パパイア くだもののある風景(その5)
papaya( Carica papaya L. )

露店に並ぶパパイア;1kg60円程度(ブラジルにて)

 
パパイアの雌花(沖縄にて)

パパイアの雄花(インドネシア:西ジャワにて)

両生果が着果すると果柄の先端に小さな果実がぶら下がっていた

着果状態のパパイア(沖縄にて)

 パパイアはメキシコからブラジルにかけての熱帯アメリカ原産で,16世紀初期にスペインの探検隊により,カリブ海沿岸に広がり,以後世界各地に伝搬した。

 若い果実を傷つけると乳液(タンパク質分解酵素パパイン)がでるのでチチウリ(乳瓜)と呼ばれたり,未熟な青い果実をウリのように利用するのでモクカ(木瓜)とも呼ばれる。

 生育の極めて早い常緑小高木で高さ7-10mに達する。幹は繊維が多く,若い部分は中空で,通常は直立性の単幹である。花は一般に雌雄異株であるが,両性花をつけるものやその中間段階のものなど多くの変異がある。

 雄株には葉腋からでた比較的長い花柄に長さ2.5-4cmの小さな白い花が多数着生する。子房は退化しているが,時に両性花が混じって結実することがある。果実としての価値は無いとされるが,インドネシアでは漢方薬的な使い方があると聞いた。

 雌花は通常1個ずつ葉腋につく。雌花は雄花より大きい。開花後3-4か月で成熟し,黄色または橙黄色となり,果肉は軟化し,独特の乳臭い香りを呈する。香りが気になる人はレモン果汁を絞ってかけると良い。成熟した果肉は橙黄色または淡い紅橙色で,果実内部は中空で数百から1000個の種子が含まれる。

 パパイアは種子繁殖であるが,「ソロ」のような選抜された優良な系統が栽培されている。生育には最低15℃以上が必要で,22-26℃が最適とされる。

参考:園芸植物大事典,小学館(1994)