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本頁の内容は,宇都宮大学農学研究科学生穴澤拓未によるワイルドライスの現地調査報告です.カナダのワイルドライス農家での栽培,収穫,加工,料理などの様子が紹介されています.


―カナダのワイルドライス―

穴澤拓未(宇都宮大学 農学研究科 生物生産科学科専攻 植物生産学講座 修士1年)



1 Sep 2004
 いよいよカナダに向け出発した。機内はかなり寒い。
 乗り継ぎのバンクーバーの空港で時間が余ったので、理容店に行ってみた。「Canadian style ,please!」とお願いしたら、周りを刈り上げられ、もみあげもキレイサッパリ剃られ、前髪がそろっている、いわゆる"坊ちゃん刈り"になった。どうみても、ファッション性には欠ける。カナダであんな髪型の若者はいない。あとで聞いた話だが、世界の理美容界でも、日本人・中国人の直毛は、難易度が高くて有名らしい。きっと、カナダの理容師さんも悪気はなかったのであろう。と、信じたい。

 サスカトゥーンのホテルに着いた。ホテルはカードキーを採用していた。部屋だけでなく、エレベーターにもカードキーが必要なことには驚かされた。一度リーダーにカードを通さないとエレベーターが動かないのだ。最初使い方がわからず戸惑っていたが、乗り合わせた他の宿泊客の方が教えてくれた。 夕飯は一人でレストランに行ってみた。ディナーのセットで一番安いグリルチキンセットにした。チキンの他に、ベイクドポテト、ガーリックトースト、コールスローサラダがついた。どれも量が多くてビックリした。

 シャワーのお湯の出し方が分からず、困惑した。いろいろ試して、最後に蛇口の上の小さな突起部を押すと、押してから10秒後(体感。)くらいにやっとお湯が出た。 ホテルの部屋があまりにいい部屋だったために、ウキウキして湯船にお湯を張り、入浴してしまった。しかし、長湯だったためか、上がったあとに、湯当たりを起こしたらしく、激しい吐き気に襲われた。おそらく、湯当たりのほかにも、今後の不安からくるストレスや、小型航空機からくる乗り物酔いや、時差による疲労なども影響していたように思う。 時差のために、一日が40時間ほどあった。実際に長い一日だった。

2 Sep 2004
 昨日は、ホテルドクターを呼ぼうか迷うほどの吐き気があったが、朝になると治っていた。助かった。

サスカトゥーン空港では、国内線であるにもかかわらず、手荷物検査がやたら厳しかった。カバンについているポケットの中身は全てチェックされ、常備薬が入ったポーチまで開けられた。その中から筒状のお守りがでてきて、「What's this?」ときかれたが、英単語がわからず、説明に苦労した。また、携帯電話や電子辞書などは一度電源を入れなければならず、さらに、飲料水は検査官の目の前で口に含み、安全を証明しなければならなかった。

サスカトゥーンから目的地であるラ・ロンジュまでは、10人乗りほどの小さなプロペラ機で向かった。とにかくエンジン音がうるさい。みれば、周りの幾人かは耳栓をしているではないか。賢い人たちだ。また、昇降の度に、ジェットコースターのような縦揺れがある。体の弱っている俺としては、すぐに気分が悪くなった。

90分のフライトの予定だったが、なぜか30分ほどして飛行機が着陸した。空港の名前はラ・ロンジュではない。困惑気味だったが、一応人に流れに身を任せた。実は、カナダの飛行機には目的地に着くまでにいくつか都市を経由するタイプがあり、現地の人々は日本でいう電車やバスのような感覚で飛行機を利用しているようであった。フライトの間に休憩があったおかげで、何とか吐かずに済んだ。

La Ronge, Saskatchewan, Canada 地図

ラ・ロンジュに着くと、ホストファミリーの方とのショッピングが待っていた。とにかくここは寒いからと言われ、防寒着をたくさん買ってもらった。中にパッドの入ったイカツイ感じのナイロンジャケット、裏地が起毛のオーバー、スウェットパンツ、タートルネックのシャツ、ウールの靴下など。こんなに買ってもらっていいのだろうか。カナダでの自分の立場がよく分からない。ゲストなのかヘルパーなのか…。

お世話になる家はウッド調でとても素敵だ。ラブラドールが2匹と、シェパードっぽい犬の計3匹がいた。もう1匹、ボーダーコリーがいたらしいのだが、昨年の秋にオオカミに噛み殺されてしまったという。え!オオカミとか庭先に出てくるんですか…!?このあたりは、クマ、オオカミ、シカの類は珍しくないらしい。

ホストファミリー

3 Sep 2004
午前中は、家にケーブルを埋めるために、穴掘りをした。幅20cm・深さ80cm・長さ10mほどの穴を3人で掘った。幅が狭い穴を掘るのは意外に難しい。

午後は、ワイルドライスの収穫を行うキャンプ地に、自家用飛行機で向かった。その飛行機というのが、水上離着陸の2〜4人乗り用のもので、これはヤバイ。コワイし、気持ち悪い。高度は50〜100mくらいで、たぶん景色は最高だったと思うが、それよりも乗り物酔いが激しかった。30分ほどで着いたが、降りてからは体がフラフラした。まだ体は弱っているらしい。

