[ホーム>作物学]

作物各論(稲)

kaika

目次

起源,近縁種 品種 栽培方法 松島理論 バイテク 食味,調理 価格,生産調整 貿易,世界の生産

起源,近縁種

学名 Oryza sativa L.   英名 rice   [分類] 生態型として, O.sativa subsp. indica インド型イネ O.sativa subsp. japonica 日本型イネ O.sativa subsp. javanica ジャワ型イネ と分類される. インド型イネ; 長稈,多分げつ,短毛耳,脱粒易,長粒,浮きイネ性,等  日本型イネ;  中〜短稈,中分げつ,長毛耳,脱粒難,短・中粒,等 の特性を有す. 日×印交配は容易,F1は時に不稔.この交配から多収品種が育成されている. 南アジアのインド型は,Aman 晩生品種 Aus 早生品種(秋作) Bolo 冬季の品種群に分化. 中国では,禾山(せん.一文字.暖地のインド型),粳(こう.長江以北,日本型)に. 水条件で, 水稲(浮きイネ floating rice, 天水 rainfed, 潅漑 irrigated), 陸稲 upland とあるが,境目は不明瞭である. [近縁種]       Oryza属 ゲノム表記 O.sativa AA イネ 2n=24 O.rufipogon AA       O.perennis AA   O.breviligulata AgAg     O.glaberrima AgAg   などがある. 原生野生種はない.近縁の他の野生種から生じたか. 星川(1980)は, 多年生,浮稲的,籾は細長い O.perennisO.sativa  に進化したとしている.よって最初のイネはインド型か. [ネリカ] 西アフリカのナイジェリア,ニジェール川沿に,アフリカイネ O.glaberrima Steud. が栽培されている. これは, O.breviligulata が祖先か. O.glaberrima×O.sativa の交配は困難であったが,胚培養,戻し交配,葯培養を経て, glaberrima の不良環境適応性と sativa の多収性を備えた種間雑種が育成され,普及されている. Nerica(New Rice for Africa) ネリカ米と称す. [伝搬] 数千年前にインド東部−ビルマ・タイ北部−中国雲南に及ぶ地域で栽培が始まった.長江下流説も. 日本には中国中南部や挑戦半島から北部九州へ,以後近畿,東海近畿,本州北部へ急速に伝播,明治には北海道へ.
戻る

品種

粳(うるち)・糯(もち:アミロースは0%). [でんぷん]通常20%アミロースと80%のアミロペクチンからなり,グルコースがα-1,4結合したのが アミロース. 1,6結合で枝別れしたのがアミロペクチン. [品種] わが国への伝来(北部九州)以来,記録が始まったときにすでに出雲種,日向種等の品種分化が知られていた. 8世紀(奈良時代):糯粳の区別,早生晩生の区別.奥羽地方へ. 8ー12世紀(平安時代):チモトコ,ソデノコ等品種固有名.13世紀には津軽へ. 17世紀(江戸時代):栽培環境に応じた細かい品種選択.19世紀末には北海道へ 明治以降:在来品種から各地の農家が品種純系選抜をし,それらが今日の品種のもととなった.例:神力,愛国, 亀ノ尾,銀坊主,旭・・・ 明治中期以降:試験場で科学的な方法による育種. [育種目標] *耐冷性  生育遅延型冷害  稔実障害型冷害  イモチ病害 *耐肥性 Chandler (1969) 9 I + + IR-8(改良品種) もみ収量(t/ha) I +            7 I +              I *              5 I* *              I+ *          * * Peta(在来品種)           −I −I −I −I −I −I − 0 30 60 90 120 窒素施肥量(kg/ha)   N投入への反応がよく,収量が増加すること. 根の窒素吸収力,耐倒伏性,受光態勢,耐病性などが関与. *病害   イモチ病,ゴマハガレ病,モンガレ病,白葉枯病・・・・ *耐虫性     福岡県内での水稲作への主要病虫害 ===============================   病虫害 重要性 品種間差 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 早期   いもち病   ? あり   イネ萎縮病(ツマグロヨコバイ) □ー△    あり   縞葉枯病(ヒメトビウンカ) □      あり 普通期   白葉枯病          ?      あり   ウンカ類(トビイロウンカ) ○      あり   カメムシ類         □ー△    ?   コブノメイガ □ー△    ?    その他 雑草防除        ○      なし(一発処理剤で対応)   メイチュウ,ハモグリ、イネミズ・・? ?(一部あり) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 早生ー極早生品種では耐縞葉枯病抵抗性を 中生ー晩生品種では耐トビイロウンカ抵抗性を付与すればかなりの対応が可能. [雑草防除] 水稲作の労働時間(米の生産費調査.農水省) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 1949年  1989年    単位:時間/ha 270日/ha=58日/ha −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 全体 216.2  46 1日=8時間 除草  50.6 2.8 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 除草剤使用により除草,全体の作業に要する時間が劇的に減った. [レース変化] 外国稲のいもち病抵抗性を導入した育成品種の罹病化の実態(渡辺 1980) ───────────────────────────────────── 品種 いもち病 いもち遺伝子 県 奨励品種採用 罹病 最大作    抵抗性遺伝子 由来品種 ・作付け年次 年次 付け面積 ───────────────────────────────────── Pi No.5   Tadukan  広島  1959  1962    クサブェ  Pi-k   茘支江  茨木  1961  1963  7200  γ             栃木  1961 1963 22898  〃             福島  1960  1964  5213 ユーカラ  Pi-k,Pi-a 同     北海道  1962  1964  41065 テイネ   同    同      北海道  1962  1964  11267 ウゴニシキ Pi-k    杜稲 秋田 1963  1964  12248 たちほなみ Pi-k   茘支江   山形  1966  1968  9066 峰光   Pi-a,Pi-km 北支太米  愛知  1965  1968  1433 シモキタ Pi-ta,Pi-a Tadukan   青森  1962  1969  7113 山形  1967  1969  7113 フクニシキ Pi-z    Zenith   福島  1964  1969  10317 やまてにしき Pi-z    Zenith   山形  1976  1977  6222 ───────────────────────────────────── 常にいもち病のレース変化との戦いであった. いもち病圃場抵抗性遺伝子源 ───────────────────────────────── 来歴   品種名 ─────────────────────────────────  外国稲 Modan   St.No.1,中国31号 由来  Zenith 奥羽244号,ウルマモチ    苗栗37号 奥羽247号 IRRI系統 IR279 日本陸稲 農林糯7号,農林21号,タチミノリ.黒禾,平山等 水陸交配系統 石岡3号,石岡糯7,10,14号 選捷系水稲  ほまれ錦,銀河,山路早生,ヨネシロ,トヨニシキ,鈴原糯等 在来水稲      農林22,23号,チヨヒカリ,タツミモチ.そらち等 ─────────────────────────────────  [良食味品種] コシヒカリ・・農林22号・・農林8号・・・・愛国    ・ ・   ・あさひ    ・ ・農林6号・・・・上州         ・ ・器量好    ・農林1号・・大場          ・陸羽132号・・愛国       ・亀の尾 あきたこまち; コシ/奥羽292号 はなの舞い(山形); 北陸99号/コシ 夢つくし・・・キヌヒカリ・・・・・・F1・・・・・・・・・・・・・・・収2800・・・・F1・・・・・・・F1・・・・・・・・IR8    ・・・コシヒカリ ・・・・ナゴユタカ  ・・・コシ ・・・コシ ・・・・コシ ・・フジミノリ どの品種もコシヒカリと極めて近縁である. [作況指数]
収穫年S51525354555657585960616263H1H2 MAXMINSTD
941051081038796969610810410510297101103 108875.6
小麦8584101114100651067287121109101121111121 1216517.2
これ以後の値は
作物統計の米麦作況欄をみよ.

