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多収キビの交配と生長の観察

              生物生産科学科 植物コース

                 作物栽培学研究室              

003199C 間庭 昭雄

要旨

 キビ(Panicum milaceum L.)19品種を1ポットに肥料は窒素0.5gで生育し、その過程の観察と、生長させたキビでの交配を行った。
 生育過程では、出芽は、品種によっての差はあまり見られなかったが、出穂期は品種により1ヶ月から2ヶ月の差が見られた。
 出穂したものから開花しそうなものを選び、つぼみを指で擦り合わせることにより開花させ、おしべを取り除き母体とした。雄親とするために別の品種の開花しそうなものを選び開花させ、先に除雄していたものに授粉させた。これをいくつかの品種で行った。その後、収穫した。除雄した親の平均は23.88個で,収穫できた種は6.12/個体だった。また、背の高い親と低い親でできた種を交配されたかどうか確認のため播種した。その結果、生長し種を収穫できたので交配は成功したと言える。


目的

 最近、スーパーなどの食品売り場で、健康食品として雑穀類が売られているのをよく目にする。それで、雑穀類に興味をもったが、今はほとんど生産されていない。そこで、雑穀類の1つであるキビについて自分で生育して観察することにした。また、きびは自家受粉作物と考えられているが、自然では10パーセントほどしか受粉は起こらない。そこで、人工的に交配し品種改良の可能性を探ってみることにした。

材料と方法

1.キビ19品種と参項のためアワ1品種を1回につき1品種あたり3ポットに播種し、最終的に生育の良いものを1ポットに1本になるように間引きを行った。
 5月6日 1回目播種 5月21日 2回目播種 6月4日 3回目播種をした。どれも1ポットあたりにチッソ0.5g施肥した。2回目、3回目の生育が悪かったので、残りの種で4回目を同様に行った。
 キビ19品種から開花しそうなものから選び、母体を決め除雄し、雄親とするものは開花させ交配した(Nelson ,L.A.1984)。交配ができたかの確認をするため、交配し収穫した種のなかで草丈の高いものと低いものを掛け合わせてできたF1と、それと比較のため親としたもののF1を播種した。生育させ草丈と収穫数を測定した。
2.1から20までの品種の収量構成要素を調査した。

結果と考察

使用した品種と発芽率を表1,2に記した。
 いくつか除雄し交配したが、全ての交配がうまくいったわけではなく、種が実らないものもあった。原因は、交配の失敗が考えられる。また、粒が多く出来たものと、できなかったものの差は相性があるのかもしれない。
F1は、掛け合わせたものの種から芽が出て来たので交配は成功したと考える。また、組み合わせにより、種数にも大きな差がみられた。きびの草丈が大きいものが、種を多くつけていた。F1では、親が同じF1の方が、親が別ものより、草丈の割に収量が良かった。
 品種により、出芽はほぼ同じ時期に起こるが、出穂は2ヶ月と大きく期間が開いた。きびは品種によって、分げつ差のわりに穂数に大きく差がでた。穂数と100粒重の重さは比例しない。品種により種の大きさは大きく異なっていた。1番大きなものは小さなものの5倍もの重さがあった。

参考文献
L.A.Nelson Technique for crossing Proso millet Nelson,L.A.1984 Crop Science 24 205-206.
俣野敏子 2001.キビ.秋田ら著 作物学T 文永堂 160-162.



Summary

Proso millet(Panicum milaceum L.)19 cultivars were sown. One pot was fertilized with 0.5g of nitrogen. The growth process was observed and promising cultivars were crossed.
In growth process, although no difference was observed for germination, the difference for heading was seen.
Choosing the line that is likely to bloom, and artificially blooming by rubbing a bud, the stamen was removed. Pollen parent, which likely to bloom, was chosen and pollinatede to the previsously emasculated line. This was performed for several lines and seeds were harvested. The average of the parents who were emasculated was 23.88 and the average which set seeds was 6.12. Moreover, F1 plants crossed between tall parent and low parent were grown to check selfing. It grew and the seeds were harvested. It can be said that crossing was successful.

