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水稲栽培における小麦ふすまの施用と代かき程度の違いによる除草効果と水稲の生育・収量

2005年 3月
宇都宮大学農学部生物生産科学科
植物生産学コース 作物生産技術学研究室
013161A 白間 俊輔

目次

T 緒言                                    2                                               

U 材料と方法
1.	栽培方法                                  4
2.	試験圃場および試験区                            5
3.	調査項目および調査方法                           6

V 結果および考察
1.	生育概況およびふすま施用が雑草発生に及ぼす影響                      12 
2.	ふすま施用が水稲生育および収量諸形質に及ぼす影響                         24

W 総合考察                                                                  44

X 摘要                                                                      46
  Summary                                                                 47

Y 謝辞                                                                      49

Z 引用文献                                                                  50

[ 付表                                                                      52
T 緒言
 近年、消費者の食の安全・安心に対する意識が高まる中、有機栽培が注目されるようになった。今までの農薬・化学肥料を使用する事によって数々の弊害をもたらした農法からの転換と言えよう。実際、有機栽培によって栽培された農産物はJAS制度により規格に適合するものであれば有機農産物として表示ができるようになり、また、トレーサビリティーシステムや農産物にISOを導入するなど食の安全・安心への関心はますます高まると言える。しかし、それら農産物を生産する技術は未だ確立されていないのが現状である。

 無農薬・無化学肥料を前提とした水稲の有機栽培を行なう上で特に問題となるのが雑草防除である。現在までに有機物散布・アイガモ・コイ等の動物利用・液状活性炭マルチ・再生紙マルチなど種々検討されている(梅崎ら 1998、千葉ら 2001、大場ら 1998、)がいずれも労力またはコストの問題を抱えており、簡便で確実な除草方法は確立していない。こうした中、「米ぬか」や「小麦ふすま」の土壌表面施用による除草方法が研究されるようになった(前田ら 2003 中村 2004)。特に精麦時に出る小麦の皮くずで、一般的には家畜の飼料や健康食品に用いられているふすまによる除草方法は未だかつて研究のなされなかったものであり、中村(2004)はふすまの表面施用により米ぬかと同等、またはそれ以上の除草効果および水稲収量を得たと報告した。施用量に関しては米ぬか、ふすま共に100kg/10aが適当とされる(冨樫 2003、中村 2004)がふすまについては研究事例が極端に少ないため、検討の余地がある。ちなみに米ぬかは玄米収量約500kg/10aに対して50kg生産され、ふすまは小麦収量400kg/10aとした場合、約120kg生産される。ふすまは近年の農産物輸入拡大に伴い、その発生量は国内で年間190万t以上と増加しているものの、その廃棄量に見合った処理および有効利用法は未だ確立していない現状にあるのでそのような点から見ても、作物副産物の還元・循環が可能であるし、価格面でも20kgで600円代と、コスト的にも問題はない。

 また、農業体系の1つである代かきにも注目した。一般に代かきは漏水を防ぐ、雑草種子の埋没、耕土の状態と肥料の分布を均等にする、有機物の分解を促進する、田植の作業を容易にするなどの効果がある。雑草についてみると、代かきの回数を増やす事で土壌粒子が微細になり、濁水が生成されやすく土壌がトロトロになる事で雑草の光合成を阻害したり発芽を困難にすると言われる(前田ら 2003)。また、福島ら(2003)は、土壌の撹拌による濁水生成が雑草発生を抑制することを報告しており、さらに有機物を表面施用する事で相乗的な除草効果が期待できる。代かきが雑草発生に及ぼす影響についても研究事例が少ないが、雑草発生を抑制する条件が作りやすく、労力がかからないので、研究の余地がある。

 本研究では代かきとふすまに注目し、作物副産物の還元と循環を念頭におき、施用量の違いおよび代かき程度の違いが除草効果と水稲の生育・収量に与える影響について検討した。

U 材料と方法
1.栽培方法
試験は真岡市下篭谷地区にある宇都宮大学農学部附属農場の黒ぼく土水田で2004年に行なった。品種は水稲品種コシヒカリを供試した。種子は4月20日に比重1.13で塩水選を行い風乾した後、温湯消毒催芽機「湯芽工房(タイガー・カワシマ社製)」により60℃10分間温湯消毒した後、6日間浸種した。その後30℃で8時間催芽処理を行なった。催芽種子は、4月27日に60cm×30cm×3cmの田植機移植用育苗箱に乾籾換算で80g/箱を播種した。育苗床土として黒ぼく土である山土を使用し、箱の基肥として発酵鶏糞(成分でN2.5−P7.1−K3.4)を200g/箱施用し24日間育苗した。播種の際、土壌消毒の殺菌剤は使用しなかった。育苗箱は、ハウス内で保温シートをかけて4日間育苗し、その後保温シートをはずし、農場の慣行で育苗した。代かきは移植9日前に荒代かき、移植前日に植代かきの計2回行なった。移植は5月21日に草丈約16cm、3.6葉齢の中苗を1株あたり約3本として、栽植密度を20.8株/u(30cm×16cm)に設定し、6条田植機で移植した。

2.試験圃場および試験区
試験圃場は堆肥を2003年に10aあたり5t、2004年には2t施用している有機栽培転換期間中の水田である。堆肥は落ち葉、牛尿吸収籾殻、牛糞混合稲藁による水分率79.1%の完熟堆肥(窒素1.8%、リン酸2.0%、加里1.6%)で、2004年は2月27日、マニアスプレッダ−を用いて施用した。なお、いずれの試験区においても前年度の稲藁を土壌に還元している。

対照区は、ほうき除草を中心に行なった。ほうき除草とは、3連の竹ほうきを引いて畦間の土壌表面を撹拌し、雑草の光合成を泥水で阻害して生育を抑えることや雑草を定着させないためにする方法である(写真1)。ほうき除草を6月1日、8日、15日、除草機がけおよび手取り除草を6月29日、7月6日に行なった。なお、無農薬・無化学肥料の雑草発生を調べるため、雑草調査地点は除いて除草した。ただしほうき除草や除草機による泥水は調査地点まで達していた。ふすま50kg区および100kg区は除草のため移植後すぐ田面水のない状態でふすまを50kg/10aおよび100kg/10aを表面施用した。