小麦の値は稲に比べて年次間の変動が大きい.極めて米の作柄の変動は小さい.
戻る

栽培方法

[育苗] 育苗箱(長さ60cm,幅30cm,深さ3cm)にマット状になった苗を機械で植える. 通常,葉齢3.2の稚苗,育苗期間20日を使用.(中苗は4-6齢,30-40日,高冷地や暖地の遅植え用). うるち品種は比重1.13の塩水選をし,いもち病,ごま葉枯れ病,ばか苗病予防のため種子消毒をする. 浸種を13-10度で5-7日でする.低温でするのは吸水が早いものが芽を先にださないようにするため. 乾もみ重の15%以上吸水させる. 催芽(芽出し)を鳩胸状態にする.芽長1mm程度に.32度が適温.1日で発芽する. 育病箱にph5.0の土を2cm入れ,N,P,Kを1-2g 施肥し,200gまく.十分潅水してから5mmに覆土. 10aあたり,18-20箱必要.30-32度で2日加温して出芽させる. 緑化を鞘葉が1cm地上にでたら20-25度にして弱光にあててする.2日間,第2葉がでるまで行う. 棚に光が当たるよう間隔をあけて並べたり,ハウスに並べて薄い遮光フィルムをかけてする. 硬化のため,昼間30度以下で日光にさらし,夜間10度以上にし,自然環境に慣らす. [直播] 発芽苗立ち,雑草防除,鳥害,倒伏が問題である. 直播様式は,湛水直播,乾田直播,折衷直播に分類される. 湛水直播は播種前に代かぎを行う. 乾田直播は乾田状態で播種し,3〜4葉期頃まで畑状態でおき,その後,湛水する. 折衷直播は,湛水後に代かきを行わない場合や播種直後に湛水する場合などがある. その他,乾田土中条播早期湛水,乾田表面条播直後湛水培土などがある. [本田準備] 耕起を,トラクター(ロータリー)で,整地(しろかき)を水もれ,雑草防止のためにする.田面を平にする. 機械移植で,条間28-33cm,株間11-16cm.18-25株/u.1株4-5本を目標とする. [施肥] 玄米100kg生産するのに,N・Kが2.0-2.5kg,Pが1.5-2.0kg必要.分施する. 分施の手間を省くため,緩行性肥料を使うことも多い. [時期] 田植え時期は早いほど多収.但し平均気温12-13度が限界.台風回避,麦作との都合等で決定される. [早期栽培] 7-8月収穫目標.育苗とメイチュウ防除で可能になった.台風回避,早期出荷,秋落ち防止などの効果がある. 一方,高温登熟なので胴割れ米発生や長雨での穂発芽が問題となる. [水管理]  水もれ(地下浸透)量が10-15mm/day,減水深(地下浸透+蒸発散量)は20-25mmが適当とされる. 活着期は深水で苗を保護,分げつ期は浅水でときどき田面を露出して酸素を土中に入れ,有機物の分解を促進する. 幼穂分化期の15-10日前頃から中干しをする.無効分げつ抑制,土中に酸素を送り根を健全にする効果がある. 砂土や乾田での効果は明かでないが,植土や湿田では効果が大きい. その後,幼穂発育期には間断潅漑する.出穂期はたん水する.その後間断潅漑し,登熟終期に落水する. 寒地で穂ばらみ期に低温(20度以下)が予想されるときは12-15cmの深水にして幼穂を保護する. [追肥] 分げつ初期の追肥は穂数を増やす.穂肥は幼穂分化期および穎花分化中期でもみ数を増やす. 減数分裂期直前は穎花の退化を少なくして籾数を増やすとともにもみがらを大きくして,千粒重を大きくする. 穂ぞろい期以降の実肥は良食味米生産では避ける.. [病虫害の防除] いもち病:少日照,低温で多発.密植,遅植え,多窒素で誘発.部位により,葉いもち,穂いもち・・.    耐病性品種,薬散で防除する. ごま葉枯れ病:暖地に多い.肥料の保持力が弱く地力の低い田に多発.品種間差が大. 紋枯れ病:早植えで多い.高温,多湿年に多い.過窒素を避ける.薬散する. メイチュウ類:ニカメイチュウ(全国的)とサンカメイチュウ(暖地).茎が枯れ白穂になる,発蛾の頃に薬散する. ウンカ・ヨコバイ類:多くの種類があるが,セジロウンカ,トビイロウンカ,ヒメトビウンカ,ツマグロヨコバイ,   イナズマヨコバイが主である.稲作期間中に数世代くりかえし,大発生する.早めに薬散する. カメムシ類:もみを刺し,斑点米となる. イネミズゾウムシ:最近の侵入害虫である.成虫は葉を,幼虫は根を食害する.薬散する. [雑草防除] 1年生雑草:コナギ・キカシグサ・タマガヤツリ・カヤツリグサ・アブノメ・タイヌビエ・アゼナ 多年生雑草:ヒルムシロ・ウリカワ・マツバイなど. 初期(移植直後)の防除と後期(有効分げつ終期〜幼穂発育の初期)の防除があるが, 最近は田植え直後の一回の除草剤散布で効果の高い剤が開発されている. [収穫] 穂軸が完全に黄色になったころが刈り取りの適期.出穂後45日位.玄米水分は22ー26%である. 早すぎると未熟米や青米,遅すぎると茶米や胴割れ米で品質を落とす.バインダー,コンバインで収穫する. [乾燥] 手刈りやバインダーなら,地干し,かけ干し(はざかけ)でもみ水分を15ー17%にする. 仕上げ乾燥やコンバイン脱穀では火力通風乾燥機で14ー15%にする. 急激な乾燥をしたり,13%以下にするとひび割れ,胴割れ米になり,食味,品質が落ちる. [調製] もみすり.重量で79-82%,容量で50-60%になる.同時に不完全米(くず米)を除く. [ライスセンター] 共同乾燥調製施設.乾燥と調製をする.コンバイン収穫の生もみの一時貯留や予備乾燥施設を有するものもある. カントリーエレベーター;大規模共同乾燥調製施設で,貯蔵用(2000t)のサイロビン(穀物貯蔵槽)を備える. 品種画一化の結果となる. [検査・出荷(品質・食味)] 量目は1俵60kg.容積重(810g),整粒歩合(70%),水分含量(15%),形質(粒ぞろい,充実度,粒形,光沢), 被害粒(腹白,青米,胴割れ,茶米,しいな,砕け米,・・)の混入率(15%以下)・・で1ー3等に格付けされる. 流通は玄米でなされる.  [とう精] 玄米を白米にすること.92%(とう精歩止まり)位にする.除かれたのは”ぬか”. [貯蔵] 玄米で貯蔵する.包装のまま,カントリーではばら貯蔵する. コクゾウムシやかびがつくと着色米や変色米となる. 温度は10ー15度以下,湿度は75%以下とする. 最近は,低温除湿倉庫のおかげで古米の品質低下は小さい. [利用] 白米:飯用.タンパク質が7%含まれ,タンパク源でもある. 白米にビタミン補給するため胚芽米,玄米利用があるが食味劣る. 他に,加熱して糊化(アルファ化)し,米粉にして菓子にする. 蒸し米にこうじ菌をまぜ清酒,焼酎,みりん,食酢.ビールなどにも. [副原料] ぬか:食用油,飼料,つけもの床. もみがら:枕,荷物の充填材.炭化して吸着材,育苗資材,製鉄. わら:なわ,俵,畳床,しきわら. [陸稲(おかぼ)] やや低収である.品質・食味は劣る.葉は垂れ下がりやすい.深根性で水稲より耐乾性が強いが, 他の畑作物より耐乾性がかなり低い.穂ばらみから出穂期の干害に特に弱い.連作障害がある. 世界的には多くの面積がある. 
戻る

松島理論(理想型イネ)

