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本頁の内容は,宇都宮大学農学研究科生物生産科学専攻の修士論文です.

本実験は主に附属農場において行われた.

作物栽培学研究室へ


水稲有機栽培における米ぬか施用の除草効果と水稲の生育収量

宇都宮大学大学院農学研究科
生物生産科学専攻
朝妻 英治

目次
緒言                                    1
第 1 章 水稲有機栽培における米ぬか田面施用が雑草の発生におよぼす影響    3
 緒言                                   3
 実験 1 圃場試験                             4
 材料と方法                                4
 実験 2 米ぬか中の抑草物質についての検討                 5
 材料と方法                                5
 実験 1 結果                                11
実験 2 結果                                14
 考察                                   17
第 2 章 水稲有機栽培における米ぬか田面施用が水稲の生育収量におよぼす影響
 緒言                                   19
 材料と方法                                20
 結果                                   22
 考察                                   42
総合考察                                  46
摘要                                    48
Summary                                  49
謝辞                                    51
参考文献           
I. 緒言
 今日の水稲栽培において, 安定的な収量を確保し, 農業従事者の労働量, 労働時間の軽減を図るためには, 化学的に合成した農薬や化学肥料等の水田への投入が必要である. しかし, この昭和 30 年代から続く化学資材の投入により, 現在までに相当量の化学物質が土壌に蓄積し, またそれらが水田から流出する事によって引き起こされる環境への負荷は, 様々な分野で無視できない問題となっている. 最近では, 消費者のニーズとして価格面だけでなく, 安全面にも関心が高まる中で, 農薬を抑えた低農薬栽培, 農薬を全く使用しない無農薬栽培や化学肥料, 農薬を全く使用しない有機栽培が注目され, 特に有機栽培は「 有機米 」として有機農産物の JAS 規格が制定されている.

水稲の有機栽培における研究は数多く報告されており, 前田 ( 2001 ) や斎藤ら ( 2001 ) は有機栽培においては化学資材を使ったいわゆる慣行栽培に比べ, 収量が劣ると報告しており, 前田 ( 2001 ) は堆肥連年施用・化肥無施肥区の減収の要因は, 堆肥 2 t / 10 a のみでは堆肥の累積効果が穂数に現れず, 穂数不足が原因で慣行栽培に比べ収量が劣ると報告している. また, 水稲の有機栽培における雑草防除の作業体系は, 慣行栽培とは大きく異なり, 省力的で低コスト, かつ安定的な除草法に課題を残している. 機械除草等の耕種的防除, 有機物マルチ, 再生紙マルチ, コイ除草, アイガモ除草等いろいろと検討されている ( 米倉 1979, 鈴木ら1994, 高橋ら 1995, 波多間ら 1996, 大場ら 1998, 宇根 1998 ) が, 現在の技術ではいずれも労力またはコストの問題をクリアできていない.

そこで, 本研究では, 米の作物副産物であり, 有機栽培における除草法として成功例の多い米ぬか水田面への施用による省力的で低コスト, かつ安定的な除草方法の確立を目的とし, 圃場レベルでの施用量, 施用時期の違いによる除草効果の違いについて検討し, あわせて米ぬか現物中に抑草物質が含まれているかを検討するため, 米ぬか抽出物によりコナギについて生物検定を行った. また, 米ぬか中微量要素の抑草作用の可能性を検討するため, 生理作用として種子の休眠に関与する物質で, 種子の発芽を抑制するアブシジン酸の米ぬか現物中内生量の定量を行い, 抑草活性との関連について考察した. また, 米ぬか田面施用が水稲初期生育・収量へどのように影響するかを検討するため, 水稲の生育, 収量調査を行い, そして米ぬか施用によって, 水稲有機栽培においてその防除が問題となる, イネミズゾウムシの発生とその被害程度への影響, また米ぬか施用による水稲乾物生産, 窒素吸収への影響についても検討を行った.

本論文は 2 章からなっており, 第 1 章では水稲有機栽培における米ぬか田面施用が雑草発生におよぼす影響, 実験 1 として圃場試験, 実験 2 として米ぬか中抑草物質についての検討を行い, 第 2 章では水稲有機栽培における米ぬか田面施用が水稲の生育およびイネミズゾウムシの発生におよぼす影響, 水稲の乾物生産と窒素吸収と収量におよぼす影響についての検討を行なった.

第 1 章 水稲有機栽培における米ぬか田面施用が雑草の発生におよぼす影響
緒言
水稲有機栽培は, 慣行栽培と比較すると概してその生産性は不安定である. その要因の一つとして, 有機栽培における雑草防除の困難さがあげられる. 鈴木ら ( 1994 ) によれば, 手押し除草機を用いて水稲有機栽培を行った場合, 労働時間全体で慣行栽培より 17 時間 / 10 a 多くかかり, その内雑草防除の労働時間は慣行栽培に比べ 11.4 時間 / 10 a も多かったと報告している. 対応技術として機械除草等の耕種的防除, 有機物マルチ, 再生紙マルチ, コイ除草, アイガモ除草等いろいろと検討されている ( 米倉 1979, 鈴木ら1994, 高橋ら 1995, 波多間ら 1996, 大場ら 1998, 宇根 1998 ) が, 労力, コスト面や抑草効果の安定性で課題が残る.

有機物による雑草防除の成功例が数多く報告されているのが「 米ぬか 」の水田面への施用である. 「 米ぬか 」とは, 精米時に発生する玄米中の胚芽と表皮を合わせたもので, たんぱく質やリン酸, ミネラルを豊富に含んでいる. この米ぬかを水田面に施用することにより, 有機物を餌とする微生物が急激に増加し, その呼吸によって水田土壌が還元状態になり, 土壌中溶存酸素量が低下し雑草種子の発芽が抑制される. また, 微生物が米ぬかを分解する過程において生成される有機酸類による雑草の発芽, 生長阻害や増加した微生物が引き起こす土壌表層のコロイド化による種子の埋没除草作用等, いくつかの要因が考えられる. 土壌中溶存酸素量の低下については, コナギ等発芽に酸素を必要としないものもあり, また還元化は長期間続かない. そのため, 強還元化作用だけでなく, 上記の様々な要因が重なりあって除草効果として現れる( 中山 2002 ).

玄米収量約 500 kg / 10 a から 50 kg の米ぬかが副産物として生産される. 米ぬかの除草効果については, 10 aあたり 100 kg で効果が現れるという報告がされているため ( 富樫 2003 ), コストの面からも有用的である. しかし, その施用量, 施用時期の違いによる除草効果の違いや水稲へおよぼす影響についてはまだ検討の余地がある. また, 米ぬか分解過程において生産される有機酸類の除草効果への関与が示唆されているが ( 中山 2002 ), 米ぬか現物中の物質が除草活性を示すかについて, またそれがどのようなものかはまだ明らかになっていない. また,種子発芽を抑制する植物体内中の物質として, アブシジン酸がある. Yoneyama ら ( 1998 ) は, アブシジン酸は根寄生雑草であるヤセウツボ種子の発芽に阻害的であることを報告している.

そこで本研究では, 水稲有機栽培における米ぬかを利用した雑草防除法の確立を目的とし, 実験 1 として, 有機栽培圃場において米ぬか施用量, 施用時期を異にして雑草発生量を調査し, また実験 2 として, 分解前の米ぬか現物中の抑草物質について明らかにするため, 米ぬか現物からの抽出物質についてコナギを用いて生物検定を行い, 米ぬか現物中抑草物質の一つの可能性として, 植物種子発芽作用のあるアブシジン酸の定量を行った.