また、代かきの程度を変えるため標準代かき区は他実験圃場の方法に準じ、細代かき区は植代かき時に標準代かき区の1/2の速度になるようにギヤを変えて代かきを行なった。

ふすまの成分は窒素2.5%、リン酸2.5%、加里1.6%(日本標準飼料成分表 1995年版 中央畜産会より、全窒素は粗蛋白質含量を窒素係数6.25で割って求め、リン酸は全リン含量Pにリン酸係数P2O5/2P=2.29を乗じて求め、加里はカリウム含量KにK2O/2K=1.20を乗じて求めた)である。また、ふすまの施用は人力により均一になるように散布した。なお、試験区は全区無農薬・無化学肥料栽培をおこなっている。

3.調査項目および調査方法
(1) 雑草調査
60cm×50cmの0.3uを1調査地点として、1試験区あたり3反復で行なった。8月2日に調査地点内の雑草を抜き取り、種類ごとに分けて本数を数えた。根に付着した泥やゴミを洗い落とし、80℃で2日間通風乾燥後、乾物重を測定した。雑草発生本数と雑草乾物重は1uあたりに換算した。

(2) 土壌の酸化還元電位、pHと地温の測定
酸化還元電位は東亜電波工業製のポータブルORP計シリーズRM−12Pを用いて試験区周辺の株間に深さ2〜3cmに白金電極を設置し、移植後4時間後から4時間おきに24時間後まで測定し、その後午前10時前後を測定時間として5月23日〜5月28日まで毎日測定した。pHは東亜電波工業株式会社製のポータブル計pH PシリーズHM−12Pを用いて、地温は佐藤計量製作所製の防水型デジタル温度計SK−1250MCUを用いて酸化還元電位の測定と同時に測定した。なお、酸化還元電位、pH、地温の測定は各試験区で2反復ずつ行なった。

(3) 生育調査
生育調査は草丈、茎数、葉数、葉色値の4項目を行なった。試験区ごとに周囲を欠株のない10株(5株2畦)を1つの調査地点として、葉数、葉色値の計測は1試験区あたり1地点行い、草丈、茎数の計測は1試験区あたり3地点行なった。草丈、茎数、葉数を6月10日〜8月17日まで2週間ごとに、葉色値は6月24日〜9月14日まで2週間ごとに測定した。葉色値の測定には、ミノルタ社製自動葉緑素計(SPAD502)を用いて最上位展開葉の前の葉の中央部を測定した。

(4) イネミズゾウムシ調査
1試験区あたり40株、3反復で行なった。6月3日に発生しているイネミズゾウムシの 個体数と食害程度を調査した。個体数は地上部で確認されたものを記録し、食害程度は1葉だけの食害が見られたものは1、2葉食害が見られたものを2として0〜3まで4段階で表した。

(5) いもち病罹病調査
いもち病罹病調査は、1試験区あたり40株、3反復で行なった。9月6日に発生している葉いもちと穂いもちについて調査した。葉いもちは、最上位展開葉から3葉目までのいずれかに5mm以上の病斑のある茎を数え、穂いもちは、穂首以上に明らかな病斑があり(、穂が50%以上不稔になっている穂を数えた。 いもち病罹病調査と同時に紋枯れ病罹病調査も行なった。株の最下位展開葉が罹病していれば1、その上位葉まで罹病していれば2として、0〜4まで5段階で表した。

(6) 乾物重および窒素吸収量調査
収穫期の9月20日に稲株を掘り取り、調査を行なった。調査は生育調査地点の平均茎数を調べ、平均茎数を持つ株を各調査地点の周辺から2株掘り取って行なった。掘り取った株に付着した泥やゴミを洗い落とし、根を切除し、穂、葉身、葉鞘+茎に分け、80℃で2日間通風乾燥後、乾物重を測定した。乾物試料は、1cm程度に裁断した後、HEIKO製粉砕機(SAMPLE MILL TI−100)で微粉砕し、島津社製NCアナライザ−を用い窒素含有率を測定した。

(7) 収量および収量構成要素調査
収穫期の9月20日に収量および収量構成要素調査資料の採取を3反復ずつ行なった。収量調査は1反復あたり10株×2列計20株を地際から刈り取り、穂数を数え、風乾した後に全重、精籾重、総玄米重、精玄米重、水分含率を測定した。粒厚1.8mm以上を精玄米として、水分15%に換算して精玄米重とした。なお、水分含率はケット科学研究所製の成分分析計AN−700を用いて測定し、同時に食味値と蛋白質含有率も測定した。

収量構成要素は、収量調査から得た穂数のデータをもとに収量調査地点の周辺から各地点の平均的な穂数を持つ株を1反復あたり5株掘り取った。各株の平均的な穂4本を取り出し、1反復あたり20穂の籾数を数え、比重1.06の食塩溶液で塩水選を行い、登熟籾と不稔籾とに分別し、それぞれの粒数を測定して登塾歩合を算出した。各株から全長の長い順に3茎抜き出し、1反復あたり15本の穂長と節間長を測定した。玄米千粒重は玄米20gを秤量し、その粒数から算出した。また、収量調査の刈り取り時に、坪刈り地点と周辺部の倒伏程度を調査し、倒伏しなかったものを0、完全倒伏したものを5として0〜5の6段階で表した。

V 結果および考察
1. 生育概況およびふすま施用が雑草発生に及ぼす影響
生育概況を第2表に示した。本実験を行なった2004年は生育全期に渡り天候がよく、気温も田植後から収穫期まで20℃を上回り、特に不良天候年の2003年に比べ7月の平均気温は5℃高かった。そのため幼穂形成が順調で、出穂期は約1週間早かった。降水量は収穫期に近い9月に多くなったが、収穫に影響はなかった。茎数や穂数は天候以外の要因があると考えられたが、標準代かきや100kg施用では生育が良好であった。雑草については気温の高さが発生を促した可能性があった。今年の天候は水稲の生育には好条件だったが、同時に雑草の発生・生育にも同じ条件であったと考えられた。

