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水稲有機栽培における米の利用拡大


2005年3月
宇都宮大学農学部生物生産科学科    
植物生産学コース 作物生産技術学研究室
013136Z 川内 健介
目次

T 緒言                              2

U 材料と方法                           
1.栽培方法                            3
2.試験圃場および試験区                      4
3.調査項目および調査方法                     5

V 結果および考察
1.堆肥量・品種による生育の差                   9
2.収量及び収量構成要素調査                    14
3.食味官能試験(米飯)                      19
4.食味官能試験(米粉20%置換添加ライスブレッド)         21
5.食味官能試験(米粉30%・50%置換添加ライスブレッド)      24

W 摘要                              27
 Summary                          29

X 謝辞                              30
Y 引用文献                            31

Z 付表                              32
 T.緒言
 米は,日本の風土に適した水田稲作により安定的に生産され,またその蛋白質の栄養上の質は穀類の中でも良好なすぐれた穀物であるが,昭和38年以来消費は減少し始め,近年にいたってもなお減少の傾向にある.  社会の近代化に伴い食生活の中での穀物消費のウェイトが低下することは一般的にみられることであるが,わが国における米の場合には,加工利用の面での技術開発が不十分であったことも原因のひとつであると考えられる.そこで注目したいのが「米粉」を用いた加工食品である.代表的なものとしてライスブレッドがあり,その原料として用いられる米粉には様々な種類があるが.製パンに適した米粉とはどのような性状のものかが明らかにされないままに,いろいろな米粉が使用されているのが問題であるとされている(櫛渕       1984).また,一般に,米粉には小麦粉と違いグルテンが含まれていないため,一定の添加量を超えてしまうと含泡性(ふっくら感)が低下してしまうが,特殊な工学的手法を用いれば,100%米粉を使用してなお含泡性に富んだパンを作出することが出来る.(小山 2001)しかし,その手法は一般には明らかにされておらず,一部の団体でのみ用いられているものである.  そこで,本研究では,日本を代表する水稲品種であるコシヒカリとひとめぼれの2品種を,それぞれ堆肥量を変えた圃場で栽培し,品種の差・堆肥量の差によるパンの性状への影響を調査すると共に,製パンに適した米粉とはどのようなものかを検討する.また,特殊な製法を用いずに,一般的な手法によって,出来る限りの米粉含有率で,優良な米パンを作出することを目的として試験を行なった.
U.材料及び方法
1. 栽培方法
 試験は,2004年に真岡市下篭谷地区にある宇都宮大学農学部付属農場の堆肥連年施用黒ぼく土水田で行った.供試品種は水稲品種コシヒカリとひとめぼれを用いた.種籾は比重1.13で塩水選を行い,温湯消毒催芽機「湯芽工房(タイガー・カワシマ製)」により60℃で10分間温湯消毒を行い,流水で6日間浸種した.その後30℃の温湯催芽機中で8時間催芽処理を行った.催芽種子は,4月27日に60p×30p×3pの田植機移植用育苗箱に播種した.播種量は乾籾換算で80g/箱とした.播種の際,種子消毒,土壌消毒の殺菌剤は使用していない.床土及び覆土は農場内の山土(黒ぼく土)を使用し,箱の元肥として発酵鶏糞(窒素2.9%,リン酸6.5%,カリ3.0%,C/N比7.0%)を200g/箱用いた.それを育苗ハウスで保温シートをかけて4日間育苗し,その後保温シートをはずし,農場の慣行法で育苗した.移植は5月20日に草丈約18cm,葉齢4.5の中苗を1株あたり約3本として栽植密度は20.8株/u(条間30cm×株間16cm)に設定し,6条乗用施肥田植機で移植した.
