生などの生理的雪害を受ける。ムギなどの冬作物や牧草などで被害が出やすい。

 融雪遅延等による耕起や生育などの遅れ,栽培期間の制限などは,鳥獣による花芽や作物への食害も含めて間接害である。

野ねずみによる主幹樹皮の食害

参考:日本農業気象学会発行「新編 農業気象学用語解説集」(1997)