草丈・茎数共に標準代かきが細代かきを大幅に上回った。施用量の違いでは、100kg施用が最も高かったが、対照区と50kg施用では代かき程度により、標準代かきでは対照区が、細代かきでは50kg施用が100kg施用に次ぐ生育を示した。有効茎歩合は50kg施用で80%前後と他区より低かった。最大茎数が多かった100kg施用では有効茎歩合が90%弱で穂数も確保できた。出穂期および穂揃い期は、細代・対照区で他区より3〜4日の明らかに遅れた。倒伏は全区見られなかった。 全雑草の発生本数と乾物重を第1、2図・第3、4表に示した。発生本数は標準代かきが細代かきに比べ半分以下に抑えた。ふすま100kg施用では共に発生を抑え、290g/u、480g/uと抑制効果があった。雑草種についてみると占有種はコナギ・キカシグサであり、特にコナギは全区発生本数の50〜90%を占めた。ふすま施用量が多いほどコナギ・キカシグサの占める割合が高くなる傾向が見られた。

雑草乾物重は標準代かきで高かった。これは標準代かきで発生したコナギは個体が大きく、一方細代かきのコナギは個体が小さいものが多かったためであった。施用量の違いでは標準・100kg区が他区に比べ、明らかに低い値を示した。細代・100kg区での乾物量増加は、コナギ1個体が大きかったためであろう。コナギが雑草乾物重のほとんどを占める事から、コナギの本数よりもその生長により乾物量に差が出る事が認められた。

酸化還元電位とpHの変化を第3、4図に示した。酸化還元電位を見ると、ふすまを施用した区では移植後急激な低下をしたが、100kg施用では特に低くなった。ふすま施用した区は移植後4時間毎では20時間まで−50〜−150mVで低下し続け、その後1週間は5月23日から緩やかな低下を見せた。対照区は終始穏に低下し、1週間後に負の値になった。代かきの違いによる差は対照区・ふすま施用共に明確ではなかった。酸化還元電位がふすま施用で急激に低下し、施用量が多いほど低下が急激であった。pHは、細代かきで低くなった。最終的にはふすま施用が高く、対照区では低くなった。これは一般に土壌が酸化的であればpHは低く、還元的であれば高くなる(農分協編 新版土壌肥料用語事典)からである。代かき程度の違いによる酸化還元電位やpHの変化については明らかな差が見られなかったが、ふすま施用による明らかな変化は認められた。

千葉ら(2001)は、雑草乾物重は有機物資材(米ぬか)の施用量が多いほど、抑えられるとしているが、本実験においては標準・100kg区でその傾向が見られた。50kg施用では対照区より雑草発生が多かった。対照区ではほうき除草の際の濁水が除草効果に寄与した可能性も考えられるので単にふすま施用の有無で発生量を比較することはできなかった。また、米ぬかの分解過程における有機酸の生成による除草効果を示唆していることから、ふすまについてもこのことは充分に考えられる。有機酸とは酢酸やプロピオン酸などの低分子有機酸とされており、植物生長阻害活性があることが認められてる(農文協編 米ぬかを使いこなす)。雑草種については、コナギが大半を占めた。コナギはある程度(20〜30%)の遮光条件でも生育し、加えて他草種に与える影響が大きく、他草種から受ける影響が小さい(椛木ら 1984)ためだと考えられる。標準代かきで乾物重が高くなったことや、細代かきで発生本数が多かった要因としては、標準代かきでは雑草発生の不斉一により初期に発生したコナギが草種間、個体間で養分競合し、後続の雑草の発生、生長を妨げたため個々のコナギの乾物重が高くなったものと考えられ、逆に細代かきでは雑草発生の斉一を導き、初期からの養分競合により発生本数の割に乾物重が抑えられたと考えられる。丁寧な代かきにより、土壌が単粒化し柔らかくなる事で雑草種子の埋没および雑草種子分布のばらつきを低減する様な作用が働いたと考えられた。種子分布のばらつきをなくし、発芽条件を揃えることは発生の斉一につながる。しかし、発生本数は標準代かきより大幅に多かったため、種子が発芽困難になるほどの埋没はなかったのだろう。片岡ら(1978)によると、コナギの出芽は湛水下のごく表層で起こるとされるので、丁寧な代かきはむしろ、土壌中に点在している種子や、埋没している種子を土壌表面に押し上げた可能性が考えられる。中村(2004)は、米ぬかやふすまを散布した区、特に100kg散布した区では雑草1個体の乾物重が高く、発生本数の割に乾物重が高くなる結果を示しており、代かき程度の違いの他にも雑草の養分競合も示唆された。しかし代かきの違いによる除草効果を総合的に見ると、どちらが効果的であるかは明確化し難いものがあった。

本実験では代かき程度を変える方法としてトラクタ−の刃の回転数は変えずに走行速度のみを変えて行なったが、方法を変えた場合に雑草発生にどう影響するか、また、対照区でほうき除草を行わなかった場合、雑草発生はどのように変わるは、今後の検討課題である。

ふすま施用による酸化還元電位の低下は施用区全てで認められたが、代かき程度の違いで比較した場合は明確な差が見られなかった。熊野ら(1985)は、代かきにより土壌の保水性が増す事によって減水深は小さくなるとしているが、本実験では細代全区で排水口のすきまから水が流れ出た可能性が考えられ、移植後しばらくは減水深が大きく、度々用水路からの水供給があった。田面水の入れ替わりで土壌に酸素が供給された結果、細代かきの電位低下が妨げられた可能性もあり、加えて水の入れ替わりにより、土壌が締まって濁水が生成しなかったため雑草を抑制できなかったと考えられた。これらの事から丁寧な代かきが雑草種子の分布を均一にした事や、細代区で水やふすまの流出がなかった場合、濁水生成やふすま施用時の還元的移行により雑草を抑制できるのではないかと考えられた。

占有種であったコナギについては、発芽時の酸素要求度が少ない(片岡ら 1978)ので、ふすま施用区で多く発生したが、細代かきでの発生本数が多くなった要因として、酸化還元電位の変化より、先ほどの細代かきにおける雑草発生の斉一であると考えられた。