2. 試験圃場及び試験区
 試験圃場は,堆肥を1991年〜1996年まで10aあたり2tを施用し,1997年は10aあたり10t,1998年以降は2001年の10aあたり10tを除いては10aあたり5tを施用している有機栽培水田(堆肥5t区)と,堆肥を1991年〜1994年に10aあたり5t施用し,1995年以降は10aあたり2t施用している有機栽培水田(堆肥2t区)である. 試験区は,堆肥2tコシヒカリ区,堆肥5tコシヒカリ区,堆肥2tひとめぼれ区,堆肥5tひとめぼれ区の4試験区を設定した.
3.調査項目及び調査方法
(1)生育調査
 生育調査は,試験区ごとに周囲を含めた欠株の無い10株(5株2畦)を1つの調査地点として,1試験区あたり3反復行い,草丈,茎数,葉色値の3項目を調査した.草丈,茎数を6月22日から8月17日まで2週間ごとに,葉色値を7月6日から8月17日まで2週間ごとに測定した.葉色値の測定には,ミノルタ社製自動葉緑素計(SPAD502)を用いて最上位展開葉の前の葉の中央部を測定した.
(2)収穫期の乾物重及び窒素吸収量調査
 収穫期の9月14日に稲株の抜き取り調査を行った.抜き取った株は根を切除し,葉身,葉鞘,穂に分け,80℃で2日間通風乾燥後,乾物重を測定した.なお穂の乾物試料は,1cm程度に裁断した後,HEIKO製粉砕機(SAMPLE MILL TL-100)で微粉砕し,窒素含有率を測定した.測定には島津社製NCアナライザーを用いた.
(3)収量と収量構成要素
 9月16日の収穫時に,収量調査はコシヒカリ区は1反復あたり10株×4列の計40株,ひとめぼれ区は10株×2列の20株を地際から刈り取り,穂数を数え風乾後,全重,精籾重,総玄米重,精玄米重と水分含量を測定した.精玄米重は,粒厚1.8mm以上で水分15%に換算した.なお水分含有率はケット科学研究所製の成分分析計AN-700を用いて測定し,同時に食味値と蛋白質含有率も測定した.  収量構成要素は,収量調査から得た穂数データをもとに収量調査地点の周辺から各地点の平均的な穂数を持つ株を1反復あたり5株掘り取った.各株の平均的な穂4本を取り出し,1反復あたり20穂の籾数を数え,比重1.06の食塩溶液で塩水選を行い,登熟籾と不稔籾とに分別し,それぞれの粒数を測定してから登熟歩合を算出した.各株から全長の長い順に3茎抜き出し,1反復あたり15本の穂長と節間長を測定した.玄米千粒重は玄米20gを秤量し,その粒数から算出した.また,収量の刈り取り時に坪狩り地点とその周辺部の倒伏程度を調査し,倒伏しなかったものを0,完全倒伏したものを5として0〜5の6段階で評価した.
(4)食味官能試験(米飯)
 12月15日に米飯の食味官能試験を行った.基準は堆肥2tコシヒカリ区とした.評価のポイントは外観,香り,味,粘り,総合評価の5つで,各々について,良い(強い),悪い(弱い),を+3〜−3の7段階で30人のパネルによる評価を行った.
(5)製パン試験及びパン品質評価
 収穫された玄米を12月2日に製粉した.製粉機は(株)国光社の「ひかり号」を用い,3回製粉機を通した後,80メッシュ(80目/cu)の粉篩いで篩い,それを用いて以下の実験を行なった.  第1次製パン試験は,12月22日に,小麦粉に添加する米粉の品種による品質の差を調査した.小麦粉200gに対し各種米粉を20%置換添加(小麦粉160g,米粉40g)し,食パンの原料配合(食塩2%,イースト2%,ショ糖5%,バター4%,水適量)で行った.得られたパンの品質評価は,香り,色(内相の色),味,食感,総合評価の5項目で,各々について+3〜−3の7段階評価で20人のパネルによる官能試験を行った.  弟2次製パン試験は,2月10日に添加する米粉の割合による品質の差を調査した.小麦粉200gに対しコシヒカリ米粉とひとめぼれ米粉の2種を,それぞれ30%置換添加したもの(小麦粉140g,米粉60g)と,50%置換添加したもの(小麦粉100g,米粉100g)の4区を設定し,1次試験と同様に5項目7段階にて20人のパネルによる官能試験を行った.
写真  ライスブレッド
V.結果及び考察
1. 堆肥量・品種による生育の差