着いてからは、収穫の準備をしていた。主にボートやエンジンの修理・整備だ。ボートの修理には溶接が多用されていた。


俺は皆の英語が早すぎて理解できず、何をして良いかわからず、また、向こうも修理の段階で俺を必要としていないみたいで、特に声をかけない。俺以外は、皆自分の仕事を黙々とこなしていた。俺は何も言われないので、皆の後をついていくだけのアブラムシ状態だった。なにやら必要とされない辛さを感じた。

あまりに誰も声をかけないので、自分から尋ねた。I don't know what to do! What should I do? Can I help you anything? Please give me a job! などと何回言ったことか。でも言うたびに仕事を考えてくれるので、何もしていないよりはマシになった。少しずつだがコミュニケーションがとれてきたように思う。

実は、まだワイルドライスの収穫は始まっていない。今年のラ・ロンジュは晴天が少ないために、収穫は2週間ほど遅れているらしい。気温も低い。収穫適期は8/20〜9/20と聞いていたが、カナダに来る日程を、航空運賃の都合で10日遅らせたのは丁度よかった。10前に来ても、なにも仕事がない状態であったに違いない。

夕飯のあとに、日本からのお土産を渡した。ちりめんのハンカチとふろしきだ。小さなプレゼントだったが、Really pretty! といって喜んでもらえた。

今日からは家に帰らず、このキャンプ地で過ごすらしい。バンガローの中に2段ベッドが2つある。その上で、寝袋にくるまって寝る。もし寒ければ薪ストーブを焚けということだった。

4 Sep 2004
 午前中に圃場を案内してもらった。ファンによる風圧を推進力とするボートに乗せてもらった。ファンの音が非常にうるさいので、耳栓と防音ヘッドホンをつける。

 また、中にパッドの入ったイカツイ感じのナイロンジャケットは、ライフジャケットであることが判明した。パッドが入っているナゾが解けた!! ライフジャケットは、とても暖かく快適である。湖上は、想像以上に寒い。買ってくれたアイリスに感謝!

午後ははじめてワイルドライスの収穫を手伝った。その方法がおもしろい。ハーベスターの特徴を以下に述べる。

ハーベスター

 ハーベスターの原理は、ボートの先端にブルドーザーの先端のような爪を取り付けてワイルドライスの上を航行し、その爪に穂をぶつけて爪の中に種子を脱落させるというものである。爪の前面には粗い網(網目の大きさは4×8cmほどの長方形)、後面はメッシュのような細かい網が張ってある。前面の網は、爪がワイルドライスに当たった時に、茎が折れてしまうのを防ぎ、種子だけが爪の中に落ちるようにするためのものだと考えられる。後面の網は、水しぶきや空気を後ろの流し、種子が舞ったり、逆流したりするのを防ぐ役割があると考えられる。ある一定の速度で航行すると、茎は折れず、種子だけが爪の中にたまっていく。

ワイルドライスの上を航行するスピードは、10マイル/h(約16km/h)前後がベストだという。また、このボートは、水中のスクリューではなく、後部に設置された直径1.5mほどのファンによる風圧を推進力とする。これは、水中スクリューの場合、スクリューにワイルドライスの茎葉が絡まり航行が困難になるため、また、その回転によりワイルドライスを痛めてしまうためと考えられる。これらを防ぐために、前述したようなファンが採用されたのであろう。

ハーベスターの爪の中に、ある程度種子がたまったら、別の平らな形のボートの上にあける。

ボートに

種子はそのボートの上で袋詰めされる。その後、この状態で加工工場へと運ばれる。

袋詰

食事の時の話も書いておく。カナダの人は、フルーツの皮をむいて食べるということはあまりない。リンゴもモモも皮ごと食べる。朝食でオレンジがでたが、まさかオレンジも皮ごと!?と思って隣を見たら、既に跡形もなくオレンジがなくなっていた。「ああ。オレンジも皮ごと食べるんだなぁ。」と思い、我慢して皮ごと食べた。しかし、向かいに座っていたカナダ人は、日本同様、外の皮は残していた。ショック!! オレンジの皮は決しておいしいものではなかった。

5 Sep 2004
午前中は、ボートで隣の湖へ行った。この湖と湖は、幅2〜3mほどの細い小川でつながっていた。その小川ははげしく蛇行しており、航行中は少し目が回った。目的は、隣の湖のワイルドライスの観察と、ハーベスターの爪を1台運んでくることだった。

午後は仕事の途中で、激しい雷と、直径1cmほどの雹が降ってきたので、その時点で本日の仕事は終了してしまった。皆夕飯まで自分のバンガローで休んだり、トランプなどをして過ごすようだった。時間があったので、農家の仕事・収穫期・施肥・農薬・価格・品種について尋ねてみた。