ふすま施用により、酸化還元電位は低下したのは、ふすまの土壌中における分解過程で土壌中の酸素を消費し、土壌中を嫌気的にさせるためである。前田ら(2003)は、有機物施用により酸化還元電位は低下するが、極端な低下は酸素要求度の小さいコナギ・イヌホタルイなどでも発根しないとしているが、本実験でふすま施用によりそこまでの低下は見られなかった。むしろ酸化還元電位の高かった対照区に比べても顕著な除草効果を示さなかった。

2.ふすま施用が水稲生育および収量諸形質に及ぼす影響
(1)草丈・茎数・葉数・葉色値
 草丈の推移を第5図に示した。代かき程度の違いでは標準代かきが大きくなった。施用量の違いでは100kg施用が大きかった。6月後半から細代・対照区、50区で他区より生育が遅れた。その後生育が回復したが、他区を上回るまでには至らなかった。

 茎数の推移を第6図に示した。標準代かきでは生育初期から分けつの発生がよく、茎数をより確保した。細代かきで生育の良かった100kg施用でも最高茎数が210本/uと、標準代かきで生育の劣った50kg施用の250本/uにおよばず、代かき程度の違いにより茎数に差が現れる結果となった。細代・対照区、50kg区は草丈同様、低く推移した。細代・対照区は、初期は緩慢な茎数増加を見せたが、最高分けつ期から茎数がさほど減少せず初期の生育の出遅れを最低限におさえた。一般に茎数は最高分けつ期に最大となり、以後は穂にならなかったり枯死する無効茎が増すので最高分けつ期を境に茎数が減少するが、細代・対照区ではこの傾向が見られなかった。対して同50kg施用では初期に茎数の増加が見られたが、6月後半から急激に低下し、最終的に150本/uにまで低下した。有効茎歩合も他区に比べおおむね8〜10%の低下が認められた。6月後半まで同様の生育を示した細代・100区では、茎数の急激な低下は見られず、最高分けつ期まで茎数を維持した。

 葉数の推移を第7図に示した。生育の経過中に差が広がったり縮まったりしたが、最終的には全区14齢近くなった。茎数ほどの影響は葉数についてはなかったものと思われる。

 葉色値の推移を第8図に示した。葉色値は生育が順調に進んだ標準区や細代・100区で出穂期前後から次第に下降し始め、生育の良好だった区でより低く推移した。生育が停滞し、生育の途中から持ち直した細代・対照区はむしろ生育後期に高い値を取った。同じように生育の停滞が認められた同50kg施用でも同じ傾向が見られた。この値は出穂期および穂揃期の遅延(第2表)と関係すると考えられる。

イネミズゾウムシの発生個体数と食害程度を第9、10図に示した。イネミズゾウムシの個体数は標準代かきで0.1〜0.3個体/株、0.2〜0.4個体/株となり、標準・100区では有意に発生が少なく、細代・100区でも低い傾向が見られた。食害程度はほぼ個体数に一致した値を示した。

 いもち病と紋枯病調査の結果を第11、12図に示した。穂いもちについては標準・100区以外は全く見られず、標準・100区でも0.01本/株と非常に小さな値で有意差は見られなかった。葉いもちについては両100kg施用で高い値を取ったが、一番罹病株が多かった細代・100区でも0.17本/株にとどまり、紋枯れ病については、夏季の高温多湿の条件下で多発するとされるが、細代かきで高くなったのみで有意差は見られなかった。これらの値は生育に影響を与える事はないものと考えられる。

 ふすまを100kg施用すると水稲は順調に生育した。千葉ら(2001)は、雑草が抑制できない場合、茎数が伸び悩むとし、前田ら(2003)は、有機物散布した場合、有機物の分解過程において酸化還元電位の低下(酸素濃度の低下)が促進され、加えて田植時に起こる植え傷みによる養分吸収抑制により初期生育は抑制されるとしているが、ふすま施用および標準・対照区でも初期生育は良かった。苗質は移植後の活着、発根力、養分吸収などを通じて初期生育と密接に関係することは広く知られている.(楠谷

 1986、山本 1995a、山本ら 1995b、佐々木・後藤 1999)また,米ぬか処理における稚苗移植では初期の分けつはやや抑えられるとしている(中山 2002).今年の苗は,葉齢3.6の中苗で健苗であったため、植え傷み、また酸化還元電位の低下による初期生育やその後の生育への影響よりは、雑草乾物重と茎数の関係が一致しており、イネミズゾウムシの根部加害を受けた細代・対照区、50区を除けば、雑草の乾物重が高くなった区ほど茎数が低かったのでむしろ生育は雑草との競合に左右されたと考えられる。酸化還元電位も初期の水稲生育に影響を及ぼすものと考えられるが、雑草発生と同様生育への影響は見られず、一番低く推移した標準・100区で−200mVなので、−200mV程度の電位でも生育が可能であった。細代・対照区ではイネミズゾウムシの幼虫による根部加害を6月中旬以降受けたが、その後は有効茎を90%維持した。一般に最高分けつ期以降茎数は低下するが、茎数の増加が見られた事から、生育調査自体の精度に問題があったと考えられる。初期の生育の停滞を補う形で推移した要因としては、堆肥の肥効が徐々に現れた可能性が示唆された。葉色値の値が、根部被害を被った上記の2区では初期に低下し、徐々に上昇している事を合わせて考えると、明らかな生育の遅延が起こった事が分かる。実際出穂期も他区より2日から4日程度遅くなった(第2表)。

 丁寧な代かきはむしろ水稲生育を抑制した。今年のような気温の高い年では地温が上昇し、土壌微生物の活動が盛んになり、土壌中の地力窒素や有機態窒素の無機化が進む「地温上昇効果」(農文協編 新版土壌肥料用語事典)が促進され、窒素の供給がされやすくなり、初期からの生育が良好だったと考えると代かきを丁寧に行なう事で窒素の無機化を阻害、または遅らせる様な土壌条件を作り出す可能性がある。加えて、代かきを丁寧に行なうと土壌が単粒化し、還元的になる事で脱窒など窒素の損失も防げるが、酸化還元電位の結果や生育の結果を見ると、雑草との養分競合により稲体へ供給される窒素分が少なかったと考えられた。このように考えると雑草発生による生育の阻害と言うよりも、生育が抑えられるような土壌条件によって、雑草発生が増えた可能性も考えられる。