材料と方法
実験1 圃場実験
育苗, 移植
 試験は 2004 年に栃木県真岡市の宇都宮大学農学部附属農場内厚層多腐植質黒ボク土水田 ( 前田・平井 2002 ) で実施した. 品種はコシヒカリを供試した. 種籾は比重 1.13 で塩水選を行い風乾した後, 温湯消毒催芽機 「 湯芽工房 ( タイガー・カワシマ社製 ) 」 により 60 ℃ 10 分間温湯消毒した後, , 流水で 6 日間浸種した. その後 30 ℃ で 8 時間催芽処理を行った. 催芽種子は 4 月 27 日に, 60 cm × 30 cm × 3 cm の田植機移植用育苗箱に乾籾換算で 80 g / 箱を播種した. 床土および覆土は附属農場内の山土 ( 黒ボク土 ) を用いた. 育苗箱の施肥は発酵鶏糞を用い, 200 g / 箱とした. 育苗はハウス内で行い, 育苗期間は 23 日間とした. 代掻きは移植 1 週間前に荒代掻き, 移植前日に植え代掻きの計 2 回行った. 移植は 6 条乗用側条施肥田植機で 2004 年 5 月 20 日に行った. 栽植密度は 20.8 株 / m2 ( 30 cm × 16 cm ) に設定し, 1 株あたり約 3 本で移植したが, 田植機のスリップ等の違いで, 栽植密度は若干異なっていた ( 第 1, 2 表 ).

試験区の設定
 試験区の構成を第 1 表に示した. 米ぬか 100 - 2 日後区, 米ぬか 100 - 5 日後区, 米ぬか 200 - 2 日後区, 米ぬか 200 - 5 日後区, そして同じ施肥条件で米ぬかを施用しない対照区の 5 試験区を設定した. 堆肥は牛糞, 落葉, 籾殻, 稲藁, 麦藁による完熟堆肥で, マニュアスプレッダーを用いて 3 月に施用した. 堆肥は水分率 67.5 %, 窒素 2.45 %, 燐酸 2.19 %, 加里 2.26 %, C / N 比 13.78, ケイ酸 6.8 % であった. 今回の試験で使用した宇都宮大学農学部附属農場内の水田は, 堆肥を 1991 年 〜 1994 年に10 a あたり 5 t 施用し, 1995 年以降は 10 a あたり 2 t 施用している有機栽培水田である. 米ぬかは, それぞれ第 1 表の試験区設定にある量と時期で粉状のものを手で均一になるように灌漑水のほぼ無い状態で田面に散布した. 日本標準飼料成分表 ( 2001 改訂版 ) によれば米ぬかの成分は, 窒素 2.4 %, 燐酸 5.4 %, 加里 2.1 % である.

対照区の除草は, 箒や除草機により機械的に行った. 箒除草は, 3 連の竹箒をひいて畦間の土壌表面を攪拌することによって, 雑草の光合成や定着を抑えるものである. 今回の試験では, 箒除草を 6 月 1 日, 6 月 8 日, 6 月 15 日の計 3 回行い, 機械除草を 6 月 22 日, 7 月 13 日の計 2 回行い, 手取り除草を 7 月 13 日に 1 回行った. ( ただし, 対照区の雑草調査地点は, 無農薬かつ無除草での雑草発生を調べるために箒除草や機械除草, 手取り除草は行っていない. ただし, 雑草調査地点の周辺部は, 箒, 機械や手取り除草を行っているので泥水は調査地点に達している. )

調査項目
雑草調査 
 60 cm × 50 cm の 0.3 m2 を 1 調査地点として, 1 試験区あたり 3 反復で行なった. 8 月 6 日に調査地点内の全ての雑草を抜き取り, 種類ごとに分けて本数を数えた. 根に付着した泥やゴミを洗い落とし, 80 ℃で 2 日間通風乾燥後, 乾物重を測定した. 雑草発生本数と雑草乾物重は 1 m2 あたりに換算した.

実験 2 米ぬか中の抑草物質についての検討
米ぬかの抽出,溶媒分画
 米ぬか約 100 g を容積で約 4 倍量のメタノールに 1 週間浸漬した後ろ過し, 得られたろ液を減圧濃縮して米ぬか抽出物を得た. 得られた米ぬか抽出物を 150 ml の蒸留水に溶かし, 濃塩酸で pH 2 〜 3 に調節した後, 酢酸エチルで水分画と酢酸エチル分画に分配した. 分配された水 ( 水生残渣 ) 分画はアンモニアで pH 7 に調節した後減圧濃縮して乾燥させた ( 水性残渣物質区 ). 酢酸エチル分画については, リン酸バッファー( pH 8.3 ) で酢酸エチル分画とリン酸バッファー分画に分配し, 酢酸エチル分画については脱水後減圧濃縮して乾燥させた ( 中性有機物質区 ). リン酸バッファー分画については濃塩酸でpH 2 〜 3 に調節した後, 再度酢酸エチルで酢酸エチル分画とリン酸バッファー分画に分配した. 得られた酢酸エチル分画について脱水後減圧濃縮して乾燥させた ( 酸性有機物質区 ). ( 第 1 図 )

生物検定 ( コナギ種子発芽試験 )
 米ぬかからの抽出, 溶媒分画により得られた水層中溶解物質, 中性層 ( 有機層 ) 中溶解物質, 酸性層 ( 有機層 ) 中溶解物質を蒸留水でそれぞれ 1000 ppm, 700 ppm, 500 ppm, 300 ppm, 100 ppm, 10 ppm に希釈して被験液とした. コナギ種子を 15 粒ずつ充填した 5 ml バイアル瓶に, 湛水深 1 cm となるように上記の被験液をそれぞれ 2 ml ずつ注入した. また, 対照区として, 蒸留水のみを同量の 2 ml 充填した区と, それをアルミホイルで遮光した区を設定した. それらを 28 ℃ ± 1 ℃の遠赤色蛍光灯恒温機内に置き, 24 時間連続照射で 4 日間培養した. 試験は 3 反復で行った. コナギ種子は 2004 年に宇都宮大学農学附属農場水田で採取したものを使用した. 発芽判定はコナギ種子から幼芽が 3 mm 以上伸長したものを発芽として, それぞれ発芽した種子数を測定し, 発芽率を求めた. 試験は各 3 反復で行った. ( 第 3 表 )

米ぬか中アブシジン酸含有量の測定
 内生アブシジン酸量は経時的に変化することから, とう精したばかりの米ぬかと, とう精後半年以上経過した米ぬかをサンプルとして用いた. それぞれの米ぬかを 5 ml バイアル瓶に 50 〜 60 mg 秤量し, 5 nm/ml の 13C2 - ABA を含む 80 % アセトン 3 mlを加え, 10 分間長音波処理し 4 ℃ の冷暗所で 1 週間抽出した. そのサンプル溶液を濾過後, そのまま ODS ( C 18 ) カラム ( Mightysil RP - 18, 2 X 250 mm, 5 μm. 関東化学株式会社, 東京, 日本 ) を備えた HPLC - 高速液体クロマトグラフ ( JASCO U - 980 東京 ) に 10 μl注入し, アブシジン酸を定量した. 試験は各 3 反復で行なった.

結果
実験 1 雑草調査
 雑草発生本数を第 2 図に示した. 米ぬかを施用した区は対照区と比較して有意に雑草発生本数が少なく, 雑草抑制効果が認められた. しかし, 米ぬか 200 - 2 日後区では, 対照区の約 7 割の雑草が発生しており, 特にコナギ, ホタルイの発生が多く見られた. 対照区については, 個体の小さいキカシグサが多く発生した. 合計の雑草発生個体数は対照区が最も多かった.

雑草乾物重を第 3 図に示した. 米ぬか 200 - 2 日後区では 1 個体あたりの乾物重が大きいコナギ, ホタルイが多く発生していたのに対し, 対照区は個体の小さいキカシグサが多かったために, 雑草全乾物重は対照区より多い結果となった. 米ぬか 100 - 2 日後, 5 日後区, 米ぬか 200 - 5 日後区では, 対照区と比較して雑草全乾物重も少なかったため, この 3 試験区については雑草抑制効果が認められた.