 草丈の推移を第1図に示した.6月22日の生育初期では草丈に大きな差は見られなかったが,他の区に比べ堆肥5tコシヒカリ区が最も高い値を示した.その後も堆肥5tコシヒカリ区は高い値を推移し続け最終的にも最も高い草丈となった.堆肥2tコシヒカリ区及び,堆肥2t・5tひとめぼれ区では共に堆肥5tコシヒカリ区に比べ低めの値を推移したが,8月17日の調査では品種の差が現れ,堆肥2tコシヒカリ区が若干高い値となった.  茎数の推移を第2図に示した.6月22日の生育初期ではコシヒカリ・ひとめぼれ共に堆肥5t区での生育が良かったが,7月6日以後2t区が旺盛に生育を続け8月17日の調査ではコシヒカリ・ひとめぼれ共に堆肥2t区が堆肥5t区を上回る結果となった.また,堆肥5tひとめぼれ区では生育初期からあまり茎数が増加しなかった.  葉色値の推移を第3図に示した.計測を開始した7月6日にはコシヒカリ・ひとめぼれ共に堆肥2t区が高い値を示した.堆肥5tコシヒカリ区では生育全般においてほぼ同じ値を推移し続けた.堆肥5tひとめぼれ区では,7月20日に一度落ち込み,最も低い値となったが,8月3日には一気に上昇し,4試験区の中で最も高い値を示した.  草丈の生育差は堆肥施用量によるところが大きいと考えられるが,コシヒカリ・ひとめぼれ間では品種の差が大きく表れた.また,堆肥2tひとめぼれ区と,堆肥5tひとめぼれ区には,堆肥2tと堆肥5tのコシヒカリ程の差が見られなかったのはおそらく,イネミズゾウムシによる被害を堆肥5tひとめぼれ区が受けていたためであると思われる.
2.収量及び収量構成要素調査
 収量調査を第1表に,収量構成要素調査を第2表に示した.精玄米重において処理区間には有意差が見られなかったが,5tコシヒカリ区の462g/uが最高収量であった.全重,精籾重,総玄米重も精玄米重と同様に,各処理区間に有意差は見られなかった.屑米重は堆肥2tコシヒカリ区で有意に多く41g/uとなり,堆肥5tひとめぼれ区が11g/uと最も少なかった.収量構成要素では,穂数において処理区間には有意な差は 見られなかったが,堆肥2tひとめぼれ区が最も高い値となった.1穂籾数はコシヒカリ区がひとめぼれ区に比べ有意に多くなった.登熟歩合は堆肥5tコシヒカリ区と堆肥5tひとめぼれ区との間に有意な差が見られた.千粒重はコシヒカリ・ひとめぼれ共に堆肥5t区で有意に多く,堆肥2t区で有意に少なかった.  食味値と蛋白質含有率を第3表に,収穫期の穂の窒素含有量を第4表に示した.食味値は堆肥2tコシヒカリ区で最も高く,堆肥5tひとめぼれ区は有意に低かった.乾物重あたりの蛋白質含有率は,堆肥5tひとめぼれ区で有意に高く,堆肥2tコシヒカリ区で有意に低かった.  堆肥2tコシヒカリ区は精籾重・総玄米重では最も高い値であったが,くず米重も多かったため,最終的な収量は落ち込んでしまった.その原因として,生育後期に旺盛な生育になったため,収穫までに玄米を充分に大きくする事が出来ず,くず米が多くなってしまったものと考えられる.また,一般的に,蛋白質含量と食味との間には高い負の相関関係が認められている.堆肥5tひとめぼれ区では出穂期以降に窒素を多く吸収してしまったため,蛋白質含有率が高まり,それらの影響で食味値が最も低くなったと考えられる.
3.食味官能試験(米飯)
 米飯における食味官能試験の結果を第4表に示した.総合評価において有意な差は見られなかったが,平均値で最も高い値を示したのは堆肥2tひとめぼれ区であった.外観においてはいずれの区においても有意な差は見られなかった.堆肥量によって多少粒の大きさに違いはあったが,色艶にはほとんど影響せず,僅かながら品種による差が現われた.香りでは,僅かに堆肥2tひとめぼれ区が劣っていたものの,ほぼ同等の評価を受けた.味では,堆肥5tひとめぼれ区が基準に比べ5%水準で有意に劣っていた.また,粘りにおいては,コシヒカリとひとめぼれの品種間差が生じた.ひとめぼれはもともと粘りの強い品種であるため,コシヒカリに比べ高い評価を受けたものと思われる.なお,堆肥5tひとめぼれ区は基準に比べ1%水準で有意に優れていた.  この試験では,品種・堆肥施用量の違いが米飯の性状にどのように影響するのかを検討した.結果として,総合評価で最も高い評価を受けたのは堆肥2tひとめぼれ区であった.一般的にコシヒカリが良食味とされているが,今回のパネラーが,比較的粘りの強いものを好む20歳前後に偏ったため,ひとめぼれに票が集まったものと思われる.また,出穂期以降に窒素を多量に吸収してしまい,高蛋白になっていた堆肥5tのコシヒカリ・ひとめぼれ両区では,食味計による食味値調査と同様に低い評価となった.