 イネミズゾウムシは畦沿いの雑草の下や山林の落ち葉の下で越冬するので、畦畔沿いに設定した細代・対照区、50区が成虫の発生が多かった。小嶋ら(1981)によると、イネミズゾウムシ(成虫)は0.5頭/株が水稲の減収を引き起こす限界点としている事から、成虫による被害については水稲の生育に影響を与えるものではないと思われる。発生数は全区0.5頭/株を超えなかった。幼虫については、雑草を抑制する条件で幼虫による被害も抑制される(前田ら 2003)傾向を示唆しており、成虫においてもイネミズゾウムシの発生個体数と食害程度については雑草発生調査の結果と似た傾向が認められた。よって雑草発生を抑制できなかった細代・対照区、50区で幼虫による根部被害が多かった。また成虫発生数は成育に影響を及ぼす数ではなかったにしろ、幼虫の発生には成虫発生数も関係したと考えられた。被害を受けた株はたやすく引き抜く事が出来た。

 いもち病は低温で日照不足の条件下で密植や窒素過剰の状態になった場合に多発しやすいがこれは、窒素の吸収量が多いと,ケイ酸やリン酸の吸収が弱まり,葉面などが軟弱化し,いもちにかかりやすくなる(実教出版 作物新訂版)ためで、今年は全生育期間を通して気温が高く、晴天の日が続いた事もあり全区発生が少なかった。窒素分の多いふすま100kgは他区に比べ高かった生育には影響を及ぼさなかった。窒素分の多少の条件では発生する傾向が見られたが、ほとんど被害を受けなかった要因として今年の好天候によるものが大きいと考えられた。

(2)収量諸形質
 器官別乾物重および窒素含有率と窒素含有量を第13図、第5表に示した。器官別乾物重は標準・100区が1127g/uと一番高くなり、細代・対照区で一番低く502g/uと、標準・100区の1/2以下にとどまった。全般的に乾物重は草丈や茎数の値に沿う形で、標準代かきでは800g/uを上回り、細代かきではそれを下回った。窒素含有率は穂で有意差が出たが葉身・葉鞘では有意差が見られなかった。穂における窒素含有率は標準代かきで高い値を示した。ふすま50kg施用では全般的に含有率が低くなる傾向を示した。

 節間長を第6表に示した。稈長は各区で有意差が見られたが穂長は細代・50区を除いて全区19cm前後で各区に有意な差は見られなかった。また、倒伏は全区において全く見られなかった。

 収量調査および収量構成要素調査の結果を第7、8表に示した。収量は生育の良かった標準・100区で精玄米重が466kg/10aと一番高い値を示した。ついで標準・対照区、50区がそれぞれ401kg/10a、361kg/10aとなった。細代かきでは100kg施用で351kg/10aであったが、対照区と50kg施用では231kg/10a、217kg/10aで他区と比べ有意差に少なかった。全体的に見て、ふすま施用量が多い区で収量は高い傾向にあった。また代かき程度については、標準代かきで高い値となった。収量構成要素は、穂数および一穂籾数において試験区間に有意差が見られた。穂数が多い区では一穂籾数も多く、少ない区では一穂籾数も少なくなった。ふすま施用量では100kg施用が、代かき程度の違いでは標準代かきが穂数・一穂籾数いずれも高い値になった。穂数と一穂籾数の差により、多かった標準代かきの収量は高く、低かった細代かきの収量は少なくなった。登熟歩合に差は見られなかった。

 食味値を第9表に示した。食味値をはじめ、その他諸項目においても試験区間で有意な差は見られず、ふすま施用や代かき程度の違いにより食味値に差はなかった。  節間長について、熊野ら(1985)は、代かきを行なうと、稈長および下位節間長は長く、穂長および上位節間長は短くなるとしているが、その傾向は見られなかった。穂長が稈長に比べ、差が見られなかったのは、品種の影響と考えられる。出穂期前までの生育は試験区間でばらつきがあり、稈長については有意な差が出たが、以降は生育のばらつきがなくなり、加えて今年は天候がよかったため、全区において節間長や穂長が順調に伸長したと考えられる。

 収量を決定付けた要因として、穂数が考えられた。登熟歩合やくず米重を見ても玄米形質に差は見られなかったにもかかわらず、収量には試験区間でばらつきがあったので栄養生長期における生育の差がそのまま収量に影響したと考えられる。穂数は茎数の結果に左右されるが、標準代かきやふすま100kg施用においては雑草発生が抑制された事、初期生育が良かった事で茎数および穂数は多くなった。雑草発生を抑制できなかった細代かきは、特に対照区と50kg施用でイネミズゾウムシの根部加害も見られ茎数および穂数は少なかった。千葉ら(2001)は、米ぬかを散布しても雑草を抑制できなかった区では茎数が少ないと報告しているが、細代かきでその傾向が見られ、雑草との養分競合が考えられた。特に今年度の結果から占有種であったコナギが養分を旺盛に吸収したと考えられ、椛木ら(1984)は雑草と水稲の混植ではコナギが多肥・少肥にかかわらず競合が起きる条件下で窒素吸収が大きいと報告し、千坂ら(1966)は、コナギの初期生育は旺盛であるが、水稲生育中期の8月中旬には重量が増加しないと報告している事から、コナギによる雑草害が生育初期に現れた細代かきで養分の収奪があったと考えられた。100kg施用では雑草との養分競合はあったが、水稲の生育に必要な窒素分は稲体に供給されたため、水稲生育が雑草の生育に勝ったと考えられた。代かきについても生育に不利な土壌条件を作り出す可能性が考えられた。主として雑草発生と代かきの程度が穂数に影響を及ぼしたと考えられる。一穂籾数の低下も減収の一因であり、出穂期前18日頃の肥切れ、最高分けつ期頃からの高温が続き幼穂発育の進みが速い場合の穂肥の遅れによる退化頴花数の減少(実教出版 作物新訂版)が原因と言われる。この時期には頴花内にデンプン粒やタンパク質の貯蔵が始まるので、出穂期前の葉色値の値が関係すると考えられる。葉色値は葉身の窒素濃度と高い相関関係がある(北川ら 1987)ので、この時期に葉色値が低かった区で一穂籾数も少ないと考えられるが、出穂期に向け葉色値は一度高くなる傾向が見られたので、むしろ出穂期前に葉色値の上がらなかった区で一穂籾数が減少したと考えられた。葉色値が上がらなかった50kg施用では一穂籾数が少なく、細代かきでは葉色値は高くなったが生育の遅れを考慮する必要があり、また雑草との養分競合や丁寧な代かきによる窒素の利用効率の低下も示唆された。