 また, 雑草発生本数, 雑草乾物重の両調査において, 米ぬかの施用量, 施用時期の違いによる除草効果の違いは認められなかった.

実験 2 米ぬか中の抑草物質についての検討
 米ぬか抽出物による濃度別のコナギ種子発芽率を第 4 表に示した. 水性残渣物質区は, どの濃度においても発芽率は対照区と同等であるか, あるいは対照区よりも発芽率が高い傾向にあった. 中性有機残渣区においては, 1000 ppm, 700 ppm, 500 ppm, 300 pmの高濃度ではコナギ種子は発芽しなかった. 一方, 100 ppm, 10 ppm の低濃度において, 発芽率は対照区よりも高い値を示していた. 酸性有機物質区は, 1000 ppm で対照区の約 2 分の 1 程度の発芽率を示したが, 700 ppm, 500 ppm ではコナギは発芽しなかった. 300 ppm で若干の発芽率を示し, 酸性有機物質区と同様に 100 ppm, 10 ppmで発芽率は対照区を上回った.
第 5 表に米ぬかの内生アブシジン酸量を示した. 米ぬか中アブシジン酸濃度は経時的に変化し, 古い米ぬか中の内生アブシジン酸量は新しい米ぬかの 76 % 程度に減少していた.

考察
 中山 ( 2002 ) は, 米ぬかを施用すると微生物が急激に増加し, その呼吸によって水田土壌が強還元化され, 土壌中溶存酸素量が低下して種子の発芽に酸素を必要とするキカシグサおよびアゼナなどの発芽が抑えられるとしている. 本研究において, 米ぬかを施用した 4 区ではキカシグサの発生が少なく, 有機物を施用していない対照区で多かったのはこのためであると推察される. 一方, コナギは種子発芽の酸素要求度が極めて小さく無酸素条件下でも発芽できる. そのため, 上記の強還元化作用による発芽抑制効果は少ないと考えられる. しかし, 米ぬか 200 - 2 日後区以外の米ぬかを施用した区ではコナギの発生量は少なく, 強還元化作用の他に米ぬかからの抽出物質や, 微生物の有機物分解過程において生産される有機酸類による発芽, 生育阻害の可能性も示唆された.

 稲葉 ( 2004 ) によれば, 有機栽培において雑草を防除する際に, 本田での「 トロトロ層 」 と呼ばれるコロイド状に変化した表層土壌の形成が不可欠であるとしている. このコロイド状の表層は, 有機栄養を餌とする乳酸菌等の微生物の増加にともなって形成される. 本試験で米ぬか 200 - 2 日後区の雑草発生本数, 雑草乾物重のどちらとも多い結果となったのは, この土壌表層状態の違い等により, 他の米ぬかを施用した 3 試験区よりも総合的に除草効果に寄与する因子が少なかったためであると推察される. また, 米ぬかは土壌表面に施用するため, 温度の上昇に伴い早い段階で分解される. 従って強還元化作用は長続きせずまた分解により生成された有機酸類もやがて無害化される. そのため本田中期以降に発生してくる雑草に対する発芽阻害, もしくは抑制されずに残った雑草に対する生育阻害については, 米ぬか施用の効果は少ないと思われる.

 米ぬかの施用量, 施用時期の違いによる除草効果の違いは見られなかった. 大場 ( 2001 ) は, 米ぬか施用量を変えた場合には施用量が多くなると雑草抑制効果が大きくなると報告している. しかし, 今回の試験では米ぬか 200 - 2 日後区で雑草発生量は多くなっており, また除草効果の認められた米ぬか 200 - 5 日後区の雑草発生量, 乾物重は, 米ぬか 100 kg 施用区と同等であり施用量の違いによる除草効果への影響は見られなかったが, 対照区と比較して除草効果が認められた. そのため, 米ぬかの施用量は, 100 kg 程度でも除草効果は現われると推察された. 施用時期の違いについて, 今回の試験では移植日を基準に 2 日後, 5 日後と設定して試験を行った. 米ぬか 200 - 2 日後区を除いて, 他の米ぬかを施用した 3 区間に有意な除草効果の違いは見られなかったが, 対照区と比較して雑草の発生を抑制し, 移植日を基準にして 5 日までに米ぬかを表面施用すれば, 除草効果は現われると推察された. 米ぬか施用時期については, コロイド状の表層土壌の形成を目的として, 今後代掻き日を目安にした米ぬか施用時期の検討が課題であると思われる.

 抽出, 溶媒分画法によって得られる水性残渣物質中には塩基性物質 ( アミン ), 高極性物質, 両性物質が, 中性有機層中には中性物質, 弱酸性物質 ( フェノール ) が, 酸性有機層中には強酸性物質 ( カルボン酸 ) がそれぞれ含まれている. 米ぬか抽出物によるコナギでの発芽試験の結果, 米ぬかメタノール抽出, 溶媒分画によって得られる水性残渣中溶解物質には, コナギ発芽に対する抑制作用は認められなかったし, 対照区の発芽率を上回っている傾向が見られた. 石嶋 ( 2004 ) は稲藁からの熱水抽出物はコナギの暗発芽を促進すると報告しており, 米ぬかの水性残渣物質中にもこの暗発芽促進物質が含まれている可能性があると思われる. 中性有機層中溶解物質, 酸性有機層中溶解物質は, どちらも同じような傾向を示した. どちらに発芽抑制活性が存在しているのかは明確にならなかったが, どちらとも 300 〜 700 ppm の濃度で発芽を抑制された. 中性有機層中溶解物質, 酸性有機層中溶解物質のどちらにおいても比較的高濃度で活性が現われることから, 米ぬか中の作用物質は微量であると思われた. 今回米ぬか抽出物を溶媒分画処理して得られた中性有機層中溶解物質, 酸性有機層中溶解物質に, 明確にどのようなものが含まれているかが今後の検討課題である. また, 今回の実験は, 米ぬか中の油分を完全に除去せずに行ったため, 油分を取り除いた状態の米ぬかでの検討も必要である.

アブシジン酸がコナギやその他の雑草種子にどのように作用するかは解明されていないが, 種子の休眠に関与し, 発芽を抑制する植物ホルモンであることからも, 抑草効果に関連する一つの物質である可能性がある. 一般的に植物の種子中に多く含まれており, 稲種子では籾殻に多く含まれていることが知られている. 今回の実験で得られた米ぬか中に含まれている量で活性が現われるのか否か, また圃場中でどの程度不活性化されるか等は検討課題であるが, 本実験では米ぬかの内生アブシジン酸量は, 経時的に減少することが明らかになった. そのため, とう精したばかりの米ぬかを施用すればアブシジン酸量は多くなるが, このことが除草効果とどう関連するかは今後の検討課題である.

