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穴澤拓未

発表論文
1.ワイルドライスの生育及び収量性.穴澤拓未・吉田智彦・栗田春奈.日作紀 76(1):52-58(2007.1).
要旨:ワイルドライス(Zizania palustris L.)は湛水条件下で生育するので,休耕田対策の作物として導入することが考えられる.草丈は水稲よりやや高く,穂数は多く,多収の可能性があった. 畑条件では根が成長に十分な養水分を吸収できずに枯死した. CGRは生育期間の前半ではLAIが大きく寄与しており,後半ではNARに支配される傾向を示した.太陽エネルギー利用効率は最大で2.1%であった. 子実収量は2年平均で141kg/10aであった.導入した集団の選抜を行い,早生・晩生系統,短稈・長稈系統を作出した.根,茎および葉に破生通気組織が観察された.その他の諸形態でイネとの共通点が多く認められた.ワイルドライスの花粉飛散量は晴天では午前中に最大値を示し,晴天時に比べ,曇天時は花粉の飛散するピークの時間帯が遅くなった.自家受粉率は4.7%であった.

途中経過のまとめpdf

研究課題名; ワイルドライスの生育及び収量性に関する研究
近年,減反政策に伴う休耕田の増加を背景に,休耕田対策の作物の試作が各地で行われている.その1つとして,ワイルドライスはいくつもの有望な性質を備えている.まず,湛水条件下で生育できるため,水田栽培の可能性が高い.また,水田を湛水状態で使用できるため,新規投資をほとんど必要としないというメリットがある.さらに,ワイルドライスの子実は栄養的価値が極めて高く,健康食品としても注目されている.日本での販売価格も白米のおよそ5倍〜10倍という高級食材となっている.日本で販売されているワイルドライスは全て北米などからの輸入によるもので,国産ワイルドライスの商業的な栽培は報告されていない.また,ワイルドライスはイネの生育しない寒冷地の湿地に生えやすいので将来の穀物資源として注目される.そこで修士課程に引き続き,ワイルドライスに関してその特徴の解明,栽培化に向けての形質の改良および普及の可能性について検討する予定である.

初年度は,宇都宮大学峰キャンパス水田において,実際の栽培で求められるワイルドライスの肥料感応性,及び殺虫剤・除草剤など薬剤耐性の試験を行う.肥料感応性に関しては,おもに窒素成分が収量に与える影響について検討する.2004年,2005年の圃場試験ではイネミズゾウムシおよびアブラムシの発生が認められたため,それらの防除を目的とした殺虫剤について検討する.雑草についてもコナギ・オモダカ・クログアイ等の発生がみられたため,除草剤の種類や使用量,及び薬害に関する試験を行う.また,ワイルドライスの収量や収穫時などの作業性の向上を目的として,草丈・出穂期の早晩・脱粒抵抗性について検定し,優良系統の選抜を試みる.成長解析についても継続して行う.

2年目は,日本におけるワイルドライスの2期作の可能性を検討するため,移植期の異なる試験区を設けて生育や収量に与える影響を検討する.脱粒抵抗性における優良系統の選抜は引き続き行う予定である.さらに,ワイルドライスにおける培養技術の確立を目的として,胚培養および葯培養について試験を予定している.基本培地として,MS培地・B5培地・N6培地・SH培地について検討する.特に,ワイルドライスをカルスより再分化させるために,サイトカイニン類やオーキシン類の種類や濃度,また糖や培地固化剤の種類及び濃度について検討する.また,ワイルドライス品種K2,Netum,M3,Meter,Voyagerなどについて,分子遺伝学的な変異を調査する.

3年目は,1年目,2年目で見出された課題に関して検討する.選抜した優良系統についてはその選抜効果を評価する.2年目における培養試験で再生植物体が得られた場合には,ポットに移植し,その生育を調査する.また,宇都宮大学付属農場水田において,10a規模における生育および収量性の検討を予定している.

修士論文名
ワイルドライスの生育及び収量性に関する研究

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