W 総合考察
 本実験を行なった2004年度は生育期間中、天候に恵まれ高温が続いた。移植後から平均気温が20℃を上回り、水稲の生育が良かった。特に7月の平均気温が25℃近くまでになり、冷害年であった去年に比べ5℃高かった。

 雑草発生調査では標準代かきで発生数が細代かきの半分以下に抑えられた。ふすま100kg施用では共に発生数は500本/u以下で少なかった。乾物重は標準代かきで雑草個体が大きかったため高かった。占有種はコナギであった。丁寧な代かきは雑草種子を土壌表面に押し上げ、種子の分布を均一にする事で雑草発生の斉一を導いたと考えられた。また、ふすま施用における除草効果は50kgでは不安定であり、100kg施用が適当ではないかと考えられた。酸化還元電位はふすま施用をすると急激に低下した。ふすまを施用することにより電位が−100mV〜−200mVに低下したが雑草の発生を抑制する働きは見られなかった。

 水稲生育では茎数において標準代かきと細代かきで差が見られた。細代かきでは生育途中にイネミズゾウムシの幼虫による根部被害が見られたため、茎数を確保できなかったと考えられた。イネミズゾウムシの発生は雑草発生が抑えられた100kg施用で有意に少なく、雑草発生の多かった区では発生が見られた。成虫の発生数や食害程度は収量に影響するほどではなかったが、成虫の多かった区で幼虫が発生しており、茎数を減少させる大きな要因と考えられた。今年の好天候によりいもち病はほとんど見られなかった。9月の降雨量が高かった事により紋枯れ病は発生したが水稲に被害はなかった。

ふすま100kg施用で生育が良かったため、100kg施用で稲体への窒素供給が示唆された。 

収量は標準代かきでよく、標準・100区では466kg/10aとなった。細代かきでも100kg施用で351kg/10aだったが標準代かきには及ばなかった。穂数が少ない区で収量も少なく、収量を左右する要因として栄養生長期、特に茎数の良し悪しが考えられた。水稲生長に影響を及ぼす要因として、雑草による養分競合、病害虫と代かき程度の違いが考えられ、これらが栄養生長期に茎数を減少させたものと考えられた。しかしこれら雑草害や病害虫による被害は登熟期には影響が薄れ、その結果、登塾歩合など玄米形質においては試験区間の差はなかったと考えられた。

本実験ではふすま50kg施用では除草効果および水稲の生育は不安定で100kg施用が適当と考えた。代かきについては丁寧な代かきにより雑草発生の斉一が示唆されたが、一方施用された窒素分の利用効率を下げてしまう作用が働く可能性が考えられ、代かき方法の検討や窒素の動向を明らかにする必要があると考えられた。また、対照区においてほうき除草や機械除草などの物理的除草を行なったが、雑草調査地点を除いていたので今後、物理的除草とふすま施用の除草効果の比較についても検討課題となった。  

 X 摘要
 水稲有機栽培における雑草防除方法として小麦生産に伴って発生する作物副産物の「ふすま」の水田への表面施用量の違い、また代かきの程度の違いが除草効果および水稲生育・収量へ及ぼす影響を検討した。結果は以下の通りである。

 本試験では、6つの試験区を設定した。大きく標準代かきと細代かき、各々に対照区とふすま50kg施用および100kg施用を設けた。 雑草発生では、ふすま100kg施用が発生本数、雑草乾物重を抑制した。代かき程度の違いでは、発生本数では標準代かきでより抑制したが、雑草1個体の乾物重が高く、乾物重は細代かきと同等の値になった。酸化還元電位は、ふすま施用で初期の急激な低下を示したが除草効果や水稲生育に影響を及ぼさなかった。  水稲生育は特に茎数において顕著な差が見られた。雑草発生同様に標準代かきやふすま100kg施用で有効茎をより多く確保した。標準・100区では最高茎数が296本/uと高く、一方細代かきで生育のよかった100kg施用でも213本/uと少なかった。細代かきでは病害虫の被害があった区もあり全体的に生育は伸び悩んだ。葉色値の値から生育の遅延も示唆された。今年は天候に恵まれ、病害はほとんど見られなかった。

 収量諸形質については穂数をより多く確保した区で高い収量を示した。玄米形質や節間長は全区正常であったので栄養生長期における生育、特に茎数の良し悪しが直接収量に影響したものと考えられた。

 本実験ではふすま施用量は100kg/10aおよび慣行の代かき方法が雑草防除や水稲の生育に有効であった。酸化還元電位の低下が雑草発生や水稲生育に反映されなかった事や、丁寧な代かきやふすま50kg/10a施用で雑草発生や水稲生育に負の影響が見られた事について、今後代かきやふすま施用による水田土壌の物理的・化学的変化を検討する必要がある。

Summary
The Effect of Wheat Bran Application after Rice Transplanting, Puddling and Levelling on Paddy Weeds, Growth and Yield of Rice
Syunsuke Shirama

 Recently, weeds control by scattering rice bran or wheat bran is more and more carried out as a method of labor reduction or recycle of by-products in the organic culture. In addition, puddling and leveling is known to have the effect of weeds control. This research aims the effect of different amount of scattering wheat bran on the surface and different degree of puddling and leveling on the weeding, growth and yield of paddy rice.

This study was consisted of six treatments. They were control, 50kg/10a and 100kg/10a of wheat bran application for each of conventional puddling and careful puddling.

The number of weeds was controlled by conventional puddling and 100kg/10a application of wheat bran. But dry weight of weeds increased in conventional puddling because all weeds grew well. Weeds were suppressed by scattering wheat bran. Although the oxidization-reduction potential decreased rapidly by scattering wheat bran on the surface of fields, it did not have effects to weeds.