幼 節 出 分 穂 間 穂   発   田   げ  分 伸   開   実 芽 植 つ 化 長 花 り --------------------------------------------------------------- 育苗期 I 分げつ期 I 幼穂発育期 I 登熟期 I (穂数決定)   I (粒数決定) I (粒重決定) --------------------------------------------------------------- 栄養成長期     I   生殖成長期 --------------------------------------------------------------- 5.1 5.25 7.23 8.25 10.10 (関東での例) [発芽]  最低は10度,最適は30ー32度,最高限界は42度. [生長] 鞘葉,第1葉(極小さい,不完全葉とも),第2葉(小さい),第3葉(大きい)・・ 鞘葉節から下をメソコチル(中胚軸)といい,伸長に品種間差がある. [分げつ] 主稈からのを一次分げつ,一次からのを二次分げつ・・.ある葉が新しく伸びるとき, それより3枚下の葉しょうの先から分げつが同時にでる(同伸葉同伸分げつの法則). 移植栽培では一次の1,2,3,4号分げつ位までは出ない. [最高分げつ期]  有効分げつ,無効分げつ,に分けられる.有効なものの割合が有効茎歩合. [葉] 葉身と葉鞘,その境に葉耳と葉舌がある.葉身は光合成をし,蒸散作用で 水分調節をする.内部には葉緑体をもつ葉肉細胞があり,維管束(葉脈) が縦に走る.上下の表皮に気孔が並列する.主稈葉数は14-17枚.葉数が 4枚に満たない茎は無効になりがち. [穂の構造と形成] 複総状花序とよばれ,穂軸が枝分かれして,一次,二次の枝梗がつき,それに小穂がつく. 1小穂に1花つく.一次枝梗の先に5-6個,二次枝梗の先に2-4個で1穂で80-150小穂つく. [ステージ] 出穂の30-32日前.幼穂分化期 止葉から下へ数えて3枚目の葉が出始めるころがで,生長点で葉のもとつくっていたのが穂のもとを作り出す. 出穂の28-26日前.枝梗分化期 出穂の22-10日前.穎花分化期 幼葉は長さが3mm位. 出穂の13-12日前.減数分裂期 花粉のもとの細胞が減数分裂をする. 出穂の10-7日前.穂ばらみ期 [開花・受精] 午前10-12時が盛ん.適温は30-35,最高は50,最低は15度.最適湿度は70-80%. 発芽後30m.後には花粉管は胚のうに達する.重複受精は5-6時間後に終了. [追肥時期]    追肥時期と収量構成要素の増減との関係(松島 1959より) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−       分げつ 幼穂分 穎花分化中 減数分裂 穂そろい       期 化期 期(穂肥) 期直前 期(実肥) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 穂数 ◎ ○  △ △ 1株もみ数 △ ◎ ○ ○ × 登熟歩合 × △ ◎ 玄米千粒重 × ◎ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 登熟歩合:比重1.06の塩水で沈んだものの割合 単位面積当りもみ数と登熟歩合には高い負の相関がある. 生育各時期の窒素過多が収量構成要素に及ぼす影響(松島) 2000 I 1株もみ数 I 1800 I * * * I * * * * 1600 I * I * 1400 I * I * * * * 1200 I * I 1000 I ----------------------------- 60 40 30 20 10 0 10 100 I 登熟歩合(%) I 80 I * * I * * * 60 I * * I * * 40 I * I ----------------------------- 60 40 30 20 10 0 10 30 I 1株収量(g) I 26 I * * * * I * * * 22 I * * I * 18 I * * I * 14 I I 10 I ----------------------------- 60 40 30 20 10 0 10 ↑   出穂前日数 移植期 出穂前33日(穂首分化期で穂首の節が生じるとき)の窒素過多が登熟歩合を低下させ,収量低下となる. 