4.食味官能試験(米粉20%置換添加ライスブレッド)
 小麦粉に対し,米粉を20%(小麦粉160gに米粉40g)置換添加して作出したライスブレッドの食味官能試験による結果を第5表に示した.香りにおいては,堆肥2tコシヒカリ区を除く3区で基準の小麦粉パンより低い値となった.中でも堆肥2tひとめぼれ区は基準に対し,1%水準で有意な差が見られた.色(内相の色)では,全試験区において基準よりも低い値となり,5%水準で有意な差が見られた.味では,堆肥2t区・5t区ともにコシヒカリ区で基準よりも高い値となり,ひとめぼれ区で低い値となった.なお味における有意な差は見られなかった.食感では全試験区ともに基準よりも低い値となった.最も低い値となったのは堆肥2tひとめぼれ区で,基準に対し5%水準で有意な差が見られた.総合評価では,堆肥2tコシヒカリ区で基準よりも高い値となり,他3区では基準よりも低い値となった.なお総合評価における有意な差は見られなかった.  全体で見てみると,ほとんどの区において香りの評価が低かったのは,製粉する際に玄米を用いたため,独特なヌカ臭さが生じたためであると思われる.内相の色についても同様のことが言える.玄米のヌカ層が混じっているため,小麦粉パンに比べ,ライスブレッドの内相は薄く濁った色となり,日頃白いパンを食している私たちにとっては,多少不快な感があった.味では,ほとんどの区において,基準より高い評価を受けた.これは米粉を少量含有した事により,日本人の口に合う米の風味がプラスされたためであると思われる.  この試験では,コシヒカリとひとめぼれの品種による性状の違いと,堆肥2t・堆肥5tの堆肥施用量の違いによる性状の違いを検討した.結果として,総合評価で最も優れていたのは堆肥2tコシヒカリ区であった.しかし,2tひとめぼれ区の結果を見てみると,2tコシヒカリ区とは違い低い評価を受けている.その事によりライスブレッドにおける性状の違いは,堆肥施用量にはあまり左右されないと考えられる.また,同じ品種である5tコシヒカリ区と比較してみると,若干低い評価を受けているものの,2tコシヒカリ区とあまり大きな差は生じていないので,米粉20%置換添加の際は,ひとめぼれよりもコシヒカリの方が適しているものと思われる. 
5.食味官能試験(米粉30%・50%置換添加ライスブレッド)
 小麦粉に対し,米粉を30%(小麦粉140gに米粉60g)・50%(小麦粉100gに米子100g)置換添加して作出したライスブレッドの食味官能試験による結果を第6表に示した.香りでは,全試験区において基準の小麦粉パンに比べ低い値となった.特に50%置換添加の区ではコシヒカリ・ひとめぼれ両区共1%水準で有意な差が現れた.色(内相の色)では,全試験区において基準を大きく下回り, 50%添加のコシヒカリ区とひとめぼれ区,30%添加のコシヒカリ区では1%水準で,30%添加のひとめぼれ区では5%水準で有意な差が現れた.味においても全試験区で基準を下回り,50%添加のコシヒカリ区で5%水準,50%添加のひとめぼれ区では1%水準の有意差が現れた.食感でも全試験区において基準に比べ低い値となった.中でも50%添加のコシヒカリ区では1%水準で有意差が現れた.総合評価においても全試験区共に低い値となった.50%添加のコシヒカリ区とひとめぼれ区,30%添加のコシヒカリ区では1%水準で有意な差が現れた.  この試験では,米粉30%・50%と添加量を変えることでライスブレッドの性状にどのような影響が現れるのかを検討した.今回の試験では,残念ながら4試験区とも,香り・色・味・食感・総合評価の5項目全てにおいて,基準の小麦粉パンよりも低い評価を受ける結果となった.原因は20%添加の際にも見られたヌカ層によるものが大きいと思われる.内相の色では米粉の添加量と負の相関が生じた.また,20%添加時には米特有の風味が評価されていた味の項目においても,強いヌカ臭さによって風味は掻き消され,後味に不快感が伴うようになっていた.