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藤井敏男 (みつる植物研究所)

2006.3修了

学位論文要旨 (本文PDF 1.0MB)

発表論文
1.アジサイ属におけるアマチャの特性. 藤井敏男・吉田智彦.日作紀 74(1): 52-57(2005)
要旨:アマチャ新品種の育成ならびに栽培法の確立を目指すため,まずアマチャがアジサイ属の中でどのような特性をもつものかを知ろうとした.供試品種はアマチャ (Hydrangea macrophylla Ser. var. thunbergii Makino)やアマギアマチャ (Hydrangea macrophylla Ser. var. amagiana Makino) などのアマチャ群の4品種を含むアジサイ属の代表的な25品種である.栽培特性,フローサイトメーターによるDNA量,根端細胞観察による染色体の調査,およびSSR分析を行い,それらに基づき主成分分析も行った.この結果,アマチャ群の品種の特性は他のアジサイ属品種と比較的似ており,アジサイ属の中でとりたてて変わったものではないことが認められた.しかしアマチャ群の品種間でも染色体数に変異が見られ,また収量を構成する葉数や生育に適する光の強さなど実用上意味のある差異が見られたことから,アマチャ群の品種間およびアジサイ属品種との交雑や倍数性育種による多収高品質の新品種育成の可能性が示唆された.

2.フィロズルチン含有量の多い甘茶品種の育成.藤井敏男・吉田智彦.日作紀 75:306-310(2006)
要旨: 高品質の甘茶品種育成のため,まず甘味の主成分であるフィロズルチンのHPCLを使用した簡易分析法を開発し,分析時間を短縮して1日当り従来約20点だったものを50点分析可能とした.分析精度は育種のためには十分であった.アマチャ群の品種を用いた交配を行い,50ppmジベレリンの播種直後散布,液肥の葉面散布などで健全苗を多数得た.アマチャ×アマギアマチャの組み合わせの交配後代で,1株当たり生葉重,フィロズルチン含有率,1株当たりフィロズルチン量は頻度が連続的な正規分布であり,多数遺伝子によって支配されていることが推察された.1株生葉重やフィロズルチン含有率は多くが両親の間に分布したが,1株当りフィロズルチン量では両親を上回るものが多数あった.生葉重とフィロズルチン含有率との相関はなく,生葉重とフィロズルチン含有率の両方の値が高く,その結果1株当たりフィロズルチン量が両親を大きく上回る系統が比較的容易に得られたものと思われる.フィロズルチン含有率の年次間相関は高かった.

3.うどんこ病に抵抗性のアマチャ系統の育成.藤井敏男・吉田智彦.日作紀 75:554-556(2006)
要旨:アジサイ属に属する西洋アジサイのブルースカイとアマチャ向け品種であるアマギアマチャの交配組み合わせから,甘味成分を持ち,草型が優れ,2倍体で稔性も良いと思われるうどんこ病抵抗性系統を育成した.この系統は甘茶向け品種のうどんこ病抵抗性育成を行う際に母本として有用である.



修士相当と認定された研究上の成果

1.成果名
  大麦縞縞萎縮病への耐病性ビール大麦新品種の育成

2.成果の概要
  1971年から1986年まで15年間にビール大麦新品種ミホゴールデン,ヤシオゴールデン,ミサトゴールデンの育成を行った.とりわけ,大麦縞萎縮病抵抗性品種のミサトゴールデン育成では交配から品種登録までの全期間を担当した.

 栃木県はビール大麦の大生産地であるが,1970年代から大麦縞萎縮病が多発し,収量や品質に多大の被害をもたらしてきた.本病は土壌伝染性のウイルス病であり,土壌消毒による防除が一部なされてきたがその効果は充分ではなく,環境汚染の問題もあった.

 まず,栃木県の主産地における縞萎縮病の発病及び被害の実体の解明と,それにもとづく被害拡大の予測を行った.その結果,唯一の解決法は抵抗性品種の育成であると考えられた.そこで,縞萎縮病抵抗性遺伝子を持つ品種との交配,後代系統での耐病性,収量,品質などでの選抜,中間母本育成,中間母本への戻し交配,およびこのサイクルの繰り返しによって大麦縞萎縮病抵抗性で良質多収品種の育成を行った.さらに,抵抗性品種導入の必要性を研究者はもとより,生産者,流通団体,買い入れ業界(ビール会社),市町村,県,国の行政関係者,政治関係者などに知らしめ,世界で初の大麦縞萎縮病抵抗性品種の実用化へ向けての合意を形成した.

 その結果,ミサトゴールデンが栃木県のみならず,関東地方のビール大麦生産地に普及され,主産地が壊滅的な状況から復興した.

 さらに,発病ウイルスの分化による抵抗性品種の罹病化に備え,既存の抵抗性遺伝子と異なる抵抗性遺伝子を持つ中間母本を育成した.この中間母本を用いて現在の最新品種であるスカイゴールデンが育成され,抵抗性遺伝資源の拡大に寄与した.

 この業績に対して,県知事表彰(個人)と日本育種学会賞(グループ受賞)が与えられた.

3.該当の業績一覧
育雑 31(別1):20, 同 34(別1):306,308.
栃木農試報32:43−64.
農業技術 42(9):397−400.
農業技術大系 追録6,作物編4,技 226−232.
<参考>
九州農業試験場報告 26巻(平成2年)二条オオムギ新品種「ニシノチカラ」について
 鶴政夫・河田尚之・堤忠宏・北原操一・藤井敏男・鈴木崇之・佐々木昭博
福岡農総試研報A- 6:17−24(1987) 二条大麦新品種「ニシノゴールド」の育成
    伊藤昌光・浜地勇次・古庄雅彦・篠倉正住・北原操一・藤井敏男・鈴木崇之
栃木農試報44:(1996)晴れすがたの育成.大谷ら
ヤシオゴールデンの育成.瀬古秀文ら
ヤチホゴールデンの育成.宮川三郎ら

写真集
アジサイ収集; 熱唱; 熱唱2; お店1; お店2; 案内状

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