出穂前33日は穂首分化期で穂首の節が生じるときで,下部節間の伸長が始まり,ついで枝梗が分化し, 穎花分化期(幼穂分化期)へと続く. [穂首分化期の窒素追肥が登熟歩合を低下する理由] もみ数が増えすぎのため.但し-40〜30で悪く,特に-30. 倒伏のため. 出穂前のでんぷん貯蔵が少なくなる. 窒素成分が不受精を誘発.但しそれは不登熟粒の10%程度である. 上位葉(止葉,次)が長く,湾曲する.   葉の長さ(cm) 70 I I 60 I + + I 次 * + 50 I + + + * + I * * + + 40 I 止葉 * * * cm I -*-* *---------------------- 60 40 30 20 10 0 10 ↑   出穂前日数 移植期 750kg/10a以上の多収穫田では,LAIは5-9である.水平なら上位1ー2枚の葉で日光を独占する. よって上位1ー3を直立にすることが大切で,登熟歩合向上になる. 葉に平行に光をあたえて光合成を測定すると直角にあてた場合の87%にもなる.よって, 葉を直立にして光の透過を良くすることは,葉に斜めに光があたることより遙かに効果が大きい. 止葉と次の葉の長さと登熟歩合の関係は 100 I + I + + + + 80 I + * + I * * 60 I * I * * 40 I % I ----------------------------- 30 35 40 45 60 65 cm で,もみ数一定のなかで比較すると関係が薄らぐが,長いほど低下する, 特にもみ数が3万をこえるもの(+)で負の強い関係がみられる. [姿勢の制御] 稲の姿勢の変えかた(上位3葉を短く,下位3節間を短く):  葉身を上から B1,B2,B3・・ 葉鞘 S1,S2,S3・・  節間     N1,N2,N3・・   とすると, [B1,S2,N3],[B2,S3,N4]・・が同時に伸長する.N3を短縮させるときは B1(止葉)を目標にして処理する.       /B3               /B2 | S3   /B1 | S2 | N3 ← 同伸 | S1 | N2 | N1 農林25号(主稈葉数16)をポット栽培し,ある期間根を切らないように水洗して土を落し, 4-6日水においといて再び元のポットに植えた.B4:13葉 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−   窒素中断   12.1-12.8  13.2-13.9  14.4-15.0  15.1-16.0齢 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−   最も影響を  B4とB3 B3とB2 B2とB1 B1とB0(穂)   受けたのは  S5とS4 S4とS3 S3とS2 S2とS1 (順に)  N6節間は伸長しない N5とN4 N4とN3 N3とN2 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 従って主稈葉数16の品種を上から3枚の葉を短くし,下の3節間を短くするには, ある葉が出現し始めたときに窒素中断するとその葉と次の葉が短縮されるので, 止葉,15,14葉を短縮させるには14葉の先端が見え始めるとき(13.1齢), 安全をみこして12.1齢から中断して,15.0齢まで中断を続ける. すると上位3葉とその同伸の下位3節間が短くなる. 無窒素のポットに植えたのに,各時期に窒素を追肥したものでは,処理の影響は1枚遅れてでる. 12.0齢追肥では13葉には影響はでず,14葉が長くなる. 窒素中断の影響は直ちにでるが,追肥は土壌から吸収利用されるのに時間を要す. [要するに] 理想の稲の姿勢は上位3葉[B1,B2,B3]が短く直立で下位3節間[N3,N4,N5]が短い. 葉身が短ければ自然に直立し,厚くなり,対応した下部3節間も短くなる. B3を短くするには,主稈葉数16なら,         葉齢 葉齢指数 幼穂 出穂前 B4先端が出だした 12.1 76 穂首分化期  35日  に窒素中断し, B2伸長終った   15.0 93 穎花分化後期 20日  に追肥する. 但し,実際は多収穫田では稲体が窒素を過剰吸収している,B3とN5が対応するはずだがN4が対応することもあり 確実にするにはB4を短縮する. 嵐によればN5は出穂前32日に伸長をはじめその10日前の窒素制限が関係することから, B5先端が出だした(11.1齢,葉齢指数69,出穂前約43日)頃から窒素制限をする.
戻る

