アグリ支援機構 宇都宮大学農学部

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コラム

リモートセンシング

 

栃木県では県土面積の約55%と半分以上を森林が占めています。県北西部の日光地域、北東部の八溝地域などの山間部だけでなく、平野部にも多くの平地林が存在しており、森林は県民にとって身近な存在だといえます。

では、本県の森林にはいったい何本の木が生えていて、それが過去・現在・未来にわたり、どのように推移し、変化していくのでしょうか。

 


ゴミ袋対策実験中の様子とカラス

●継続的な調査

森杯の価値を正しく理解し、適正に管理するには、まず森林の位置、樹種、状態などを把握し、継続的に調査していくこと(森林モニタリング)が重要となります。

しかし、森林は空間的に見ると世界の陸地の約3割、日本の国土の約七割と、広大な面積に分布しています。また、時間的に見てもその成育には、長い年月がかかります。このように空間的に時間的にもスケールの大きい対象を継続的に調査することは非常に困難なことです。

私はリモートセンシング技術による、森林モニタリング手法開発の研究を行っています。リモートセンシングは元来、軍事用に開発されてきたもので、航空機や人工衛星に搭載されたセンサーによって地上を広域かつ定期的に観測する技術です。

1980年代のアマゾンの熱帯雨林大規模伐採や、近年のインドネシア、シべリアの森林火災などはリモートセンシングによる森林モニタリングで、初めてその規模や状態が把握されました。

また、京都議定書に関連した二酸化炭素吸収源に関しても、地球規模でリモートセンシングによる森林モニタリングを行うことが必要とされています。

 

●1本まで識別

 

現在は本県の森林を対象に、最新のセンサーで観測されたデータを使って研究を進めています。

航空機などから地表に赤外線レーザーを当てるやり方で、その反射時間から地表面の形状を測定するものです。このレーザーは樹木の葉や枝のすき間から地表面にも届き、樹冠の下の地表面形状も測定できるので、樹木の本数、形状や高さを測ることも可能です。

さらに、樹木で反射や放射される、さまざまな波長帯の電磁波が人工衛星のセンサーでも測定されています。こうした反射・放射は樹種や森林の状態によって異なり、樹木1本1本を十分に識別できる解像度を持っています。そこで、赤外線レーザーによる結果と合わせれば、森林の樹種や資源量、状態を把握することができます。

本県にどのような樹種の木が何本生えているのか、宇宙から数えられる時代がいずれくるかもしれません。もしかしたらあなたがどこで何をしているのかも…。

 
掲載
(2004年7月19日 下野新聞掲載)
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