第 2 章 水稲有機栽培における米ぬか田面施用が水稲の生育, 収量に及ぼす影響
緒言
近年, 消費者の健康や安全に関する意識, 環境問題に対する関心の高まりから, 農業についても自然循環機能を利用した持続的な技術の導入や安全な食物生産と, その担うべき役割は大きくなっている. 水稲の場合, 一部の農家により無農薬米や低農薬米, そして JAS 規格が制定された有機米の栽培が行なわれている. 有機栽培については数多くの研究報告があり, 片野ら ( 1983 ), 神谷ら ( 1994 ), 鈴木ら ( 1994 ) は, 有機物のみでも慣行栽培と同程度の収量を得ると報告しており, 片野ら ( 1983 ), 玉置ら ( 2002 ) は, 有機栽培では継続年数が長くなるにともない収量が高くなると報告している. 水稲の有機栽培において問題となるのは, 初期生育が悪く, 分げつが確保できないため, 収量が慣行栽培に比べ劣るということ ( 斎藤ら 2001, 前田 2001 ) や, 第 1 章で述べたように, 雑草防除が困難であるということである. 中山 ( 2002 ) は米ぬかを施用することによって, 稚苗移植では初期の分げつはやや抑えられるとしている. また, 田中・小野 ( 2000 ) は, 有機質資材を施用した水田に芳香族カルボン酸が集積し, 水稲の生育を阻害することを報告しており, この酸は, 水稲種子根の伸長阻害や窒素吸収活性を阻害することを明らかにしている. 一方, 鈴木ら ( 1994 ) は米ぬかは肥料効果があると報告している. また, 水稲有機栽培において問題となるのは雑草防除だけでなく, 病虫害の防除も深刻な問題である. 本研究で使用した圃場は特にイネミズゾウムシの発生が多い. 中村 ( 2004 ) は, イネミズゾウムシの発生は, 有機物が発酵する際に出る匂いに関係があると考察している. しかし, 米ぬか施用とイネミズゾウムシの発生, またその被害程度との関係はまだ明らかになっていない.

 そこで, 本研究では, 水稲有機栽培における米ぬか利用の確立を目的とし, 米ぬかの田面施用が水稲へどのような影響をおよぼすかを明らかにするため, 米ぬか施用による水稲の生育を調査した. また, 米ぬか施用によるイネミズゾウムシの発生, 食害程度への影響を検討した. 米ぬか施用による水稲乾物生産, 窒素吸収量および収量と収量構成要素につき検討した.

材料と方法
栽培方法と試験区は第 1 章, 実験 1 と同様である.
調査項目
生育調査
 生育調査は, 試験区ごとに周囲を含めた欠株のない 10 株 ( 5 株 2 畦 ) を 1 調査地点として, 1 試験区あたり 3 反復行い, 草丈, 茎数, 葉数, 葉色値の 4 項目を調査した. 草丈, 茎数, 葉数は米ぬかを施用した 4 試験区については, 初期生育を詳しく見るために 6 月 8 日から 7 月 6 日までは 1 週間ごとに, その後 8 月 17 日までは 2 週間ごとに測定した. 対照区については, 6 月 8 日から 8 月 17 日まで 2 週間ごとに測定した. 葉色値は 6 月 22 日から 8 月 17 日まで 2 週間ごとに測定した. 葉色値の測定には, ミノルタ社製自動葉緑素計 ( SPAD 502 ) を用いて最上位展開葉の前の葉の中央部を測定した.

イネミズゾウムシ調査
 イネミズゾウムシ調査は, 米ぬか 100 - 2 日後, 5 日後区と, 対照区については 1 試験区あたり 40 株, 3 反復で行ない, 米ぬか 200 - 2 日後, 5 日後に施用した区については 1 試験区あたり 20 株, 3 反復で行なった. 6 月 3 日 ( 移植後 2 週間 ) に発生しているイネミズゾウムシの個体数と食害程度を調査した. 株ごとに地上部で確認された個体数を記録し, 食害程度はその生育時期の最上位展開葉まで食害が見られたものを 3 とし, その 1 つ下葉まで食害が見られたものを 2, さらに 1 つ下葉まで食害が見られるものを 1, 全く食害のないものを 0 とし 4 段階で表した.

乾物重, 葉面積, 窒素吸収量調査
 抜き取り調査は, 最高分げつ期の 7 月 1 日, 穂揃期の 8 月 10 日, 12 日と収穫期の 9 月 16 日に行なった. 調査は生育調査地点の平均茎数を調べ, 平均茎数を持つ株を各調査地点の周辺から 2 株抜き取って行なった. 抜き取った株は根を切除し, 葉身を切り離し葉面積を測定した後, 穂, 葉身, 葉鞘 + 茎に分け, 80 ℃で 2 日間通風乾燥後, 乾物重を測定した. 乾物試料は, 1 cm 程度に裁断した後, HEIKO 製粉砕機 ( SAMPLE MILL TI - 100 ) で微粉砕し, 窒素含有率を測定した. 測定には島津社製 NC アナライザーを用いた.

CGR ( 個体群成長速度 ) は CGR = ( w2 - w1 ) / ( t2 - t1 ) で計算した. ここで w1, w2 はある時点 t1, t2 における単位面積内にある全個体の乾物重 / m2 である.

NAR ( 純同化率 ) は NAR = 2.30 (w2 - w1 ) ( logL2 - logL1 ) / ( t2 - t1 ) ( L2 - L1 ) で計算した. ここで L はある時点における葉面積指数である.

収量と収量構成要素
 9 月 16 日の収穫時に収量および収量構成要素調査を 3 反復で行なった. 収量調査は米ぬかを施用した 4 試験区について 1 反復あたり 10 株 × 2 列計 20 株, 対照区については 10 株 × 4 列計 40 株を地際から刈り取り, 穂数を数え充分に風乾後, 全重, 精籾重, 総玄米重, 精玄米重, と水分含量を測定した. 粒厚 1.8 mm 以上を精玄米として, 水分 15 % に換算し精玄米重とした. なお, 水分含有率はケット科学研究所製の成分分析計 AN - 700 を用いて測定し, 同時に食味値と蛋白質含有率も測定した.

 収量構成要素は, 収量調査から得た穂数データをもとに収量調査地点の周辺から各地点の平均的な穂数を持つ株を 1 反復あたり 5 株掘り取った. 各株の平均的な穂 4 本を取り出し, 1 反復あたり 20 穂の籾数を数え, 比重 1.06 の食塩溶液で塩水選を行い, 登熟籾と不稔籾とに分別し, それぞれの粒数を測定し登熟歩合を算出した. 各株から主茎を 3 本抜き出し, 1 反復あたり 15 本の穂長と節間長を測定した. 玄米千粒重は玄米 20 g を秤量し, その粒数から算出した. また, 収量の刈り取り時に坪刈り地点と周辺部の倒伏程度を調査し, 倒伏しなかったものを 0 , 完全倒伏したものを 5 として 0 〜 5 の 6 段階で表した.

結果
生育とイネミズゾウムシの発生
 第 4 図に草丈の推移を示した. 生育初期から 7 月 20 日までは米ぬかを施用した 4 区が対照区を上回った. 6 月 8 日では米ぬか 100 kg 施用区が米ぬか 200 kg 施用区を上回っていたが, その後 6 月 29 日には逆転した. 生育後期には全区同じような値で推移していた. 最終的に米ぬか 100 - 2 日後区が最も高い値を示したが, 8 月 17 日には各試験区との差はなかった.

茎数の推移を第 5 図に示した. 6 月 15 日から米ぬか200 kg 施用区が高い値で推移したが, 7 月 6 日以降米ぬか 200 - 2 日後, 5 日後区は大幅に茎数が減少し, 逆に対照区は大幅に茎数が増加した.最終的に全試験区間に有意な差は認められなかった.

葉数の推移を第 6 図に示した. 葉数は全試験区同じような値を示しながら推移した.
葉色値の推移を第 7 図に示した. 生育初期において, 米ぬか 200 kg 施用区が高い値で推移した. 出穂日以降は全区葉色値は減少し, 最終的に米ぬか 200 - 2 日後区が最も低かった.

1 株あたりのイネミズゾウムシ個体数を第 8 図に示した. 米ぬか 100 - 5 日後区と 200 - 5 日後区の個体数が少ない傾向があった. 対照区が最も多かった. イネミズゾウムシによる平均食害程度を第 9 図に示した. 個体数の結果と同様に, 米ぬか 100 - 5 日後区と 200 - 5 日後区の被害程度が他の試験区に比べ有意に少なかった.