以下にその回答をまとめておく。

農家の仕事について
 栽培といっても、こちらでは半野生栽培とも言える方法をとっている。そのため、農家がワイルドライスに直接行うのは、播種・収穫という2つの作業しかない。その他の仕事としては、機械や施設のメンテナンスや、湖水位の管理などがある。

収穫期について
 収穫は、例年は8月下旬から9月下旬に行われる。しかし、2004年のLa Rongeでは、異常な多雨とそれに伴う湖水位の上昇、日照不足そして低温のため、収穫が例年よりも2週間ほど遅れており、収穫の初日は9月4日であった。

 同じ圃場で収穫する周期は、およそ週に1回。主茎が成熟してから、次の分げつが成熟するのに5〜7日かかるため、1度収穫したところを5〜7日後にもう1度収穫する。約1ヶ月間これを繰り返して、最終的に同じ場所で5〜7回収穫作業が行われる。 

 種子は通常黄緑色のまま収穫される。水分は40%前後である。これには驚かされたが、おそらく茶褐色に成熟するまで待っていてはほとんどが湖中に脱落してしまうのだと考えられる。種子の色は、加工される工程で黒褐色へと変わる。今年のワイルドライスは前述した通り天候不順のために、不稔種子が多かった。

施肥について
 肥料は一切使用していない。全て自然にまかせている。

農薬について
 農薬(殺虫剤・除草剤の類)も一切使用していない。殺虫剤に関しては、収穫物をみるとアブラムシや蛾がついているようであったが、収量への影響は不明である。除草剤に関しては、あまり必要はないようである。湖畔にワイルドライスが群生しているところでは、ほとんど他の植物は見当たらない。他にはハスの類やスゲの類が観察されるが、湖自体、植生は単純である。これは、やはり湛水条件であるという事と、気温の低さなどが関係しているのではないかと推測される。 

価格について
 卸値は、1ポンド当たり約3can$( can$=カナダドル)だという。1ポンドを454g、1can$を80円とすると、1kg当たり約530円という換算になる。日本のコシヒカリを仮に60kg当たり2万円とすると、1kg当たり約333円であるから、それよりも高い価格で取引きされているということになる。

 小売価格は、1ポンド当たり6〜7 can$だという。円/kgに換算すると、1kg当たり1100円前後となる。日本のコシヒカリを仮に60kg当たり3万円とすると、1kg当たり500円であるから、それよりも2倍ほど高い価格で売られているということになる。ちなみに、物価を考慮しても、カナダと日本の物価はほぼ同じ水準にあるので、比較する上で大きな影響はないと思われる。

 また、日本での輸入ワイルドライスの販売価格は、白米のおよそ5〜10倍と、たいへん高価である。

品種について
 品種を尋ねたのだが、最初に「Zizania palustris 」 という答えが返ってきた。Zizania palustris の定義自体が、北米のあたりで自生しているものを、こう名付けたわけであるから当たり前である。しかし、これは、属と種を表す学名であり品種名ではない。ただ、その名付けられた学名を農家が知っていることに驚いた。日本の農家は皆、イネの学名を知っているのだろうか。

 品種名に関しては、特に知らない、というか名前が付いていないのではないだろうかと言っていた。品種というものは、誰かが育種したものに名前が付いたもので、カナダのワイルドライスは、本来自生のものなので、特に名前がないのではないか。滞在した農家でも、特に改良品種の作出などは行っていなかった。

6 Sep 2004
 このキャンプにいる仲間について記録しておこう。まずはRiese夫妻。夫のリンと妻のアイリスだ。他に、リンの義弟のミルトン、休暇で来ているドイツ人のステファン、飛行機パイロットのジョン、臨時職員のランディーがいる。またこの他に、日によってエンジン整備の人や溶接が専門の人が来たりしていた。


 今日もワイルドライスの収穫を行う予定であったが、風が強く、波も高いために、船を出すのは危険だということで中止になった。主に、船着場の整備やゴミ拾いをした。この場合、ゴミ拾いといっても、大きな木材などを運んだりしたので、けっこう力が要る。


 リンの奥さんのアイリスは、料理が上手なことで有名らしい。実際、料理はかなりうまい!彼女は言う。「ここは、カナダで1番おいしいレストランよ!」と。いや、ホントうまい。


 アイリスにワイルドライスの用途について尋ねた。すると「Everything!!」という答えが返ってきた。白米と混合、パン、スープ、サラダ、デザート、肉と魚と合わせて食べてVery good! だそうだ。基本的には、ワイルドライスと水を1:4の割合で50分火にかけ、炊いた状態にしてから使う。

ワイルドライスは炊くのに1時間近くかかるために、やはり調理が難しいという人がいる。しかし、そういった人々は、ワイルドライスの調理法を知らない人だと、現地の人は言う。ワイルドライスは1度炊いて冷蔵庫に入れておけば、2週間は保存が可能だという。炊いた状態で保存しておけば、いつでもワイルドライス料理を作ることができる。以下に、実際にカナダで食べた料理や、教えていただいた料理を挙げておく。

