アグリ支援機構 宇都宮大学農学部

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コラム
森林のパイオニア・赤松

  アカマツは裸地などに最初に進入する先駆樹種(パイオニア)である。他の代表的な針葉樹のスギやヒノキと比べると、繁殖力、成長力が格段に優れ、自然状態で放置してもどんどん勢力を伸ばすことができる樹種であり、スギ、ヒノキなど人間が植林し保育することで拡大してきた樹種とは性格が違う。  

ゴミ袋対策実験中の様子とカラス

(烏ヶ森公園の赤松林 かつての那須野が原の風景を残している)

●マツと日本文化

マツは日本の生活のさまざまな道具や場面で登場するので、知らない人はまずいない。日本の里山におけるマツ林の盛衰は、日本文化の発展と変容に大きく左右され、また農村・里山の景観形成に大きく影響を与えてきた。

しかし日本各地の古代遺跡から出土する樹木の材遺体からは、マツはほとんど見当たらない。その後の有史以来、マツは日本人とは切り離せない存在となる。飛烏時代の6l7世紀にかけて、マツが目立ち始める。この時期は日本文化が急速に発展した時と一致する。その後の王朝時代、封建時代、明治、第二次世界大戦までマツ林は日本人の物質・エネルギー源として日本文化の原動力になっていた。まさにマツ林を含む森林は日本文化の石油であった。

日本文化史の中で、近年日本各地のマツクイムシなどによるマツ林衰退ほど劇的な変化はない。日本入の生活が森林から離れ、生活に一番身近なマッ林が燃料革命によって必要とされなくなり、植生遷移によってマツ以外の樹種が急速に進入し始め、マツ林生態系全体が変質したことが原因にある。

 

●アカマツ

  栃木にもアカマツの素晴らしい並木がいくつか残され、その保護活動が行われている。その一つの例として県北の那須高原線沿いの塩那森林管理署管内国有林101林班のマツ並木の保護活動がある。

絶滅危ぐ種オオタカの営巣環境を持続できるマツ林の取り扱い方が、その国有林を管理する森林管理署と地元民間非営利団体(NPO)のオオタカ保護基金との間で検討されている。従来のアカマツ林での良質柱材生産を目指した森林の取り扱いと大きく違う試みである。

不良木として良質材生産から見捨てられた太く曲がったアカマツの大木がオオタカの営巣可能木としてこの森では将来的に重要視されていく。長く続いたマツ林文化が崩壊した今、新しいマツ林の取り扱われ方のモデルとなる試みである。

 
掲載
(2004年9月28日 下野新聞掲載)
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