乾物生産と窒素吸収
器官別乾物調査の結果を第 10 図に示した. 最高分げつ期における葉身, 葉鞘 + 茎を合わせた地上部全乾物重は, 米ぬか 200 kg 施用区で, 施用時期に関わらず対照区を有意に上回った. 穂揃期における葉身, 葉鞘 + 茎, 穂を合わせた地上部全乾物重は, どの試験区においても有意差は認められなかったが, 最高分げつ期と同様に, 米ぬか 200 kg 施用区が施用時期に関わらず高い値をとる傾向が見られた. 収穫期では米ぬか 100 - 2 日後区が最大で, 米ぬか 100 - 5 日後区がもっとも小さい値をとり, この 2 試験区間に有意差が認められた. しかし, この 2 区と他の試験区間に有意な差は認められなかった. 生育期間内の地上部乾物重の推移を第 11 図に示した. 穂揃期までの期間では各試験区間に大きな差はなかったが, 穂揃期から収穫期までの期間では, 米ぬか 100 - 5 日後区と対照区が大きく増加した.

 葉面積指数の推移を第 12 図に示す. 最高分げつ期における葉面積指数は, 米ぬか 200 kg 施用区が高い値を示した. 穂揃期には米ぬか 200 - 5 日後区が最も高い値を示した. その後, 収穫期には米ぬか 100 - 2 日後区が米ぬか 200 - 5 日後区を上回り, 最も大きい値を示していた.

比葉面積を第 13 図に示す. 比葉面積は葉面積 ( cm2 / 株 ) / 葉身乾物重 ( g / 株 ) で表される. 最高分げつ期において, 米ぬかを施用した試験区間では差は少なかったがこの 4 区に比べ対照区は特に小さく, 最も低い値を示した. 米ぬか 200 - 5 日後区は穂揃期, 収穫期ともに高い値のまま推移した.

生長解析として個体群生長速度 ( CGR ) を第 14 図に示す. 最高分げつ期から穂揃期にかけての個体群生長速度は米ぬか 100 - 2 日後区が最も高く, 対照区が最も低かったが各試験区間に有意な差は認められなかった. 穂揃期から収穫期になると, 最高分げつ期から穂揃期にかけてのそれと同様に米ぬか 100 - 2 日後区が最も高く, 米ぬか 100 - 5 日後区が最も低い値を示した. 個体群生長速度が最大であった米ぬか 100 - 2 日後区と対照区は, 米ぬか 100 - 5 日後区に比べ有意に高かった. 純同化率 ( NAR ) を第 15 図に示す. 最高分げつ期から穂揃期にかけての純同化率は, 対照区が最も高い値を示し, 米ぬか 200 - 5 日後区が他の試験区に比べ有意に低くなって最小であった. 穂揃期から収穫期も同様に, 対照区が最も高い値を示した.

期間別の窒素含有率と窒素含有量を第 6 表に示す. 最高分げつ期の窒素含有率は, 対照区で葉身, 葉鞘 + 茎のどちらとも他の試験区に比べ有意に高かった. しかし, 窒素含有量は対照区が葉身, 葉鞘 + 茎ともに最も低く, 地上部合計の窒素含有量でも最も低かった. 最高分げつ期の地上部合計窒素含有量は, 米ぬか 200 kg 施用区が他の区に比べ有意に高い値を示し, 米ぬか 200 - 5 日後区が最大であった. 穂揃期には, 各試験区の葉身窒素含有率に差は認められるものの, 葉身, 葉鞘 + 茎, 穂を合わせた地上部合計の窒素含有量に有意な差は認められなかった. 収穫期窒素含有率において, 米ぬか 100 - 5 日後区が最も高い値をとった. 窒素含有量において, 地上部合計の窒素含有量は米ぬか 100 - 2 日後区と対照区が, 他の試験区に比べ有意に高かった.

窒素吸収量の推移を第 16 図に示した. 窒素吸収量は後期の窒素吸収量からその前期の窒素吸収量を引いて求めた. 移植から最高分げつ期までの窒素吸収は米ぬか 200 kg 施用区が高かった. しかし, 穂揃期から収穫期にかけての窒素吸収は低い傾向が見られた.

収量, 収量構成要素
収量調査の結果を第 7 表に, 収量構成要素の結果を第 8 表に示した. 精玄米重において各試験区間で有意な差は見られなかったが, 米ぬか 200 - 5 日後区が最高収量であったこと, 米ぬかを施用した 4 区が対照区を上回ったこと等, 最高分げつ期までの初期生育の段階での茎数の結果の結果に順ずるような傾向が見られた. 全風乾重, 精籾重, 総玄米重においても各試験区間に有意な差はなかったが, 精玄米重と同じような傾向が見られた. 収量構成要素では, 米ぬか 100 - 2 日後区が穂数, m2 あたりの籾数において最高の値を示し, その差は米ぬか 200 - 5 日後区を除いた他の 3 区に比べ有意に大きかったが, 登熟歩合が最も低かったため収量には反映されなかった. 米ぬか 200 kg 施用区は登熟歩合, 玄米千粒重において他の 3 試験区に比べ有意に高い傾向にあった.

食味値と蛋白質含有率を第 9 表に示した. 食味値は米ぬか 100 kg - 5 日後区が対照区に比べ有意に高い値をとり, 試験区間で最高値を示した. また, 米ぬかを施用した 4 区は, 有意な差はなかったものの全区において対照区を上回っている傾向が見られた. 全区において蛋白質含有率に有意な差は認められなかったが, 乾物あたりの蛋白質含有量 ( 蛋白 CM ) は米ぬか 100 - 5 日後区が最も少なく, このことが食味値に反映された結果となった.

考察
苗質は移植後の活着, 発根力, 養分吸収を通じて初期生育と密接に関係することはよく知られている( 楠谷 1986, 山本 1995 a, 山本ら 1995 b ). また, 米ぬかを施用することによって, 稚苗移植では初期の分げつはやや抑えられるとしている( 中山 2002 ). 有機栽培では成苗を疎植する方法が一般的で, 本試験においても健苗を移植した. そのため, 米ぬかを施用したことによる植痛みはどの試験区においても見られなかった. 草丈, 茎数, 葉数, 葉色値いずれの調査においても, 米ぬかの施用量, 施用時期の違いに関わらず米ぬか施用による水稲初期生育の抑制は見られなかった. 茎数については, 米ぬかを施用したことによる初期生育の段階での明らかな増加が見られ, 米ぬか100 kg 区よりも 200 kg 施用区の方がその増加は顕著に現れた. 富樫 ( 2003 ) は, 米ぬかや発酵鶏糞を表面施用することで茎数を増加させることができる可能性があるとしている. また酒井・山本 ( 1999 ) は, 牛糞堆肥は窒素無機化が遅いと報告しており,本試験において生育前半の段階で米ぬかを施用した 4 区の茎数が大幅に対照区を上回っていたのは, 米ぬかに窒素供給能があり, 米ぬか分解速度と堆肥分解速度の違いのために窒素供給の時期が違い, それが茎数の増加に反映されたと推察される. C / N 比の高い有機物は, 一般に圃場で分解されにくい. 本試験で使用した堆肥の C / N 比は 13.78 で, 米ぬかは一般的に 17 程度であるが, レンゲ, 緑肥等他の有機物に比べ分解されにくい構造をしており, かつ油分が多いため分解速度は比較的遅い. そのためこの分解速度の違いは, C / N 比の違いによるものというよりは, 堆肥は本田準備期間に地中にすき込まれているのに対し, 米ぬかは圃場表面に施用されており, 温度の上昇等の物理的な作用を受けやすかったために差がでたと推察される. 生育後半になって対照区の茎数が大幅に増加したのは, 生育初期に無機化されなかった堆肥が後半になって無機化され, 窒素を供給したためであると考えられた. また, 米ぬか 200 kg 施用区が生育後半になって茎数が減少したのは, 無効茎の発生が対照区, 米ぬか 100 kg 施用区よりも著しかったためである. 米ぬか 200 kg 施用区は施用時期の違いに関わらず, 生育初期の段階で多く分げつが発生している. このため, 米ぬかの分解が終わり, 米ぬかからの窒素の供給が無くなり, 堆肥のみの窒素供給に移行した時点で地上部の茎数が多すぎた状態であったと推察される. このことにより, 米ぬか 200 kg 施用区は, 分げつが比較的少なめであった対照区, 米ぬか 100 kg 施用区に比べて分げつ全体に窒素が行き渡らずに無効茎が多く発生してしまったと思われる.