・白米との混合…軽く塩味がついている。主食として食べる。外観も想像ほど悪くなかった。
・ 炒め物…まずベーコンとキャベツを炒める。さらにタマネギ、ニンジン、コーン、パプリカ等を入れて炒める。それをワイルドライスと合わせ、コショー、醤油で味をつけて完成。

料理

・ロールキャベツ…ひき肉などと一緒にワイルドライスを詰める。
・スープ…鶏肉のスープ、クラムチャウダー、野菜スープ、たいていのスープに適する。
・パンケーキ…パンケーキのタネの中に、ワイルドライスを入れ、一緒に焼く。モチモチした触感が加わる。
・ヨーグルト和え…ヨーグルトとワイルドライスに、桃、リンゴ、バナナ、オレンジ、ブルーベリー、レーズン、砕いたアーモンドなどを好みで入れ、和える。ヨーグルトの代わりに生クリームと和えても美味しい。
・メープルシロップがけ…炊いたワイルドライスにメープルシロップをかけただけのシンプルな食べ方。デザートとしても美味しいが、食べ応えがあるので朝食にも適している。
・その他…ワイルドライスを使った商品として、ソーセージ、パン、パスタ、パフ(お菓子、シリアルとして)、マフィン、クッキーなどがある。

以上は、ほんの一部にしか過ぎず、ワイルドライス料理は無限に創作できるといっても過言ではない。アイリスは言っていた。「ワイルドライスを全てに試したい!そして、皆に広めたい!」と。

7 Sep 2004
 今日は、午前中にワイルドライスの収穫に出かけたが、予定していた場所のワイルドライスがあまりにも生育不良だったために中止になった。

 午後は、特に仕事がなかった。ゴミを拾ったり、TV用のパラボラアンテナの取り付けを手伝ったりした。

 夕飯の後に、ジョンとステファンがいるバンガローにお邪魔した。最初は、ジョンの出身地でもあるブリティッシュ・コロンビアの山やスキーについて話した。 ブリティッシュ・コロンビアも、すごいイイところらしい。いつか行ってみたい。

 その後、ジョンがギターを取り出して弾き始めた。俺も、何か楽器を弾ければなぁ、と思った。つづいて、ステファンもギターを弾き始めた。外国人は、皆ギターが弾けるのか。ギターを弾きながら、その自分の奏でる音に酔っている感じの彼らは、とても羨ましい。ステファンは、その上、カントリーミュージックを歌い始めた。

 楽器が弾けると人間の幅が広がる。音楽は、ミュージシャンを目指したり、自分を癒したりする以外に、コミュニケーションのツールにもなることを再発見した。あ〜、俺もギター練習しておけばよかったなぁ…。

 今夜は、何とオーロラを見ることができた!! ここでは、"Northern Lights"とも言うらしい。長い間、いつかはオーロラを観たいとは思っていたが、まさか今日ここで観られるとは思いもしなかった。アイリスが言うには、「研究者の中には、ラ・ロンジュは、サスカチュワンで最もオーロラの観察できる場所だと言う人もいる。」らしい。今日のオーロラは、薄っすらグリーンのかかったものだった。黄緑色に光る霧のようなものが空に現れ、時間と共にその色や形、大きさを変えていく。すごく神秘的で美しい。ただ、今日のオーロラは、やや薄く、小さいものらしい。寒い冬の日のオーロラは、ピンクや黄色の色を放ち、その光で外はまるで昼間のように明るくなり、また、それらが時間と共にDance Danceするという。観てみたいものだ。オーロラは、晴天の日しか観ることはできず、俺も滞在7日目にして、夜空がこんなに晴れたのは初めてだった。

 ラ・ロンジェはまた、星空も素敵だった。空にはこんなに星があったのかと思うほど輝いている。流れ星も頻繁にみられる。ゆっくり流れるものや、尾を引くものなど様々で、どれも美しい。夜空を見上げていた時間は15分ほどだが、流れた星は数えきれない。

 今日は素晴らしい一日だった。

オーロラ

8 Sep 2004
 昼時に、日本語の話題となり、"ありがとう"や"ようこそ"、"ごちそうさま"、"どうぞ"などを教えた。アイリスは、日本語に、ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字という多様な表記があることに驚いていた。Japanese is too difficult! 

 Riese's Canadian Lake Wild Rice が特集された雑誌をもらった。そこには収穫シーンの写真も載っており、非常に興味深い。

 薪割にも生まれて初めて挑戦した。斧自体がけっこう重く、足を怪我しないように注意が必要である。力仕事なので、途中から汗だくになって薪を割った。

 ここで使われているワイルドライスハーベスターは、リンのアイディアで作られたものらしい。鉄骨も溶接がハンドメイドな雰囲気を出している。

 最近少しずつ会話が弾むようになってきた。もっと、英語が聞けて、話せたら、どんなに楽しく、充実した時間が過ごせるだろうか、と切に思う。

9 Sep 2004
 今日は、なんと雪が降った!! というか、積もった!! アイリスが雪だるまを作った!この気候には驚かされる。

 一日雪で仕事が何もできない。



10 Sep 2004
 一晩中降り続いた雪や雨も止み、ワイルドライスの収穫に出かけた。場所は、飛行機で10分ほど行ったところの別の湖だ。

 ここのハーベスターは、簡易的なもので、座席の位置が低く、ワイルドライスを収穫する爪がただボートの先端に付いただけのものだった。オペレーターはミルトンだった。写真もたくさん撮らせてもらった。