The growth of rice by conventional puddling and 100kg/10a of wheat bran application was well, especially for number of stems. The number of stems of the conventional puddling-100kg/10a of wheat bran plot was the highest as 296/u, whereas the growth in the careful puddling plot was retarded because of the pest loss. All plots hardly had disease injury because of fine weather in 2004.

 The plot with showed high yield, panicles increased. Some characteristics of yield components were not retarded in all plots. So the growth of rice, especially number of stems, affected directly rice yield. In short, weeds loss and pest loss affected not reproductive stage, but vegetative growth stage.

It is concluded that the application of 100kg/10a of wheat bran and conventional puddling was effective for weeds control and the growth of rice in this research. On the more studies are needed for the effects of decreased oxidization-reduction potential on the weeding and the growth of rice, and the effect on weeding and the growth of rice in careful puddling and the amount of wheat bran.

 Y 謝辞
 本研究の遂行および本論文の作成にあたりご指導、ご助言を頂いた作物生産技術学研究室の前田忠信教授、作物栽培学研究室の吉田智彦教授、三浦邦夫助教授、和田義春助教授、土壌学研究室の平井英明助教授には心から深く感謝申し上げます。

 農場の個性にあふれるメンバ−をいつも優しく、時には厳しく見守り、そしてまとめてくださった人見成郎先輩、何事も初めての経験の中で常に頼れる兄貴分でありました朝妻英治先輩、いつも楽しい話題を提供してくださいましたLy Tong先輩、作業を楽しく、盛り上げてくれた同期の井上雅洋君、川内健介君、圃場での作業をいつも手伝ってくださいました土壌学研究室の松野更和先輩、石川恵さん、近藤晋君、斎藤奏枝さん、千葉清史君、作物栽培学研究室の先輩、学生の皆様、来年の主役である3年生の上野恵美さん、山室理恵さん、圃場管理をはじめ様々な場面でご協力いただいた宇都宮大学附属農場の技官の皆様に感謝の意を表します。

 最後に短い期間ながら我々の成長を温かく見守ってくださいました栃木県二宮町の上野さん夫妻、そして私の研究、進路等についてご助言を頂き、見守ってくださいましたすべての方々に心から感謝申し上げます。

Z 引用文献

梅崎輝尚・津野和宣 1998.早期水稲の生育に及ぼす新聞古紙マルチの効果. 日作紀67(2):143−148.

片岡孝義・金昭年 1978a.数種雑草種子の発芽時の酸素要求度. 雑草研究23:9−12

片岡孝義・金昭年 1978b.数種雑草種子の出芽深度. 雑草研究23:13−19

椛木信幸・中村拓 1984a.水田雑草の養分吸収特性の草種間差.第1報 混植による窒素吸収力の推定. 雑草研究29:147−152

椛木信幸・中村拓 1984b.水田雑草の養分吸収特性の草種間差.第2報 生育経過および光・温度に対する反応. 雑草研究29:153−158

北川靖夫・岡山清司・廣川智子 1987.葉緑素計によるコシヒカリの葉色と稲体窒素濃度.
富山県農業技術センタ−研究報告1:1−7

熊野誠一・関寛三・金忠男 1985.水稲の機械移植栽培における代掻きに関する研究. 東北農試研報72:1−53

小嶋昭雄・小野塚清・江村一雄 1981.イネゾウムシの本田初期加害による水稲の被害. 新潟県農試研報30:19−26

実教出版 .作物 新訂版.

千坂英雄 1966.水稲と雑草の競争. 雑草研究5:16−22

千葉和夫・吉田貴之・斎藤望・田代卓 2001.「米ぬか」の除草効果および水稲の生育・収量に及ぼす影響. 日作東北支部報44:27−30

中村綾子 2003.水稲有機栽培における米ぬかとふすま表面施用の除草効果と水稲の生育収量. 宇都宮大学卒業論文

農文協編 2000.米ヌカを使いこなす. 農文協、東京.

農文協編 1998.新版土壌肥料用語事典. 農文協、東京.

福島和敏・保田謙太郎・芝山秀次郎 2003.田面水の撹拌が雑草の発生に及ぼす影響. 雑草研究48:224−225

前田忠信・富樫直人・山口則勝・塩沢敏夫 2003.水稲有機栽培における有機物資材の表面施用が雑草発生と水稲の生育収量に及ぼす影響. 宇都宮大学農学部「農場報告」20(別):1−7

								
第2表 生育経過								
								
	最大草丈	最大茎数	穂数	有効茎歩合	出穂日	穂揃い日	倒伏程度	
	(p)	(本/u)	(本/u)	(%)				
標準対照区	110	263	228	86.8	8月6日	8月9日	0	
標準50区	107	252	206	81.9	8月7日	8月9日	0	
標準100区	110	297	259	87.3	8月7日	8月9日	0	
細代対照区	97	141	127	90.5	8月10日	8月14日	0	
細代50区	97	189	150	79.5	8月8日	8月11日	0	
細代100区	105	214	190	88.9	8月7日	8月9日	0	
								
草丈、穂数は8月17日に調査								
最大茎数は、標準区、細代対照区、細代100区で7月8日、細代50区で6月24日に調査した								
																			
第3表 種類別雑草発生本数(本/u)	
															
	コナギ	キカシグサ	ホタルイ ミゾハコベ	アゼナ	ハリイ	ヤナギタデ	イボクサ アブノメ 	合計		
標準対照区361a	 279b	62	ab	42	ab	24	b	22	a	2.2	a	0	a	0	a	792	a	
標準50区409a	 119bc	99	a	70	a	112	ab	0	a	11	a	0	a	0	a	821	a	
標準100区238a	 0c	46	ab	0	b	0	b	0	a	0	a	6.6	a	0	a	290	a	
細代対照区1351b 557a	24	b	70	a	0	b	13	a	0	a	0	a	22	a	2037	b	
細代50区1687b	 141bc	42	ab	53	ab	183	a	6.6	a	0	a	13	a	0	a	2125	b	
細代100区442a	 13c	18	b	6.6	b	0	b	0	a	2.2	a	0	a	0	a	482	a	
各項目の同一アルファベットはダンカンの多重検定において5%水準で有意差がないことを示す。																													
第4表 種類別雑草乾物重(g/u)																
																				