イネミズゾウムシの個体数, 食害程度は, 米ぬか 100 - 5 日後区, 200 - 5 日後区で少ない傾向が認められた. 施用時期の遅かった 5 日後散布した試験区でこの傾向が見られることから, 移植 5 日後散布により, イネミズゾウムシの発生時期に米ぬか分解が重なって, 何らかの要因でその発生もしくは食害を抑制した可能性があると思われたが, この米ぬか施用によるイネミズゾウムシに対する影響は今後の検討課題である. イネミズゾウムシの食害は地上部よりも地下部, つまり根の食害の方が水稲の初期生育に関して深刻な問題となる. この根の食害はイネミズゾウムシの幼虫により引き起こされ, 米ぬか施用による影響を検討する際, 地上部だけでなく根部の調査も検討課題である. また中村 ( 2004 ) は, イネミズゾウムシの発生は, 有機物が発酵する際に出る匂いに関係があるとしているが, 本試験では米ぬかを施用していない対照区が最も個体数が多かった. この匂いとイネミズゾウムシの忌避効果についても検討が必要であると思われる.

鈴木ら ( 1994 ) は米ぬかを追肥として利用しており, その肥料効果のねらいが施用後 30 〜 40 日である. 本試験で米ぬか 200 kg 施用区は, 最高分げつ期の地上部乾物重, 葉面積指数が米ぬか 100 kg 施用区と対照区に比べ有意に高い値を示した. 最高分げつ期の窒素含有量も米ぬか 200 kg 施用区が他の試験区に比べ有意に高くなっており, 米ぬかの肥料効果はその施用量が多い程顕著に現れると推察され, 鈴木ら ( 1994 ) とほぼ同様の施用後 30 〜 40 日の間に肥料効果が現れたと思われる. また, 最高分げつ期の調査において, 対照区の地上部全窒素含有率が他の試験区に比べ有意に高いのに対し, 地上部全窒素含有量は最も低くなっている. これは, 調査時の対照区の地上部乾物重が低い値であったためで, 対照区の稲は吸収した体内の窒素をまだ生長に利用していない状態であったと推察される. 和田ら ( 1968 ) は稲体の窒素含有率が高い程代謝活性が高まるために, 生産された乾物は葉面積を増大すると報告し, 冨樫 ( 2003 ) は米ぬかを田面施用することにより, 最高分げつ期までに肥効を示し, 窒素含有率が増加した結果, 個体群生長速度や純同化率が高まって穂数が確保できると報告している. しかし, 本試験では米ぬかを田面施用することによる窒素供給は認められたが, その肥効が穂数には影響しなかった. これは, 最高分げつ期以降の米ぬか 200 kg 施用区の個体群生長速度や純同化率が他の試験区に比べ特に高い値をとっていないことからも, 米ぬかの本田における分解速度は速く, 米ぬか施用による窒素は最高分げつ期までの期間にほぼ吸収されて, 肥料効果が最高分げつ期以降にはなくなったためであると思われる. そのため, 本試験において米ぬか 200 kg 施用区は, 幼穂形成の時期には既に米ぬかの肥料効果はなく, 無効茎が発生し対照区と穂数は同等であった. 穂揃期には地上部稲体窒素含有量に差は無くなり, 最終的に収穫期には米ぬか 100 - 2 日後区と対照区の窒素含有量が, 他の試験区に比べ高い値をとっていた. 対照区の場合, 茎数の推移を考慮して, 堆肥の肥効が遅かったため生育初期からの分げつ数は抑えられ, そのために, 生育後期において堆肥の窒素が無機化した時に, その窒素が充分に植物体全体に行き渡ったためであると思われる.

 今回の試験では, 直接収量を表す精玄米重においてどの試験区間にも有意な差は認められなかった. 米ぬかの施用量, 施用時期の違いによる収量への影響は見られなかった. 生育調査, 稲体窒素分析の結果から, 米ぬか施用による窒素供給が示唆されたが, この窒素供給は収量に影響をおよぼさなかったと思われる. これは, 本試験で米ぬか 200 kg 施用区で生育後半に茎数が減少したことから, 米ぬか施用による窒素供給はあったが, 収量に影響をおよぼす以前にその窒素供給能がなくなってしまったためであると推察される. このことにより, 最終的に米ぬかを多量に施用した, 米ぬかを 200 kg 施用した試験区と標準的な施用量の 100 kg 施用区との差はなかった. 窒素成分で10 a あたり約 2 kg ( 日本標準飼料成分表より ) の違いがあったが, 米ぬか 200 kg 施用区ではそれが無効茎の発生を促す結果となった. この結果から, 水稲有機栽培において除草法の一つとして米ぬか田面施用を行う場合, その肥料的な効果も考慮して行う必要があると思われ, 米ぬかの施用量は最終的な収量を考慮し, また施用量による除草効果の違いは見られなかったことからも, 10 a あたり 100 kg 程度の施用量が適当であると推察された. 一方, 米ぬかの肥料的な効果に着目して, もし, 今回の試験で 200 kg 施用したように, 米ぬかを多量に施用する場合には生育中期から後期にかけて米ぬかを再度田面施用し, 追肥として不足した窒素の供給を行うことにより, 本試験における米ぬか 200 kg 施用区のような生育初期の茎数の増加を収量に関連付けられる可能性もあり, また更なる除草効果を発揮する可能性もある. この除草効果と併せた米ぬかの追肥肥料としての利用については今後の検討課題である.

また, 本試験において雑草発生量の多かった米ぬか 200 - 2 日後区と対照区の収量は, 他の雑草発生量が少ない試験区と同等であり, 減収には至らなかった. 本試験圃場での雑草優占種はコナギと考えられ, 千坂 ( 1966 ) は水稲と雑草との競争関係を詳細に検討し, コナギの雑草害は穂数減による減収として最も表れ, 生育中期以降は水稲との競争関係は薄れて, 逆に登熟歩合は高まると報告している. 本試験では, 雑草発生量の多かった米ぬか 200 - 2 日後区の穂数は少なく, 登熟歩合は試験区間で最も高かった. これは上記の通り, 生育中期以降の水稲と雑草との競争関係が薄れたためであると推察される. また, 椛木・中村 ( 1984 ) は, 水田雑草の窒素吸収特性について検討し, コナギは混植によって競合関係におかれた場合の窒素吸収力は大きいと報告している. 米ぬか 200 - 2 日後区は, 対照区よりも多く雑草が発生していたのにも関わらず, 両区の収量に有意な差がないのは, 先に述べた米ぬかの窒素供給によるものと推察される. この窒素供給により, コナギとの窒素の競合は起こっていたものの, 水稲生育に必要な窒素はあったものと思われる.

