ソバ(Fagopyrum属)

植物のある風景(その14)

東アジア原産で,我が国では痩果を粉に引き麺食
ソバとひょう(雹)害


満開のソバ畑(宇都宮市内にて,9月末)

 タデ科の草本で,数種が食用とされる。

 日本の栽培品種の殆どは,F. esculentumである。直立の一年草で高さ1m,葉は三角形で長さ3〜7cm,花は白色で,自家不和合性である。果実は三稜の痩果で,長さ6mm程度である。

ソバの花(総状花序)

 栽培は,春播夏取りの夏ソバと夏播秋取りの秋ソバがある。発芽と生育が極めて早く,播種から収穫までの所要期間は60〜80日で輪作に導入しやすい。冷涼な気候に適し,干ばつにも強く,肥沃な土地での栽培は不適(倒伏しやすい)である。しかし,成熟期が不揃いで,脱粒しやすく,収穫適期が短い。

 主として粉食されるが,消費量の7割が麺類である。

ソバの花とイチモンジセセリ

ソバは鋤込まれた

1.ひょう害の局地性について

 2005年10月23日未明に雷雨に伴い,宇都宮市内の一部地域に降ひょうが観測された。夏には珍しくはないが,この時期の降ひょうは珍しい。

 同日午前に左のソバ畑を通ると,畑の場所による被害の差が観察された(下の写真)。畑の奥が白っぽいのは,花が未だ多く残っていたからで,手前側は,花と葉が折損あるいは落下しているために緑色が濃く(花が無いので)見える。畑の途中で線を引いたように被害に差がある!これは,畑の右側にある建物とフェンスの影響が大きいと推察した。街路樹の葉も雹による孔が多数あいており,落葉していた。

地面に倒れたソバの花

降ひょうにより無惨な被害を受けたソバ畑(2005年10月23日)

2.その後,畑はどうなった?

 降ひょう約1か月後に畑を通ると,被害を受けたソバはそのまま立ち枯れており,それからしばらくして,鍬込まれてしまった(左下写真)。

立ち枯れたソバ畑(2005年11月末)