バイテク

[体細胞胚形成系] 小林・駒嶺(1989)  未熟胚 → 液体振盪培養 → 体細胞胚形成させた. 吉田ら(1989)  F1完熟種子胚 → 液体回転培養 → 苗条原基様培養物の増殖  → 胚様体 → 人工種子とした. [プロトプラスト培養系] 双子葉植物では葉からプロトプラスト(細胞壁を除き単離した細胞)が容易にとれたが, 単子葉植物では困難だった. 完熟胚,または未熟胚(固形培地) → カルス(液体液体振盪培養)    → 細かいカルス(酵素処理) → プロトプラスト → 細胞分裂,増殖 → 再分化 を Kyozukaら (1987)が確立した. 変異体選抜では, 白石ら(1988)はササニシキ,日本晴の短稈系統を, 植工研(Oguraら1987,助清ら1989)はコシヒカリの短稈系統,初夢を選抜した. 細胞融合や遺伝子導入をしなくとも利用可能.ただし反応の品種間差が大きい. [細胞融合] イネとタイヌビエの電気融合(Teradaら1987)で,ヒエの耐冷性導入目的とした. 雑種細胞から数本再生したが,異常で成長しなかった. 栽培イネと野生イネの融合(Hayashiら1988)で,雑種植物は開花したが稔実せず. 栽培イネ同士の融合(非対称融合.経塚・島本1988)で,片方の核を放射線で殺し, 細胞質(ミトコンドリア) のみを融合で取り込み,獲得形質が子孫に伝わることが確認された. 融合雑種細胞・個体が複二倍体や異数体になり,稔実が困難である. [細胞選抜] 細胞数/培養器=数10万〜数億可能である.変異原処理し,10-5で変異すると, 百万細胞からは10個の変異細胞が得られ,この中から選抜すると高効率になる. 目的形質としては,耐塩性,低温耐性,耐病性,除草剤抵抗性・・ 山本・島本(1990)はいもち病菌ろ液処理でイネカルスを処理し,抵抗性の再生個体を得た. [組換えDNA] -アグロバクテリウム法 この細菌中のプラスミド(プロトプラストとDNA)に目的の遺伝子を組み込み, イネなどに感染させて目的の遺伝子を導入する. -エレクトロポレーション法 プロトプラストと目的遺伝子を混ぜ,電流を流してあいた穴から遺伝子が細胞に進入させる. 大槻ら(1990)は,日本晴に本法で縞葉枯ウイルスに含まれる外被蛋白遺伝子を導入した. -パーティクルガン法 遺伝子を金などの微粒子にコーティングし,高圧ガスで細胞に直接打ち込む. Nono(2007)は本法でコムギのグルテン遺伝子をイネに導入した.その
米粉は膨らんだ. [導入形質] (農水省Hpより) 日本では, イネで,除草剤耐性,高トリプトファン,半矮性,直立葉,鉄欠耐性, スギ花粉症予防効果ペプチド,いもち病及び白葉枯病抵抗など, が導入され,実用化への試験が行われている.主にアグロバクテリウム法による. 参)世界での遺伝子組換え作物の栽培面積(2008年)は, −−−−−−−−− 作物   割合% −−−−−−−−− ダイズ  69 ワタ   46 トウモロコシ 24 ナタネ  20 −−−−−−−−− 出典;日本モンサント資料室. 急速に面積が増加しつつある. 戻る