 収穫したワイルドライスを袋に入ったままの状態で湖に浸した。これは、播種用の種子を湖水中に保存するのだときいた。いつ播種するのかと尋ねると1週間以内には播きたいと言っていた。今秋のうちに播種することに驚かされた。

 今日の夕日は素晴らしかった。赤紫色に空が染まり、それを湖の水がさらに美しく映している。逆さ富士ならぬ逆さ夕日だが、湖に映っている夕日のほうが輝きを増しているように見えた。

 夕日

11 Sep 2004
 今日でランディーがいなくなった。パートタイムの契約が切れたらしい。一緒に働けてよかった。真面目でまめなイイ奴だった。最後に2人で写真を撮れなかったのが残念。あまりに皆忙しそうで、誰にも頼めなかった。それとも度胸がなかったのか…。まぁ、仕方ない。最後に、堅く握手を交わした。

 今日は、アイリスとジョンもラ・ロンジュの方に戻ってしまい、ここキャンプにはステファンとミルトンと俺の3人しかいない。夕飯は、昨日の残りを皆でキレイにした。特に俺はよく食べた。カナダに来てからは、日本にいる時と比べて、3倍くらいのカロリーは摂取しているのではないか。夕飯だけで、日本の3食分以上あるのは間違いない。アイリスの味付けは、旨サッパリ味なので、不思議とお腹に入ってしまう。

 本日の俺の仕事を記録しておく。午前中は、一人で4台のボートの底にたまった水を抜き取り、捨てる作業をした。これは腰にくる。午後は、スノコ作り。まぁ、要するにトンカチ片手にひたすら板に釘を打ち付けていた。その後はひたすら薪割りをした。だんだん薪割りのコツもつかんできて、楽しくなってきた。あと、薪を割るのに、あまり力はいらないことがわかった。主に、斧の重さで割る感じだ。そして、丸太の中心に打ち下ろすのではなく、やや手前に打ち下ろすと割れやすい。

 ステファンが、一人でカヌートリップをした時に役立った、"単独カヌートリップ七つ道具"を教えてくれた。まずは、水没など体が冷えた時には火を熾せることが大切である。こすり合わせると火花が出る2本のスティック、ジーンズの端切れをシューズクリームの小さな缶に入れたもの、キャンドルが必要らしい。シューズクリームの缶には小さな穴が開いていてそこから布が少しだけ出ている。簡易のアルコールランプみたいなものだろうか。また、火がつきやすいものとしては、枯れた細い枝や、倒れた木などに生えている大きめのコケがある。

もしそれらが濡れていて火がつきにくい時は、白樺の木の皮が有効である。これは、何層にも重なっており、内側はだいたいいつも乾いている。それらをうまくはがすと、まるで紙のような質感で、火がつくとすぐに燃える。これらは実際に燃やしたが、かなり有効と思われる。火を熾すことができたら、次は食料を調達しなければならない。そこで釣り道具が必要となる。釣り針と糸、浮き・重りのセットを見せてもらった。これだけで食は満たせるという。他にはホイッスル(いざという時に助けを呼ぶためのもの)、常備薬(これは必要だ)、ロープ(何にでも使える)、サバイバルナイフ(いろんな意味で役に立つ)。これらを持っていれば、簡単には死んだりしないらしい。…いやいや。

 野草も2つ教わった。まずはミント。紫の花が咲き、湖畔にも生えている。ミントティーを作ってもらった。喉に良いらしい。色は黄緑色。けっこうおいしかった。作り方は、お湯を沸かし、沸かし終わったお湯に、水洗いしたミントの葉を10分ほど入れておくとのこと。決してミントを入れた状態で湯を沸かさないこと。そうすると味や香りが落ちてしまうらしい。もう1つはワイルドローズ。この実でお茶を入れた。いわゆるローズヒップティーだ。しかし、日本で市販されているような酸味のあるお茶とは別物だった。おそらく乾燥させずにそのまま生で用いたことによると思われる。作り方は、ワイルドローズの実を沸騰したお湯に入れる。

しばらくしてからその実をつぶす。するとワイルドローズのピューレみたいなものができる。それを濾しながらカップに入れれば完成だ。色は鮮やかなオレンジ色。まるでキャロットジュースのような外観だ。味はほんのり甘い、やさしい味だった。人によっては、好みで砂糖や蜂蜜を入れて飲むらしい。また、ワイルドローズはジャムにして食べたりもするらしい。  

12 Sep 2004
 今日は、ステファンにカヌーingを教えてもらった。まずはオールの持ち方。スティック部の端と端、なるべく広く持つのがポイントらしい。漕ぐコツは、ゆっくり大きくオールを動かすこと。最後は上半身を軽くひねるくらいまで大きく漕ぐ。これが最も疲れずに長い距離を漕ぐコツらしい。カヌーというのは、非常に細長い形で不安定な乗り物である。しかし、不安定すなわち水面と接する面積が少ないために、推進力を与えた時の抵抗が小さく、わずかな力でスピードが出る。そして特長としては、音が出ないこと。また、ガソリンを使わないこと。そのため、野生動物などを近くで見ることができる。