食感については,米のモチモチとした食感を期待していたが,グルテンが希釈されてしまったため,生地が充分に膨らまず,水分が一箇所に固まるような現象が見られ,ネチネチ・モソモソとした不快な食感になった.総合評価では,以上のことが要因となり有意差が生じたものと思われる.特に50%添加区で大きく評価が下がった事から,ヌカ粉が混入する量が多ければ多いほど品質の低下につながってしまうと考えられる.  今回の実験では玄米に含まれる栄養素を有効に利用するため,あえてヌカ層も含ませたのだが,それが裏目に出てしまい,このような結果になってしまった.白米から挽いた粉を用いるなど,独特な米の風味を持った良質なライスブレッドを作出するためには今後も更なる検討が必要であると考えられる.
W.摘要
 近年,我が国の米の消費は減少の傾向にある.その理由のひとつとして,加工利用の面での技術開発が不十分であったことが挙げられる.そこで注目したのが,米粉を用いた「ライスブレッド」である.本研究では,ライスブレッドに加工する際,品種や水田の有機質肥料量の違いによる差が,どのように生じるのかを検討するため,品種はコシヒカリとひとめぼれの2品種を用い,それぞれを堆肥2t連年施用水田と,堆肥5t連年施用水田にて栽培し,合計4試験区を設定した.結果は以下のとおりである.  原料となる水稲を有機栽培によって栽培し,生育調査を行なった.草丈・茎数・葉色値を調査した結果,堆肥5tひとめぼれ区においてイネミズゾウムシの疑いがあった.また,収量においては,堆肥2tコシヒカリ区は生育後期に旺盛な生育になったため,収穫までに玄米を充分に大きくする事が出来ず,くず米が多くなってしまったものと考えられる.なお,最も収量が多かったのは堆肥5tコシヒカリ区であった.その後,得られた米を用い食味試験を行なった.米飯での結果は堆肥2t区で優り,堆肥5t区で劣っていた.ライスブレッドとして加工した際の食味・品質は,米粉20%添加の場合,堆肥2tと堆肥5t施用のコシヒカリ区で基準の小麦粉100%区と同程度の旨さであるという評価を受けた.しかし,30%・50%添加の場合は,いずれの試験区においても,基準の小麦粉100%に比べて,極めて低い値となった.その理由として,玄米から製粉したために独特のヌカ臭さが発生してしまったこと,グルテン含有量が低下したため生地があまり膨化せず食感が優れなかったことが挙げられる. 全体を通して,パンの類似品ではなく,独特の風味を持ったライスブレッドを作るためには,米粉を少なくとも30%以上は添加する必要がある.しかし,30%以上の添加ではグルテンが希釈されるため,製パンはきわめて困難となり,パンの品質低下も避けられなかった.今後,白米粉の使用や,米粉添加割合を増加させた際の品質向上など,さらに検討が必要であると考えられる.
Summary
The Effect of Application of Organic Rice Powder to Bread
Kensuke Kawauchi
In recent years, rice consumption is decreasing in this country. One of the reason is inadequate development of the application of rice to processing food. So I tried “Rice bread”. I examined the difference of kinds and amounts of organic fertilizer, because it is thought that these difference may have influence on rice bread .  