食味,調理

食味の決定要因 [外的条件として] ◎品種・○産地(気温・土壌)・□気候・□栽培方法・ ○収穫乾燥法・□貯蔵法・□炊飯法・・  品種:最大要因.昭和54年から品種銘柄区分がつき買い入れ価格が異なる.  産地:土,気象,気温.米所.技術も含まれる. 気候:日照,温度.特に登熟期の温度(低温では劣る).  栽培方法:多肥,多追肥,生育後期までの肥効(有機Nなど)で高蛋白だと硬くなり,白度が低下する.  収穫法:もみの損傷.遅刈り,早刈りで劣る.  乾燥:適度の速度で適度の水分へ.  貯蔵:低温で行う.  炊飯方法:吸水,水分,火加減,時間・・が関与する. [理化学的条件] 水分・タンパク質含量・アミロース含量 ・アミログラフ(でんぷん糊化特性)特性  (最高粘度,最低粘度,ブレークダウン) ・炊飯のテクスチョロ(そしゃく動作のモデル化) メーター特性(硬さ,付着性) ・香り成分・遊離アミノ酸・・・ 食味=a1x1+a2x2+a3x3+a4x4+a5x5+b  の重回帰で相関が0.843,70%説明できた(竹生ら1985). ここで, ・タンパク質含量 x1 ・アミログラフ(でんぷん糊化特性)特性  (最高粘度 x2,最低粘度 x3,ブレークダウン x4) ・炊飯液のヨード呈色度(アミロース相応) x5 と,蛋白質とでんぷん特性でかなり説明できた. [アミロース] でんぷんは通常20%のアミロースと80%のアミロペクチンからなる. グルコースがα−1,4結合のみして直鎖状なのがアミロース, CH2OH CH2OH   |_ |_   _/ \1_4/ \_ ・・・ \_/ \_/ グルコース グルコース    α−1,4結合以外にα−1,6結合もして枝別れしたのがアミロペクチン. _ ・・ 4/ \1_ \_/ |   6 CH2 CH2OH   |_    |_ ・・ _4/ \1_4/ \_ ・・  \_/  \_/ コシヒカリなどの良食味品種はアミロースが17%位,最近の良食味品種はこの値を目標に選抜する. アミロース含有率は第一には品種で決まる.登熟期間の低温は高める.よって早植が有利に. [アミログラム特性]  最高粘度やブレークダウン値の大きいほうが良食味の傾向である.小麦でも同様な関係がある.    I ++     →最高粘度   粘 I + + + +   度 I + +++    →最低粘度    I +++   この差がブレークダウン値 −−−−−−−−−−−−−−−−→ 時間   加熱 93度 冷却 (糊化温度) [テクスチョロメータ特性] 口腔内での咀嚼をモデル化した測定器械を用いて測定した,硬さ,付着性,弾力性を測定する. [良食味品種] コシヒカリが代表.産地間競争のため各府県独自のブランド米が育成されている. [コシヒカリ] 福井県農試で1956年に宇都宮高農卒の石墨慶一郎が育成した. 同年新潟県で奨励品種に採用.翌年栃木県で採用.栃木県では県北での耐冷性を求めた. 現在,広く福島〜鹿児島で栽培され,全国の栽培面積の約30%をも占める. [良食味米生産の留意点] 一般的な栽培の注意点以外に, 1.良食味品種を用いる. 2.倒伏,病虫害など障害を防ぐ. 3.子実タンパク含量を高めない(有機質肥料に注意). 3.適期収穫. 4.収穫後速やかに水分20%以下に落とし,仕上げは14〜15%.急激な乾燥過乾燥を避ける. 5.晩期栽培は避ける. 6.貯蔵は低温乾燥. 北海道産米の食味特性(仲野1989) % ア I     + コシヒカリ ミ 18 I         + ササニシキ ロ I   | 20 I + 日本晴 ス I   ++ ゆきひかり 84,きらら397 88 含 22 I    + キタヒカリ 75 (上育) 量    I     + ともゆたか 77          −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 400 600 800 BU アミログラム最高粘度 アミロース含量を指標として選抜し,良食味米開発に成功を収めた. 