 食味と蛋白質含有率について, 総合的な食味値は米ぬか 100 - 5 日後区が最も高く, 対照区に比べ有意に高い値を示していた. 一般的に玄米中蛋白質含有量と食味との間には高い負の相関関係が認められている ( 中村 2004 ). 蛋白質含有量において各試験区間に有意な差は認められなかったが, 乾物あたりの蛋白質含有量 ( 蛋白 CM ) が米ぬか 100 - 5 日後区は最も低かったために, 総合的な食味値が高くなったと思われる. 本試験では, 食味に関しては食味計での測定しか行っていないが, 蛋白質含有量だけでなく, ミネラル分等の微量要素も考慮して米ぬか施用による食味への影響のメカニズムを解析することは, 今後の検討課題であると思われる.

総合考察
 本研究では, 水稲有機栽培における安定的な雑草防除法の確立を目的として, 米ぬかを施用量, 施用時期を異にして田面施用することによる圃場での雑草防除効果, 水稲の生育収量について検討し, また米ぬかからの抽出物質による抑草活性の検討を行った.

 米ぬかの施用量, 施用時期を異にして雑草発生調査を行った結果, 米ぬか 10 a あたり 100 kg, 200 kg の施用量の違いでは, 除草効果は同等であり, 明確に差は現れなかった. 移植日から 2 日後, 5 日後の施用時期の違いに関しても同様に差は無かったが, 対照区と比較して雑草発生量は明確に少なかった. このことより, 米ぬかの施用量は 10 a あたり 100 kg 〜 200 kg で, 移植後 5 日以内であれば除草効果は現れると思われる. しかし, 米ぬかを施用した試験区において, 米ぬかを施用していない対照区よりも雑草が多く発生している試験区もあった. これは第 1 章で考察したように, 圃場条件, 特に土壌表層の状態の違い等様々な要因によるものであると思われ, 米ぬかの除草効果に関するいくつかの因子が総合的に発揮されにくかったためであると推察される. 今後, 米ぬかの除草効果が発揮されやすい圃場状態, 栽培管理等の検討, 特に代掻きを目安にした米ぬか施用時期の検討等が課題である.

 米ぬかからの抽出物質による雑草抑制活性は明確に認められなかった. しかし, その活性は酸性と中性有機層に見られ, 水層には見られなかったことから, 雑草抑制効果は米ぬか中の何らかの極性物質 ( 有機酸等 ) によるものであることが示唆された. この酸性, 中性有機層に何が, どの程度含まれているかは今後の検討課題である. また, 米ぬか中アブシジン酸は経時的に減少することが認められたが, アブシジン酸については解明されていないことが多く, その雑草抑制作用については検討が必要である.

 米ぬかを施用することによる水稲生育収量への影響を見るため, 生育調査, 収量調査を行った結果, 米ぬか田面施用による水稲生育収量の抑制は, 本研究で設定した施用量, 施用時期の違いに関わらず認められなかった. また, 茎数の推移, 稲体地上部窒素含有量の結果から, 米ぬかを施用することによる稲体への窒素の供給が明らかになった. 第 2 章で見たように, この米ぬかの窒素は施用後 30日から 40 日前後までに肥効を示し, 稲体に吸収される. そのため, この窒素の供給は収量には影響せず, また本研究で米ぬかを 10 a あたり 200 kg 施用した試験区は, 最高分げつ期までの生育初期に分げつを多く発生し, その後堆肥のみの圃場の地力窒素に見合わない生育量で推移し, 無効茎が多く発生してしまったと思われた. これらのことを総合的に考察して, 堆肥標準施用量の 10 a あたり 2 t の有機栽培水田において水稲有機栽培を行う場合, 米ぬかの施用量は 10 a あたり 100 kg 程度が適当量であること, また米ぬかを多量に本田へ施用する場合, 生育中期から後期にかけて米ぬかを追肥として田面施用し, 不足した窒素の供給を行えば生育初期の生育量を維持できる可能性があり, 初期の窒素吸収を収量に結びつけることができると思われる. また, この追肥としての米ぬか田面施用により更なる除草効果が発揮される可能性もあると推察される.

 食味計による食味測定の結果, 米ぬかを施用した試験区の食味値が高い傾向にあった. 食味計では主に蛋白質含有量が食味値に反映される. 第 2 章で考察したように, 米の食味と米ぬか田面施用との関連はまだ議論の段階であるが, 今後は米の蛋白質以外に着目した検討により米ぬかと食味が関連してくる可能性があると推察される. 消費者からも米の品質, 食味が重要視される傾向にある現在の状況において, 有機栽培米の品質や食味の更なる向上のためにも, この微量要素と食味の関係は重要な検討課題であると思われる.

 まとめると, 水稲有機栽培において, 米ぬか施用量は 10 a あたり 100 kg が適量であり, 施用時期は移植日から 5 日以内であれば雑草防除効果は発揮されることが分かった. 同時に, 米ぬかによる窒素の供給が示唆され, 除草効果と併せた追肥効果の可能性が示唆された. しかし, 圃場条件等の様々な要因によって米ぬかの除草効果は不安定であることも分かった. また, 米ぬか中雑草抑制物質を明確にすることはできなかったが, 何らかの極性物質が発芽抑制に関与している可能性が示唆された.

摘要
水稲有機栽培における安定的な除草方法の確立を目的として, 本研究では, 米の作物副産物である米ぬかの水田面への施用量, 施用時期の違いが除草効果および水稲の生育・イネミズゾウムシの発生におよぼす影響・水稲の乾物生産, 窒素吸収と収量におよぼす影響を検討した. また, 米ぬか中物質の除草効果についての検討も行った.  圃場試験として, 米ぬか 100 - 2 日後区, 100 - 5 日後区, 200 - 2 日後区, 200 - 5 日後区, 対照区の 5 区設定した. 雑草発生量は 2004 年に調査した.

 200 - 2 日後区と対照区を除いて除草効果は認められた. 施用量, 施用時期の違いによる除草効果の違いは見られなかった. このことから, 米ぬか施用量は 100 kg/10 a 程度でも十分除草効果が現われ, また移植日から 5 日以内に施用すれば除草効果が得られることが分かった.

次に, 米ぬか中の抑草物質の検討を行った. 米ぬか現物をメタノール抽出した後濾過し, さらに溶媒分画して水性残渣物質区, 中性有機物質区, 酸性有機物質区を得た. それらを用いてコナギについて生物検定を行ったところ, 中性有機物質区, 酸性有機物質区に抑草効果が認められた.

 HPLC によって米ぬか中内生アブシジン酸量を定量したところ, 米ぬか中アブシジン酸量は経時的に減少した.

米ぬか田面施用が水稲の生育・収量におよぼす影響の調査を 2004 年に行った. 米ぬかの施用量, 施用時期に関わらず, 米ぬか田面施用による水稲初期生育の抑制は見られなかった. 米ぬか田面施用による稲への窒素の供給があったが, この稲の窒素吸収は収量に影響しなかった.

 以上をまとめると, 米ぬか施用量はコスト, 除草効果の結果からも 100 kg/10 a が適量であること, また米ぬかの追肥肥料としての可能性が示唆された.

Summary

The Effects on Weeds, Growth and Yield by Scattering Rice Bran
on the Surface in Organic Culture of Paddy Rice
Eiji Asatsuma

This research aims at the establishment of organic culture system of paddy rice and to investigate the effects on weeds, growth and yield of paddy rice by scattering rice bran in organic culture. The method of labor reduction for weed control is not established yet in organic culture. Therefore, in this research, organic matters as rice bran, which can be obtained easily, were used and the weeds control method was examined. The optimum amount and scattering time of rice bran, the influence of scattering Rice Bran on growth, yield, pest occurrence and nitrogen absorption of paddy rice in organic paddy fields were studied too. Substance in the Rice Bran for weeds control was also studied.