 夜に、ギターを少し教えてもらった。そして歌った。歌った曲は、ジングルベル・カントリーロード・ライディングホースその他よく分からないカントリーソングを適当に合わせた。ステファンばかり歌うので俺も日本の歌を歌いたくなった。何となく尾崎豊の"I love you"が思い浮かんだ。多少恥ずかしさはあったが、日本のラブソングを1つ教えた(気になった)。

カヌー

13 Sep 2004
 今日はTVクルーが取材に来た。主にワイルドライスの収穫の様子とリンへのインタビューという内容だった気がする。カメラマンとインタビュアーの二人だったが、外国の人は気さくな感じで何でも話しかけてくる。インタビュアーの英語は聞き取りやすい気がした。

 今日からもう一人、アールという男がキャンプに加わった。24歳のラ・ロンジュ人である。I love whiskey! I love women!!とボートの上で叫んでいた姿は忘れられない。

14 Sep 2004
 今日は何だかよく分からないうちにワイルドライスの播種が始まった。リンとジョン、アール、俺の4人で行った。

播種は、1度播いた場所には2度は播種せずに、翌年からは自然に生えてくるものを収穫している。すなわち、播種は主に栽培面積を拡大・充実させる場合にのみ行われるといってよい。1度播種してワイルドライスが生息している場所では、翌年からは播種は行わず、自然に落下する種子の繁殖力に依存している。

播種方法は極めて簡素で、ワイルドライスが生育できそうな浅瀬を選び、直接手で播くか、あるいは、電動のファンに種子をあてて播き散らす仕組みの機械を用いる2通りであった。播種時期は、収穫後1〜3週間後で秋のうちに播種を行っている。今年の場合は、収穫と並行して播種が行われた。

機械による播種法では、3分の1ほどが飛ばずにそのまま下に落ちたり、ボートの上に残る。したがって、あまり効率が良いとはいえない。その残った種子を手で集めてひたすらボートの外に投げた。この作業では、何と言ってもワイルドライスの禾が飛びまくりで、目に口に耳に首に入り大変だった。今も口から入った禾が、喉に引っかかってしまい、痛くてつらい。魚の骨が喉に刺さったみたいな感じだ。

播種の様子

キャンプに滞在するのもあと5日ほどだが、ホントに無事に帰れたらいいと思う。毎日、その日の仕事が分からないままでその日を過ごすのは辛い。心構えというものができない。例えば、いきなり飛行機に乗せられても、何分、もしくは何時間飛ぶのかわからない。ハーベスターに乗せられても、播種機を乗せたボートに乗せられても、何時間くらい仕事をするのか、何をどうすれば良いのか全く知らされない。これはしんどい。まぁ、毎日がいっぱいいっぱいですな。

15 Sep 2004
 今日は、主に湖岸に桟橋のようなものを作った。俺はいまひとつ戦力外だったが、水中に杭を打ち込むところから、ほとんど3人だけで5×10mほどのものを作ってしまった。おもしろかったのは、打ち付ける前に釘の先端を少しつぶす点である。釘の先端が尖ったままだと、打ち付けた時に板が割れてしまうらしい。最初は、釘をどの程度つぶせばよいのかわからず、つぶしすぎて皆に迷惑をかけてしまった。

 またハーベスターに乗せてもらった。種子が爪の中に落ちる瞬間や、別のボートにあける瞬間などを写真におさめることができた。また、ハーべスターの運転にも挑戦した。主な操作は次の通り。

 運転席の右側にレバーが一つある。そのレバーを握るとエンジンの回転数が上がり、スピードが出る。レバーを手前に引くと、ボート後部のファンのすぐ後ろに設置された2枚の金属板が左を向き、ボートは右に曲がる。逆に、レバーを前方に押し出すと、金属板は右を向き、ボートは左に曲がる仕組みである。座席の左側には、ボートの先端の爪を上下させるボタンがある。他には、正面にポータブルのGPSがある。これは、主に進行方向と進行速度を表示する。これらを操作してワイルドライスの収穫が行われるわけである。ちなみにブレーキやバックなどの機能はないので航行には十分注意が必要である。

16 Sep 2004
 午前中は、もう一つの湖にワイルドライスの収穫に向かったが、まだ雄花がついたものや不稔籾が多く、ほとんど収穫物として成り立たない代物だった。本当は一日中収穫を行う予定だったが、お昼で切り上げてキャンプに戻ってきた。

 午後は、ビーバーの巣を壊しに行くという。なぜかというと、ビーバーが湖から流れる支流などに木や枝を集め、ダム状の巣を作ってしまうので、そこで川がせき止められる。すると、湖水位が高い状態を保ってしまうので、ワイルドライスの生育に悪影響を与えるということらしい。すなわち、今年のような雨の多い年は、ワイルドライスの生育に適した湖水位を保つためにビーバーダムを壊す必要があるということである。実際にどうするのかというと、小さなダムの場合、素手、もしくはクマデのような道具を使って、ひたすら川をせき止めている木や枝を川岸に除ける作業が主である。