北海道産米のアミロース含有率と食味諸形質との相関(稲津1988) −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− エクスチョログラム アミログラム  炊飯特性   食味官能検査 硬さ  粘り 最高粘度 膨張容積 容出固形物 総合評価 粘り   硬さ −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− 0.74** -0.68** -0.79** 0.55** 0.65** -0.95** -0.91** 0.89 −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−− [自主流通米の地域間移動の変化(農業白書1989)] 1976年 1987年 移出元 北陸 東北 北陸・東北・関東・北海道 ↓ 移出先 関東・東海・近畿・北海道・九州     同左 全国から消費地へ移動してきている. 米消費に占める外食の割合と米購入に占める上米の割合(農業白書1989) 25% I            外   I         # 88 食  20 I     # 85   の   I 九州  88    京浜    割 15 I 85 *    #81   合   I 81  *           10 I   *    +88         I +81 + 85           =   北陸・東北      0 I --+---+---+---+---+---+---+---- 30 40 50 60 70 80 90 % 上米の割合  (食糧庁「米穀の消費動態調査」による.上米:自主流通米が中心)  上米の消費の多い地域は外食も多い. [調理法(江上1976)] 1.炊く a.適量の水で炊く:日本,中国,韓国(米主食国) b.多めの水・調味料で炊き,出来上りが多水分:東洋の粥,欧・南米のスープ  c.米を油で炒め,水,スープを加えて炊く:欧,米,中近東の一般的な方法 2.ゆでる  多量の湯でゆで,汁をすて,バター,こしょうを混ぜ他の料理の付け合せやグラタンにする:欧.  これをさらに葉で包んで焼く,蒸す(東南アジア) 3.蒸す:蒸すのは東洋のみである. [米調理法の要約] 1.日本,中国北部,朝鮮半島では粘って柔らかなもの.適量の水で煮込み余分の水をとばす. 短粒種.アミロースが20%以下. 2.中国南部,南アジア,北米南部,南米北部では粘らず硬いもの.多量の水で煮たあと, 重湯を除き,さらに加熱して水気を除く.さらにこれに油をくわえたりする. 粒同士くっつかないようにする.長粒種.アミロースが25%以上. 3.欧,中南米の多くは粘って軟らかい〜中庸で,米を油で炒めてから, 多量の水か野菜,肉・魚介の調理汁の中で煮込む. 米に煮汁を十分吸わせる.アミロースが20か25%以上. 油を使わず,他の食材とも混ぜない日本の調理法は,米本来の性質が直接味に影響するといえ, 米の食味が重要視されることになる. [食味試験法] 訓練された概ね男女同数の24名のパネルにより,基準品種との相対評価で行う. 炊飯は電気釜を使用.無地の白皿に約50gづつ,基準米を含め盛りつけ外観, 香り,味,粘り,硬さ,これらの総合評価(通常これが食味の値)を±3区分 (わずか〜かなりの差)で評価する. 基準米との差の有意性をt検定する. 精米 600g(水分13.5%) 洗米 数回手早く 加水(1.5倍とされるが,1.3〜1.4倍がよい.    穀物検定協会では1.33倍で800g加水.    水分±1%で±16g.夢つくし,ヒノヒカリでは+6g または浸水30分(常温)後,ざるで水を切り+水750g (米の吸水+750g;米重量×1.25の水) 炊飯23ー24分,むらし20分とする. [参考] *大里ら 1998.良食味水稲品種における食味試験の精度.
日作紀 67:170―173. *大里ら 1996.品種と環境要因の交互作用からみた米の食味評価.日作紀 65:585-. *一昔前の多収が主目的品種はコシヒカリとの近縁係数が低い(吉田・今林,1998). *作付け上位品種の対コシヒカリ近縁係数値はここ参照. *対コシ近縁係数が高いほうが食味が一般に優れる(大里・吉田,1996) *松江ら 1991.北部九州産米の食味に関する研究 第1報 移植時期,倒伏の時期が 米の食味に及ぽす影響.日作紀 60:490−. *松江ら 1992.同 第4報 品種および産地での食味の安定性.日作紀 61:545- *松江ら 1991.貯蔵米の食味特性の品種間差.日作紀 60:537- *食味試験結果や適応性の図(松江,福岡農試特別報告1993) *松江,大里学位論文要旨 *標高との関係(今林・吉田,農業情報研究 6:1-8,1997戻る

