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本頁は カンショの品種ベニオトメの解説(?)です.

この品種は,私が九州農試熊本のカンショ育種研究室在職中に,ときの研究室長久木村さんらと一緒に良食味多収耐病虫性を目標として育成したものです.

カンショ育種をしていたなかで最も印象に残る品種で,熊本での在職4シーズン目の1985年,いも畑でこれを掘り,これだ!と思ったときのことを今だに鮮明に覚えています.生産力予備試験中の材料で,形が整い,皮色もきれで大変目立ち,食味の予備試験にも優れておりました.

食用カンショは宮崎県の担当者の評価が一番厳しい.いつもお小言を頂戴していたので,この九州100号は自信をもって配布しました.

私の転勤後の1990年にかんしょ農林43号として品種登録,同年長崎県と鹿児島県で奨励品種に採用,2003年産では長崎県に78ha,福岡,熊本各約5ha,計89ha栽培されており(最高は1999年の225ha,以上農水省の統計から),ベニアズマの1万2千haには遠く及ばないが,さつまいも苗の売上TOP10(上山種苗)によると2位が“紅乙女”だそうです.サツマイモの通販でもよく本品種の宣伝をみかけます.

輸出用冷凍ベニオトメ 聞くところによると中国,韓国であやしげな名前を付けてかなりの面積栽培され,わが国へもコガネセンガンとともに焼酎用ということで大量に輸出しているらしい.写真は段ボール入り20kg冷凍ベニオトメ(香港天豊国際貿易有限会社Hpより引用.年輸出量約1万tとある).しかし許諾料が私の口座に振り込まれた形跡はない.

また,九州農業試験場ニュース No.46,研究紹介「ベニオトメ」中の育成者一覧で私の名前の記載が違っていて,これだけをみた人は私が関与したとはわからない.マアいいけどさ.いつも思うことだが,自分の仕事を広く世間皆に認めて貰い,褒めて貰うのが一番だが,たとえそうでなくとも,これこそは自分がやった!と言える経験こそが大切であり,ベニオトメはカンショ育種に貢献した証しの一つであるとは自負しています.

なお,交配は九州88号(多収,紅赤皮色)×九系7676-2(耐病虫).私は個々の交配親についての講釈はあまり好まない.育種材料全般(交配種子から配布系統まで)のレベルを高めることこそが大切で,その結果良いものが出てくるので,育成された品種の親がどうこうというのはあまり意味がないと思っている.本品種もそうで,食用品種選抜のため選抜初期から各種検定を強化した成果と思っている.口が曲がるくらい予備試験のいもを沢山食べた…

以上