ダムが大規模な場合は、何とダイナマイトを使用する!! ダイナマイトは直径4cm、長さ50cmくらいの円筒形、重さは500gほどのものだった。そこに導火線を差込み、バーナーで火を付けると、1〜2分後に爆発した。生まれて初めてダイナマイトというものを手にした。セッティングの仕方は、爆破したい部分にダイナマイトの筒が入る穴をあけ、そこにダイナマイトを入れて、泥や大きな杭などでしっかり蓋をすれば終了だ。ただし、導火線だけは地上に出しておかなければならない。ダイナマイトを入れた穴に杭などで蓋をするのは、爆発力が上に逃げてしまわないようにするためだと考えられる。実際、導火線に火をつけてからは非常に忙しい。何しろ人命に関わる。急いでボートに乗り込み、爆発の影響のないところまで、とにかく逃げる。ボンッ!!という爆発音と共に、爆発に伴う衝撃波を肌に感じる。一度、蓋をするのに穴に差し込んだ杭が、地上20mほどの高さまで吹き飛ばされている様が見えた。見た目はただのオレンジ色の筒だったのに、すげぇ破壊力だ。今日は、通算3回ダイナマイトを使用した。日本人の自分にとっては、ものすごく危険なコトをしているような感覚があるが、彼らは、特別に危険なコトをしている意識はないようである。これが、彼らにとって日常なのか…。

この作業は、夜の8時過ぎまで行われた。暗闇をボートで走るというのは、なんとも不思議な感じがした。水面が夜空の僅かな光を反射していて、夜空と水面の境界線がわからなくなる。水しぶきも暗すぎて見えないために、まるでボートが宙に浮いているかのような感覚にとらわれる。

帰り道は、疲労と寒さのために、ものすごく長く感じた。枝分かれのない一本の川を航行しているのにも関わらず、どこかで道を間違えたのではないだろうかと疑うほど長く感じた。また、途中にボートが岩にぶつかったためか、船底に穴があいたらしく、浸水してきた。必死で船内の水を汲み取り、船外に捨てた。船内の水を捨てていれば、浸水して沈没することはなかったが、かなりハードだった。

 そんなこんなで、帰ってきたのは夜の9時ちかく。今日はみんなよく働いたと思う。ほんと。

17 Sep 2004
 今日は、ヘラジカのハンティングに出かけた。ボートに乗り、双眼鏡を持って、ひたすら湖岸の黒い点(ヘラジカは遠くから見るとただの黒い点にしか見えない。)を探す。NHKの熊を探すバイトの時と似ているが、今回は船の上から探さなければならない。

 夕暮れ時に発見。リンが3発発射すると、ヘラジカは湖の中に首を垂れた。初めて銃声というものを聞いた。パン、パン、パーンと、思ったより軽い音だった。

 仕留めたヘラジカの角とボートをロープで結びつけ、湖の中をキャンプまで引っ張った。

現物

 このヘラジカは、4歳半くらいだということが、角の分かれ方からわかるらしい。体調は3mくらい。体高は、2mくらいある。体重は、おそらく400kgくらいではないかとミルトンが言っていた。

 その後が、壮絶だった。何と、自分たちの手でヘラジカの解体を始めたのだ。もう日は落ちて真っ暗だったので、俺の仕事はライト係だった。常に解体するナイフの先を目で追い、ライトで照らさなければならず、解体されていくヘラジカから目を背けることはできない。血を見るのは苦手なため、ある意味、カナダに来て最もしんどい仕事だった。記録すべきか迷う部分はあるが、壮絶な解体手順を一応記しておく。日ごろ、自分たちが口にしている肉も、誰かが同じようなことを行っているという事実から目を背けていた自分に気づいた。

1.まずは、へその辺りからナイフを入れ、毛皮を剥がす。肉と毛皮の間にナイフを入れると、容易に割くことができる。
2.首にナイフを入れ、おそらく頚動脈を断ち、血をぬく。最初に刃があたり、血が噴出す様は忘れられない。その後も、水道の蛇口をひねったかのような勢いで、血液が流れ落ちていた。
3.胸の辺りからノコギリを入れて、胸から腹にかけて開いた。そして、薄い膜を剥がすと、内臓が教科書の模式図のように収まっているのが見えた。それらも、肉と内臓の間に上手にナイフを入れていくと、きれいに分かれる。もちろん、解体している人は血まみれだ。そして、ヘラジカがまだ温かいために、もうもうと白い湯気が立っていた。そのため、ミルトンの眼鏡は曇りっぱなしだった。
4.内臓とヘラジカの体は、きれいに分かれた。ヘラジカは内臓を取り出され、空っぽになった。内側に湖の水をジャブジャブかけて洗った。
5.アールが、内臓の中から心臓を取り出した。心臓はボーリングの玉ほどの大きさだった。教科書に載っていた模式図は偽りでないことがわかった。