1. Effect of Rice Bran application after rice transplanting on paddy weeds in organic rice culture
Experiment 1. Field Test
The study was conducted at the Utsunomiya University farm. The study was divided into five plots. They were, 100 g/m2 - scattering rice bran on surface after 2 days and 5 days from transplanting, 200 g/m2 - scattering rice bran on surface after 2 days and 5 days from transplanting and the control plot. The occurrence of weeds was investigated in 2004.
The weeds were suppressed except 200 - 2 days and the control plot. There was no difference between amounts and times of scattering rice bran.
It was shown that 100 g/m2 scattering rice bran was enough and scattering rice bran within 5 days from transplanting could control weeds. Experiment 2. The effect of substance in rice bran on weeding.
The rice bran was extract by methanol and then divided by organic solvents. Water plot, neutrality plot and acidity plot were obtained, respectively. Then, bioassayed by using Monochoria vaginalis var. plantaginea. It was found that the neutrality plot and acidity plot were suppressing weeds.
Abcisic acid in rice bran was measured by HPLC. Absicic acid in rice bran decreased as time went on.

2. Effect of Rice Bran application after rice transplanting on growth and yield of paddy rice in organic rice culture
The effect of scattering rice bran on the paddy rice was investigated in 2004. Experimental materials, methods and plots were similar to Experiment 1. It was found that suppression of initial growth was not detected regardless of amounts or times of scattering rice bran. The nitrogen absorption by scattering rice bran on paddy rice was detected. But this nitrogen absorption had no effect on yield of paddy rice.

In conclusion, the optimum amount of scattering rice bran was 100 g/m2. The rice bran had effect as an additional fertilizer.

謝辞
 本研究の遂行および本論文の作成にあたりご指導, ご助言を頂いた野生植物研究センターの重川弘宜教授,作物生産技術学研究室の前田忠信教授, 栽培学研究室の吉田智彦教授, 三浦邦夫助教授, 和田義春助教授, 土壌学研究室の平井英明助教授, 野生植物研究センターの米山弘一教授には心から深く感謝申し上げます.
 農場で暑い中, 汗を流し, 楽しく作業, 調査を手伝ってもらった久保二郎さん, リー・トン君, 人見成雄君, 中村綾子さん, 井上雅洋君, 川内健介君, 白間俊介君や, 土壌学研究室の松野定和さん, 近藤晋君, 千葉清史君, 斉藤奏枝さん, 石川恵さん, 圃場管理など様々な面でご協力頂いた宇都宮大学附属農場の技官の皆様に深く感謝しております. また, 栽培学研究室の学生の皆様, 何かとお世話になった栃木県二宮町の上野さん夫妻, 私を支えてくれたすべての皆様に心より感謝申し上げます.
参考文献

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第 6 表 期間別窒素含有率と窒素含有量.										
	窒素含有率(%)					窒素含有量(g/m2)				
	葉身	葉鞘 + 茎	穂			葉身	葉鞘 + 茎	穂	合計	
最高分げつ期										
米ぬか 100 -  2 日後区	3.48 bc	1.68 b				0.86 c 	0.50 ab		1.36 b	
米ぬか 100 -  5 日後区	3.25  c	1.67 b				0.87 bc	0.51 ab		1.38 b	
米ぬか 200 -  2 日後区	3.42 bc	1.63 b				1.23 ab	0.69 a 		1.93 a	
米ぬか 200 -  5 日後区	3.82  b	1.65 b				1.39 a 	0.64 ab		2.03 a	
対照区	4.62  a	2.52 a				0.82 c	0.47 b 		1.29 b	
										
穂揃期										
米ぬか 100 -  2 日後区	2.12 a	0.50 ab	1.09 a			4.29 a	2.80 a	1.29 a	8.38 a	
米ぬか 100 -  5 日後区	2.02 ab	0.55 ab	0.99 a			3.46 a	2.76 a	1.07 a	7.29 a	
米ぬか 200 -  2 日後区	1.96 ab	0.53 ab	1.00 a			3.54 a	3.03 a	1.23 a	7.80 a	
米ぬか 200 -  5 日後区	1.90 b	0.49 b	1.04 a			4.18 a	2.75 a	1.37 a	8.29 a	
対照区	2.11 ab	0.62 a	1.08 a			3.68 a	2.83 a	1.23 a	7.75 a	
										
収穫期										
米ぬか 100 -  2 日後区	0.78 a	0.35 abc	1.04 bc			1.30 a	1.68 a	7.43 a	10.41 a	
米ぬか 100 -  5 日後区	0.84 a	0.45 a	1.08 ab			1.11 ab	1.33 abc	5.84 a	8.28 b	
米ぬか 200 -  2 日後区	0.74 a	0.30 bc	1.00 c			0.90 b	1.31 bc	6.43 a	8.64 ab	
米ぬか 200 -  5 日後区	0.76 a	0.28 c	0.96 c			1.00 ab	1.22 c	6.28 a	8.50 b	
対照区	0.83 a	0.39 ab	1.12 a			1.31 a	1.6 ab	7.29 a	10.20 a	
同一のアルファベットはダンカンの多重検定で 5 % 水準で有意差のないことを示す.										
								
第 7 表 収量調査.								
試験区	全風乾重	精籾重	藁重	籾/藁	総玄米重	精玄米重	くず米重	
	g/m2	g/m2	g/m2	g/m2	g/m2	g/m2	g/m2	
米ぬか 100 -  2 日後区	1249 a	636 a	613 ab	1.04	522 a	461 a	61 a	
米ぬか 100 -  5 日後区	1211 a	609 a	602 ab	1.01	496 a	471 a	25 b	
米ぬか 200 -  2 日後区	1166 a	597 a	569 ab	1.05	485 a	458 a	27 b	
米ぬか 200 -  5 日後区	1292 a	628 a	664 a	0.95	510 a	476 a	34 b	
対照区	1152 a	591 a	561 b	1.05	484 a	443 a	 41 ab	
同一のアルファベットはダンカンの多重検定で 5 % 水準で有意差のないことを示す.								
								


第 8 表 収量構成要素. 						
試験区	穂数	1 穂籾数	m2当たりの籾数	登熟歩合	千粒重	
	( 本/m2 )	( 粒/本 )	( 1000粒/m2 )	( % )	( g )	
米ぬか 100 -  2 日後区	295  a 	104 a	30.86  a 	75.9 c	21.56 ab	
米ぬか 100 -  5 日後区	251 bc	106 a	26.52 ab	 81.6 bc	21.34  b 	
米ぬか 200 -  2 日後区	240  c 	100 a	24.14  b 	 90.5 a	21.91  a 	
米ぬか 200 -  5 日後区	286 ab	102 a	29.02 ab	 88.1 ab	21.93  a 	
対照区	245  c 	108 a	26.63 ab	 84.6 ab	21.40  b 	
同一のアルファベットはダンカンの多重検定で 5 % 水準で有意差のないことを示す.						
第 9 表 食味値と蛋白質含有率							
試験区	食味値	蛋白質	蛋白 CM	水分	アミロース	脂肪酸	
		( % )	( % )	( % )	( % )	( KOH mg/100 g )	
米ぬか 100 -  2 日後区	71.67 b	6.57 a	8.13 a	15.47 b	19.80 b	17.63 b	
米ぬか 100 -  5 日後区	74.00 a	6.43 a	7.67 b	15.77 a	19.97 a	18.70 a	
米ぬか 200 -  2 日後区	 73.00 ab	6.70 a	 7.93 ab	15.70 a	 19.87 ab	 17.97 ab	
米ぬか 200 -  5 日後区	 72.33 ab	6.67 a	 7.87 ab	15.47 b	 19.93 ab	18.63 a	
対照区	71.33 b	6.87 a	8.07 a	15.33 b	19.97 a	18.63 a	
各項目の同一のアルファベットはダンカンの多重検定において 5 % 水準で有意差がないことを示す.							
成分分析計 AN - 700 ( Kett ) にて測定.							
蛋白 CM は乾物あたりの蛋白質含有率.							


図は省略



写真 除草作業




以上

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