価格,生産調整

[消費量] 平成15年度,一人当たり消費;米は前年の0.8kg減の61.9kg(昭和35年; 114.9).小麦は32.6kg. 国民1人・1日当たりの供給熱量;2,588kcal(内米から602kcal). 米を食べなくなった.これが根元の問題である. [生産調整対策] 昭和35年に初めて日本人が米を100%供給になり充分食べることができた. 昭和41年度末の古米持ち越し量は21万tであった. 以後の方策と消費減少で古米持ち越し量が急増し,44年から生産調整が実施された. 51年に20万ha,56年に65万ha,61年に60万ha,・・ 43年 総合農政   44年 生産調整の始まり 稲から飼料作物,園芸作物への転換 46年 稲作転換対策 休耕及び転作(集団転作,永年作物への転作) 51年 水田総合利用対策 麦,大豆への転換 53年 水田利用再編対策 地域ぐるみや団地形成転作を奨励 62年 水田農業確立対策 転換のみでなく,稲作の生産性向上と地域輪作                の確立といった水田農業の体質強化    ・・・・・・   平成12〜  水田農業経営確立対策   需要に応じた米計画的生産の徹底(面積から量の配分),麦大豆飼料作の本格的生産  (転作奨励金の廃止し,団地化や担い手への土地集積への助成). と名は変えてきたが,要するに転作奨励である. 転換作物別面積(平成15年) 総計  755,778 ha (麦 14.5,大豆 14.3,飼料作物 15.3,野菜 17.2 %) 水田面積は 256ha(平成17年) [米需給均衡化緊急対策] 62年末に古米在庫が230万tに達した.政府は翌年に売却可能な古米持ち越し在庫を 150万tとしている.この超える80万tのうちとりあえず30万tを63年度に次の措置をした.  政府が学校給食の拡大に       1万t 販売業者の在庫の新たな積み上げ 3万t 残りの26万tは,  農協が  消費拡大 2.7万t(農協備蓄1.2万t,米加工食品の追加製造          3200t,米菓追加製造2600t,農協による給食推進1500t・・) 他利用途米の拡大 12万t 需要開発米(他用途米よりさらに低い価格で生産し,需要先を開        拓するもの.4000t)  以上で対策を講じられなかった10万tは転作   注)国民1年1人あたり消費量はピークが昭和37年の118kg,61年が73kg. カロリー摂取量は2075キロカロリーでこれも50年の2226から減少している. [外中食産業] 1986年には米総需要量の約1割を外食産業が使用したが,その後家庭用が減少 するのに反して中外食用は増加し続け,37%をも使用している(平成16年,農水省). 到底無視しえない量である. [政府の米消費拡大事業の概要(昭和63年度)]  総計 227億8千万円   知識の普及・啓発 5億4千万円     専門家,婦人団体等による啓発 テレビ宣伝    米消費改善運動推進事業(パンフ,チラシ,看板等作成)    米飯給食普及事業(調理指導者の講習,先生への啓発)   地域米消費拡大対策 11億8千万円    県町農協米屋消費者団体一体の協議会開催    消費者,生産者,米屋の対話,講習会    展示会,講演会,アンケート調査等   学校給食への米飯導入の促進 207億円 (文部省への助成)    給食用米の値引き売却    学校給食用パン製造者の炊飯設備への助成   米新加工食品の開発・普及  3億円    新製品開発用米の無償交付    新食品の普及・啓発,展示会,技術講習等 [過剰米処理 (有坪民雄著,こめのすべて,日本実業出版社,より] 第一次過剰米処理:42ー43年の豊作で過剰米が生じ,45年に政府は特別対策を実施した.   工業用原料に過剰米を充当し,輸入米と同価格で卸し,横流れ防止に破砕精米.   飼料用も加熱圧ぺん,破砕着色し売り渡し.   輸出はFAOの余剰農産物処理原則に従って事前協議をし,タイ,米国等米   輸出国に影響を与えないように配慮し,現物貸与,延べ払い方式とした.   この輸出は49年までつずけられ,第一次処理に総計1兆円かかった. 第二次過剰米処理:50年代前半の豊作と消費減退で累積し,53末には570万tに 膨張した.当初480万t処理予定だったが,消費拡大のための新   米売却比率の引き上げのため600万tとなった.      54ー58年で工業用150万t,輸出308万t,飼料用153万t処理し,処分損失額が9千億   円,繰延べ金利が千億円の計1兆400億円損失した.      コスト価格ベースでは(評価損失額,処分時までの保有経費等含む)約2兆円.   (原典は田中勉.米穀の流通と管理,地球社) 処理に関する損失は食管会計で繰延べ措置を講じ,7か年にわたって一般会   計から食管会計のなかの国内米管理勘定へ繰り入れた. 過剰米処理には,1兆円,2兆円を必要とした. [食管制度] 需給・価格の安定をはかるための米穀管理 明治以前はまったくの自由市場で,農家の庭先で買付け,産地問屋が集め消費地へ流通した. 大正3年の大豊作と朝鮮米の大量移入を契機に大暴落し,7年には「米騒動」が各地におき, 社会的混乱がおきた.このため大正10年に「米穀法」を制定し,政府が必要に応じて時価で米穀 の買入れ,売渡し,輸出入規制を行った. 昭和8年には「米穀統制法」に改正し,最高・最低価格を設定し,この範囲で無制限買入れ・ 売渡しを行った.しかし,これらの制度は自由流通を前提とした間接統制方式だったので, 17年にこれまでの法律,規則を集大成し「食糧管理法」を制定した. 当時は全量政府米として買い入れ,国民へ割当配給い,戦中戦後の食糧不足時代に公平 分配を重点にした. [食管制度改変の経緯] 昭和20ー30年に国内生産の回復と輸入増加で自給事情が緩和した.  44年 自主流通制度 政府を通さない流通.良質米嗜好,供給過剰による財政      負担増大による.現在政府米を超える量になった.  56年 食管法改正 法制の整備.法の運用で行ってきた自主流通米,買い入れ      制限の法定,配給通帳の廃止,縁故米贈答米の規制緩和等  63年 米穀流通改善大綱 で,流通への競争原理の導入.予約限度を超える米      を集荷,政府米の入札売却制度,集荷・販売業者の新規算入の要件緩和      と業務地域拡大等. [新食糧法] コメ,麦など主要な食糧に関する生産・流通について定めた法律.正称は「主要食糧 の需給及び価格の安定に関する法律」.94年12月公布. 93年12月のウルグアイ・ラウンド農業合意で,政府はコメの原則関税化と市場開放を受け 入れたが,この戦後農政の大転換をうけて制定された.95年11月施行,施行と同時に従 来の食糧管理法は廃止された. 食管法は政府の統制色の強いものだったが,新法ではこうした規制を緩和した.具体的には, 流通は従来の政府管理米にかえて,計画流通米と販売ルートが自由な計画外流通米との 二本立てとし,市場原理を大幅に導入.これまでのヤミ米も計画外流通米に取り込まれる. 2003年に大幅改正,生産調整や米流通は,消費者・市場を重視した制度へと大きく転換 した.生産調整は08年度には国による生産調整配分をなくし,農業者・農業団体が主体 となる生産調整に移行.国は必要な支援,指導・助言などを行う.米流通では,現行の計 画流通制度を廃止,米流通を大幅に自由化. [新食糧法のポイント] 1.米の全体需給の調整 2.民間流通を流通の主体.政府は備蓄(150万t程度)の運営やミニマム・アクセスの運用. 3. 需給実勢を反映した価格形成. 4. 規制緩和による流通の合理化. 政府による統制は極めて徐々にではあるがはずされていき,民間主導へと変わっていった.
戻る

貿易,世界の生産

生産統計参照戻る
以上