 一応、今日の作業はここまで。残りは明日行われるらしい。

 今日は、ヘラジカハンティングに行こう、と言われたまではいい。しかし、解体までは聞いていない。しかもライト係だ。仕事を断るスキもなく、皆の真剣さに圧倒された。何というか、一生忘れられない貴重な体験をした日になってしまった。

18 Sep 2004
 ヘラジカは、今朝から、ノコギリ・オノ・ナイフなどを用いて解体された。内蔵は、ボートで湖の沖まで引いていき、捨てられた。その内臓には、早速水鳥が群がっていた。

 ヘラジカの肉は、足・胸・首・腹などに解体され、そのごロープで木に吊るされた。吊るす作業は、アールと俺の二人で行った。肉は非常に重かった。つなぎに血がついて、ヘコんだ。

 午後にキャンプを後にし、ラ・ロンジュのリンの家に戻ってきた。俺のワイルドライスの収穫作業は今日で卒業だった。

19 Sep 2004
 ワイルドライスの加工工場を見学した。一通り見学を終えた後に、片言の英語で必死に質問した内容が、すべてこの工場のHPに載っていることを知らされ、ショックを受けた。マネージャーさんは、俺の質問に丁寧に答えてくれたが、最初にHPのことも教えて欲しかった…。  (こちらへ)

 ラ・ロンジュ近郊で収穫されたワイルドライスは、この加工工場へと運ばれ、以下の7工程を経て出荷される。

1.乾燥・発酵…  2週間ほど屋外で乾燥させる。水・日光・乾燥した空気により自然の力で発酵させる。
2.火力乾燥…   4台の火力乾燥機を通して、水分含量を8%まで落とす。各乾燥機において、135℃で20分行われる。
3.ふるい分け… 大きさの異なる網目の上を通し、雑草・砂・ゴミ等を除去する。
4.脱ぷ…    イネと同様に、回転速度の異なる2つのロールの間を通し、脱ぷする。
5.不純物の除去…籾殻・ゴミ等を大型吸引機で除去する。
6.選別…    選別機によりX-large、large、medium、small、brokenの5等級に分けられる。
7.包装…    1袋当たり25kg詰めで出荷される。

乾燥,ふるい,脱ぷ,袋つめ

20 Sep 2004
 今日はラ・ロンジュを発ち、サスカトゥーンのホテルに一晩滞在した。

 お土産も買ったし、無事にホテルにも着いたし、レストランに行って夕飯も済ませたし、パーフェクトだと思って、さぁ寝ようと思ったら、飛行機のリコンファームをしていないことに気がついた。あぶねぇ…。

 外国のホテルから外線をかけるというのも貴重な体験かもしれない。ずっと聞き取りづらいネイティブの英語を聞いていたせいか、エア・カナダのオペレーターの英語は、とても聞きやすかった。俺の耳でも、多少英語を聞き取ることに対して進歩しているのだろうか。無事にリコンファームを済ませた。

 明日は無事に日本に帰れることを祈る。

21 Sep 2004
 今日は、トロント空港で迷った。やはり国内線から国際線に乗り換えるというのは容易ではない。まず、トロントに着いてから、"International"という表示が見つからなかった。エア・カナダのデスクの人に尋ねた。それでも迷った。両替屋のおばちゃんにきいた。とにかく上の階に行けと言われた。上の階に行ってもわからなかったので、空港のスタッフのプレートを首に下げている女の人に尋ねて、やっとInternationalのゲートに辿り着いた。乗り継ぎの時間が2時間しかなかったために少しあせっていた。ゲートで手荷物検査を受けて、それからInternational Terminalまでバスで行かなければならなかった。バスで20分ほどかかった。空港というところは、やはり広い!往路のバンクーバー空港は、国際線と国内線のターミナルがほとんど同じ建物にあった。やはりその方が便利だ。日本の成田−羽田間なんていうのは、きっと本当に不便に違いない。

最後にカナダにおけるワイルドライスについてまとめを書いて、この日記を終わりたいと思う。

今回のカナダ訪問は、水田へのワイルドライスの導入という点でみると収穫は少なかったと言わざるを得ない。それは、カナダの栽培法があまりにスケールの大きいものであり、耕地の狭い日本には応用が難しい部分が多くみられたからである。しかし、用途に関しては、大きな成果を得ることができた。ワイルドライスの研究を行っていると、多くの方から、「それは、おいしいの?」と質問をいただく。食物繊維やビタミン、ミネラルが豊富であるという栄養面での長所は知っていたものの、それが美味しい食材であるかは、私自身疑問を抱いていた。しかしこれからは、ワイルドライスは全てに使える魅力ある食材であると言うことができる。自信を持って人に勧められる確信を得た。これは、私の研究を意義のあるものであると確信させる大きな成果であった。

今後の課題としては、ワイルドライスをどう日本の水田に適応させていくかに尽きる。脱粒抵抗性を持った品種や多収品種の開発、栽培技術に関しても研究を重ねていく必要がある。

以上