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研究室紹介

イチゴの硬さを触れずに測る

イチゴの果実硬度推定方法の開発:(その1)果実硬度と関連する物質の関係

所属 附属農場
研究室名 農作業環境工学研究室
担当教員氏名 柏嵜 勝
E-mail mkashiwa@cc.utsunomiya-u.ac.jp
はじめに

イチゴは軟弱な菜果ですが、消費地拡大のため長距離輸送化が進行し、輸送過程での損傷発生が問題になっています。輸送損傷対策として生産現場では輸送時振動に強い果皮の硬いイチゴが好まれています。しかし、農産物の硬さは対象を破壊しなければ把握できません。
本研究は、イチゴの流通品質の向上を目指し、イチゴ果実硬度を非接触で推定する方法の開発に取り組み、将来輸送に適さない柔らかいイチゴを選別して流通品質向上への貢献を目標としています。

 

研究の着眼点と方法

本研究では、イチゴの果実硬度の主要因として細胞壁、特にその主な構成成分である細胞壁多糖類のセルロース、ヘミセルロース、ペクチンに注目しました(図1)。セルロースは物理的強度が大きく、細胞壁の強固な性質の大部分を担い(桜井ら, 1991)、ヘミセルロースは生長を制御する働きがあり、セルロースなどと相互に作用して結びついています(桜井ら, 1991)。また、ペクチンは植物組織中の構成成分や中間層の主成分として組織や細胞間に接着力と安定化をもたらしています(辻, 1997)。
また、果実硬度の非破壊測定方法については、イチゴ果実は果皮が軟弱であり、センサなどによる接触が不可能なため、光を用いて測定する方法(分光分析法)を採りました。一般的に、分光分析法は物質の官能基の特定などに用いられ、果実硬度のような物理量を直接推定することはできません。
本研究では、イチゴの果実硬度と細胞壁多糖類の関係を明らかにしました。この成果を用い、イチゴの表面反射光の分光スペクトルからイチゴ果実硬度推定モデルを開発します。

 

 

研究成果

ペクチン類の含量とイチゴ果実硬度の関係を明らかにしました。先ずイチゴ果実の果皮の貫入硬度を測定し、次いでAIS抽出法によりHSP、HXSP、WSPなどのペクチン類を抽出・定量しました(図3)。イチゴ果実の着色(成熟)に伴い、果実硬度が低下し、全ペクチン含量が6割程度に減少し、特にHSP含量は4割程度に激減しました(図4)。また、ペクチン類と果実硬度の関係ではHSPが最も相関が高くR=0.90**(**:1%水準で有意)でした(表1)。さらに、HSPは収穫年、着色度合いに関わらず果実硬度との相関が高いということが分かりました。

 

関連論文・文献

[論文]

  • 柏嵜 勝、永末 健、五月女英平、中島教博、大森定夫、「イチゴ果実硬度の非破壊測定に関する基礎的研究(第1報)―果実硬度と細胞壁構成成分の関係―」、農業機械学会誌、69(6)、49-56、2007

[文献]

  • 植松徳男:1998:イチゴ栽培の理論と実際:誠文堂新光社
  • 稲荷妙子, 竹内徳男:1997:イチゴ果実の成熟におけるペクチンの変化:日本食品科学工学会誌
  • 加藤陽治, 伊藤聖子, 渡辺敏幸:2001:果実類の水不溶性食物繊維の多糖構成:弘前大学教育学部紀要
  • 桜井直樹, 山本良一, 加藤陽治:1991:植物細胞壁と多糖類:培風館
  • セルロース学会:2000:セルロースの辞典:朝倉書店
  • 辻啓介, 森文平:1997:食物繊維の科学:朝倉書店,
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