第1表 使用した品種
1 B8忠州郡産 	11 WIR9652 
2 B10壇黍	12 WIR9756
3 B13永同郡山村面産 	13 WIR9874
4 B14永同郡陽山面産	14 WIR9994
5 B19半黒糯	15 92−424
6 B37三川系2号	16 92−474
7 B51白黍	17 Huntsman Intr.fr of Neb     
8 B64黍信濃1号	18 コキビモチ
9 B72伊那在来1号	19 鎮川郡分白面産
10 B74伊那在来2号	20 猫足(あわ)


第2表 発芽率
No.	発芽率
1	46.7%
2	87.5%
3	92.3%
4	92.3%
5	100%
6	94.4%
7	100%
8	64.3%
9	100%
10	100%
11	35.7%
12	100%
13	100%
14	100%
15	100%
16	93.3%
17	66.7%
18	100%
19	100%
20	100%

第3表  出芽日と出穂日(播種日 5.6)
N0.	出芽日	出穂日
1	5.14	
2	5.14	7.3
3	5.14	7.10
4	5.14	7.29
5	5.21	
6	5.14	6.18
7	5.11	
8	5.14	7.26
9	5.11	7.26
10	5.14	7.26
11	5.14	6.18
12	5.11	6.18
13	5.11	
14	5.11	6.16
15	5.14	6.19
16	5.14	
17	5.11	6.8
18	5.14	7.26
19	5.14	7.26
20	5.11	

第4表 交配した品種と収穫種数
母本	雄親	除雄数	収穫種数
1	10	13	4
1	19	11	3
2	12	42	17
3	 4	13	 6
3	18	13	 0
4	 3	 3	 0
4	 7	76	11
4	10	11	 1
4	18	 6	 1
6	12	23	 6
7	19	21	10
8	 4	14	 6
8	16	13	 3
9	 1	18	 8
9	16	 9	 5
9	18	46	25
10	 8	 7	 1
10	 9	18	 2
10	16	 3	 0
11	12	37	 7
12	 6	13	 6
12	12	 7	 2
12	14	31	11
12	16	42	 9
14	16	37	 0
15	11	81	32
15	14	 6	 2
15	15	 8	 2
15	16	14	 2
16	12	84	22
16	14	19	 1
18	1	10	 0
19	3	49	 7
19	4	14	 3

第5表 収量構成要素
	穂数	草丈(cm)	100粒重(g)
1	4	116.0	0.54
2	3	132.5	0.73
3	3	132.3	0.15
4	4	136.0	0.40
5	4		
6	6	110.0	0.74
7	4	175.0	0.40
8	1	152.0	0.49
9	2	140.6	0.52
10	2	141.0	0.50
11	6	103.3	0.63
12	9	99.0	0.74
13			0.36
14	3	98.0	0.55
15	7	131.0	0.70
16	5	118.2	0.76
17	5	81.0	0.64
18	1	136.8	0.48
19	2	150.6	0.52
20	1	126.6	0.25

第6表 F1の出芽日と出穂日(播種日 9.23)
No.	出芽日	出穂日
1	10.8	11.2
2	10.8	11.2
4	10.8	11.2
7	10.8	11.2
9	10.8	11.12
12	10.8	11.2
16	10.8	11.2
19	10.8	11.2
2×12	10.8	11.22
4×7	10.8	11.5
7×19	10.8	11.5
9×1	10.8	11.22
9×16	10.8	11.22

表7 F1の収量構成要素
No.	穂数	草丈(cm)	収穫数
1	3	57.0	45
2

	2
2
1	60.9
50.4
47.6	144
29
98
4
	2
2	51.0
49.6	255
100
7
	2
1	52.2
56.6	135
182
9	4	62.4	199
12	1
2	68.0
50.0	184
185
16	6
4
4	33.9
35.8
41.2	35
38
56
19	4	74.2	105
2×12	3
4
3
4	30.4
35.8
31.6
26.2	31
58
15
27
4×7	4	72.2	91
7×19	3
4	45.6
80.2	78
156
9×1	1	29.8	65
9×16	5
2	82.8
83.2	114
52






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