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農学部について
雑草と里山の科学教育研究センター
小寺 祐二

講師

小寺 祐二

こでら ゆうじ

自然生態系の保全や野生動物と人の軋轢解消を目指す野生動物管理学に取り組んでいます。野生動物の生態学的分野だけではなく、人の意識など人文社会学的分野も研究対象です。

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イノシシの基礎生態

写真1-1.狩猟により捕殺された個体
図1-1.イノシシの胃内容物占有率の季節的変化

イノシシによる農作物被害は全国的に拡大しており、社会的課題となっています。それにも関わらず、本種の基礎生態に関する研究は遅々として進んでいません。この状況を解消するため、消化管や生殖器などの分析による食性や栄養、繁殖状態の評価や、週齢分析による個体群評価に関する研究を進めています。
捕殺個体を用いた研究(写真1-1)で、イノシシは植物食を中心とした雑食性で、植物体の地下部分を基礎的食物としつつも、栄養価が高い食物項目を季節的に採食していることを明らかにしました(図1-1)。また、栄養状態は夏期に低位となり、秋~冬期にかけて改善されることや、低頻度出生期間が年7ヶ月程度存在することも明らかになりました。

自然生態系保全や人との軋轢解消のための応用研究

写真2-1.発信機を装着したイノシシ
図2-1.人為的給餌によるイノシシの行動圏の変化

森林内での人為的給餌がイノシシの活動に及ぼす影響について把握するため、野生個体を生捕して発信機を装着し、追跡調査を実施しました(写真2-1)。その結果、イノシシの行動圏内に給餌すると、個体の活動が給餌地点と休息場所を往復する単純な様式に変化し、行動圏が半分程度に縮小することが明らかになりました(図2-1)。これにより不適切な箱罠の運用が被害を誘発する危険性も分かりました。
このほか,原発事故によるイノシシへの影響に関する調査も実施しています。

文献リスト

  1. 小寺祐二・竹田努・都丸成示・杉田昭栄 2012 週齢査定によるイノシシ Sus scrofa の出生時期の推定.哺乳類科学,52:185-191.
  2. 上田剛平・小寺祐二・車田利夫・竹内正彦・桜井良・佐々木智恵 2012 日本の狩猟者はなぜ狩猟を辞めるのか? -狩猟者の維持政策への提言-.野生生物保護,13:47-57.
  3. 小寺祐二・長妻武宏・澤田誠吾・藤原悟・金森弘樹 2010 森林内の給餌はイノシシ(Sus scrofa)の活動にどの様な影響を及ぼすのか.哺乳類科学,50:137-144.
  4. 小寺祐二 2009 イノシシ Sus scrofa による農作物被害への対策とその課題.生物科学,60:94-98.
  5. 小寺祐二 2011 イノシシを獲る ワナのかけ方から肉の販売まで.農文協(編著).
  6. 小寺祐二 2010 人間社会とイノシシ -西日本における変化と獣害.日本列島の野生生物と人(池谷和信 編),pp217-234.世界思想社(分担執筆).
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