	コナギ	キカシグサ	ホタルイ	ミゾハコベ	アゼナ	ハリイ	ヤナギタデ	イボクサ	アブノメ		合計		
標準対照232	ab	5.5	a	7.2	a	0.3	ab	0.2	a	0.5	b	0.2	a	0	a	0	a	246	ab	
標準50区353	a	3.2	a	22	b	0.7	a	4.2	b	0	a	1.8	a	0	a	0	a	385	a	
標準100区111	b	0	a	3.8	a	0	b	0	a	0	a	0	a	1.4	a	0	a	116	b	
細代対照区262	a	19	b	1.3	a	0.7	a	0	a	0.04	a	0	a	0	a	0.07	a	283	a	
細代50区365	a	4.6	a	4.6	a	0.3	ab	1.3	a	0.07	a	0	a	3.1	a	0	a	379	a	
細代100区279	a	0.5	a	2.2	a	0.04	b	0	a	0	a	2.0	a	0	a	0	a	283	a																
第5表 器官別窒素含有率と窒素含有量																
																
	窒素含有率(%)							窒素含有量(g/u)								
	葉身		葉鞘+茎		穂			葉身		葉鞘+茎		穂		合計		
標準対照区	0.82	a	0.35	ab	1.34	a		0.90	ab	1.42	ab	6.34	a	8.66	a	
標準50区	0.69	a	0.33	ab	0.94	bc		0.60	ac	1.23	ac	3.39	b	5.22	b	
標準100区	0.76	a	0.43	a	1.05	b		1.02	a	1.85	a	5.93	a	8.80	a	
細代対照区	0.77	a	0.35	ab	0.93	c		0.42	c	0.77	bc	2.12	b	3.31	b	
細代50区	0.60	a	0.32	b	0.86	c		0.35	c	0.73	c	2.01	b	3.09	b	
細代100区	0.66	a	0.35	ab	0.88	c		0.55	bc	1.15	bc	3.08	b	4.77	b	
																
各項目の同一アルファベットはダンカンの多重検定において5%水準で有意差がないことを示す。																
																	
第6表 節間長																	
																	
試験区	稈長		穂長		T		U		V		W		X		Y		
	(cm)		(cm)		(cm)		(cm)		(cm)		(cm)		(cm)		(cm)		
標準対照区	82.2	b	19.1	a	36.5	a	19.4	a	13.8	ab	7.7	b	4.6	ab	0.7	b	
標準50区	79.0	bc	18.4	ab	35.7	a	19.3	a	12.9	bc	7.5	b	3.8	bc	0.4	a	
標準100区	87.6	a	19.1	a	38.0	b	19.9	a	15.0	a	9.4	a	5.1	a	0.6	ab	
細代対照区	72.4	de	18.8	a	33.9	c	17.6	bc	11.6	cd	6.3	d	3.3	cd	0.5	ab	
細代50区	69.7	e	17.3	b	33.0	c	17.0	c	11.0	d	6.5	cd	2.6	d	0.4	a	
細代100区	77.0	cd	18.6	a	36.2	a	18.6	ab	12.8	bc	7.2	bc	2.9	d	0.4	a	
																	
各項目の同一アルファベットはダンカンの多重検定において5%水準で有意差がないことを示す。																	
															
第7表 2004年度収量調査															
															
試験区	全重		精籾重		藁重  		籾/藁		総玄米重		屑米重		精玄米重		
	(g/u)		(g/u)		(g/u)				(g/u)		(g/u)		(g/u)		
標準対照区	1066	a	504	a	562	a	0.92	ab	415	a	14	ab	401	a	
標準50区	944	ab	455	a	488	ab	0.90	ab	376	a	15	ab	361	ab	
標準100区	1188	a	586	a	602	a	0.98	a	484	a	19	a	466	a	
細代対照区	625	b	297	bc	327	b	0.90	ab	243	bc	12	ac	231	bc	
細代50区	618	b	273	c	345	b	0.79	b	224	c	7	c	217	c	
細代100区	950	ab	440	ab	511	ab	0.86	ab	362	ab	11	bc	351	ab	
															
各項目の同一アルファベットはダンカンの多重検定において5%水準で有意差がないことを示す。															
											
第8表 収量構成要素											
											
試験区	穂数		一穂籾数		籾数		登熟歩合		千粒重		
	(本/u)		(粒/本)		(1000粒/u)		(%)		(g)		
標準対照区	219	ab	96	a	20.8	ab	90.4	a	21.6	ab	
標準50区	196	bc	84	ab	17.2	bc	90.8	a	21.1	cd	
標準100区	261	a	97	a	25.4	a	90.6	a	21.9	a	
細代対照区	145	c	80	ab	11.5	cd	90.6	a	20.9	d	
細代50区	142	c	62	b	8.8	d	89.8	a	21.3	bc	
細代100区	177	bc	78	ab	13.7	cd	88.6	a	21.7	a	
											
各項目の同一アルファベットはダンカンの多重検定において5%水準で有意差がないことを示す。											
													
第9表 2004年  食味値													
													
試験区	食味値		蛋白質		蛋白CM		水分		アミロース		脂肪酸		
			(%)		(%)		(%)		(%)		(KOHmg/100g)		
標準対照区	71.67	ab	6.87	a	8.13	ab	15.57	a	19.63	a	16.90	a	
標準50区	72.67	a	6.67	a	7.83	b	15.50	ab	19.70	a	17.07	a	
標準100区	71.67	ab	6.83	a	8.07	ab	15.47	ac	19.67	a	17.07	a	
細代対照区	72.00	ab	6.70	a	7.93	ab	15.33	c	19.70	a	16.87	a	
細代50区	69.67	b	7.10	a	8.43	a	15.33	bc	19.67	a	16.50	a	
細代100区	71.00	ab	6.90	a	8.13	ab	15.30	c	19.67	a	16.73	a	
													
各項目の同一アルファベットはダンカンの多重検定において5%水準で有意差がないことを示す。								※AN-700(Kett)にて測定													

図は省略


写真 直播除草


以上

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