I use a two cultivars, Hitomebore as Koshihikari, of rice, and planted them in two fields, where 2t manure or 5t manure was applied. I did investigation on growth, plant length, stem number and leaf color. The field of the 5t manure of Hitomebore was damaged by Inemizuzoumushi. The yield of the 5t manure of Koshihikari was best. After harvesting, tasting test was conducted for that rice. I got results that 2t manure rice was better and 5t manure rice was bad. Taste and quality of rice bread were examined. In case of 20% addition of rice flour, 2t and 5t manure and Koshihikari plots were as good as 100% wheat flour bread. But, in the case of 30% and 50% addition, all rice bread were very low in quality, because they had bad smell of bran, and they had only a little gluten. In general, to make “Rice bread” which has unique flavor, it must be added with more than 30% of rice powder. But, it had a little gluten. So bread making was difficult, and it had low quality. Hence, more examinations for making high quality rice bread, and for increasing more rice powder are necessary. 宇都宮大学農学部 X.謝辞
 本研究の遂行および本論文の作成にあたりご指導,ご助言を頂いた作物生産技術学研究室の前田忠信教授,作物栽培学研究室の吉田智彦教授,三浦邦夫助教授,和田義春助教授,土壌学研究室の平井英明助教授には心から深く感謝申し上げます.  農場で人一倍活力に溢れ,いつも笑顔でみんなを励ましてくださった朝妻英治先輩,落ち着きのない私たちをクールに引っ張っていってくださったLy Tong先輩,リーダーシップに溢れ,いつも優しく,時には厳しく叱咤激励してくださった人見成郎先輩,暑い真夏も,厳しい寒さも共に励ましあい乗り越えてきた同期の井上雅洋君,白間俊輔君,圃場作業のみならず,実験などにおいてもご助力いただきました土壌学研究室の松野更和先輩,石川恵さん,近藤晋君,斎藤奏枝さん,千葉清史君,来年の農場を担う3年生の上野恵美さん,山室理恵さん,圃場管理など様々な場面でご協力頂いた宇都宮大学附属農場の技官の皆様に深く感謝しております.また,作物栽培学研究室の先輩,学生の皆様,いつも温かく,時に厳しく私たちを見守ってくださいました二宮町の上野さんご夫妻,そして,私を支えてくださった全ての皆様に心より感謝申し上げます.

Y.引用文献

櫛渕鉄也・野口明徳 1984.米の新加工食品の開発 −新組立食品の開発― 農林水産技術会議事務局 38−76 

櫛渕鉄也・内田迪夫 1984.米の新加工食品の開発 ―新加工技術の開発― 農林水産技術会議事務局 79−178

岩元睦夫 2002.米の流通・消費の多様化に対応した新食味評価手法の開発 農林水産技術会議事務局 60−64

中村綾子 2004. 水稲有機栽培における米ぬかとふすま表面施用の除草効果と水稲の生育収量 宇都宮大学卒業論文 1−42

人見成郎 2004. 有機物施用が水稲有機栽培における雑草発生と生育,収量に及ぼす影響 宇都宮大学卒業論文 1−39

斎藤邦行・速水敏史ら 2002. 有機栽培を行なった米飯の食味と理化学的特性 日作紀71 169−173

坂本廣子・坂本桂奈 2003.国産米粉でクッキング おそうざいからお菓子・パンまで 農文協 26−90



以上

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