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農学部について
農学部応用生命化学科・大学院農学研究科生物生産科学専攻応用生物化学講座
飯郷 雅之

教 授

飯郷 雅之

いいごう まさゆき

体内時計、季節繁殖、回遊などの本能的脳機能がいかにして調節されているのかを明らかにするため、ホルモン、神経伝達物質、受容体、転写因子などさまざまな生体物質が作り出すネットワークを対象に研究を進めています。

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体内時計、季節繁殖、回遊などの本能的脳機能(低次脳機能)の解析

本能的脳機能の制御機構
那珂川に棲息する両側回遊性アユの生活史

脳機能の研究が重要であることは言を待ちません。記憶・学習など「ヒト」を「人」たらしめる脳機能(いわゆる「高次脳機能」)研究に世間一般の眼は向きがちですが、農学においては、より効率的に生物生産を行うための基礎研究として本能を司る脳機能(ここではあえて「低次脳機能」と呼ぶ)を解析することが重要です。摂食、代謝・成長、体内時計(生物時計)、生殖、渡り、回遊など、本能的生物機能の調節には低次脳機能が深く関与しています。私たちは、様々な生物の体内時計、脊椎動物の季節繁殖、アユやサケの回遊、性格関連遺伝子などを対象に研究を進めています。
ラジオイムノアッセイによるホルモン測定、次世代シーケンサーによる網羅的遺伝子解析、バイオイメージングなどを活用して、ホルモン、神経伝達物質、受容体,転写因子などさまざまな生体物質が作り出すネットワークの解明を目指しています。

魚類が日の長さの変化を感じる「季節センサー」を発見!

サクラマス血管嚢における遺伝子発現
Samuel Collins 著『A Systeme of Anatomy』 (1685)

サケ科魚類は秋に川を遡って(遡上)産卵しますが、季節の変化を体のどこで感知して、繁殖を制御しているかは謎に包まれていました。サケ科のサクラマス(ヤマメ;Oncorhynchus masou masou)の0歳の雄魚の中には海に下らず河川に留まって1歳で成熟する早熟雄が存在し、その生殖腺発達が日の長さの短縮によって促進されることを利用して研究を進めました。その結果、脳の腹側に位置する血管嚢(saccus vasculosus)の王冠細胞(coronet cell)に、さまざまな光受容体遺伝子や、季節繁殖の鍵分子である甲状腺刺激ホルモン(TSH)、2型脱ヨード酵素(DIO2)が発現して、日の長さの変化を感知し、季節繁殖を制御する「季節センサー」として働いていることを明らかにしました。血管嚢は1685年に英国で出版されたSamuel Collins著『A Systeme of Anatomy』に描かれて以来、300年以上にわたって、その働きが謎に包まれていた器官です。

文献リスト

  1. Nakane Y, Ikegami K, Iigo M, Ono H, Takeda K, Takahashi D, Uesaka M, Kimijima M, Hashimoto R, Arai N, Suga T, Kosuge K, Abe T, Maeda R, Senga T, Amiya N, Azuma T, Amano M, Abe H, Yamamoto N, Yoshimura T (2013) The saccus vasculosus of fish is a sensor of seasonal changes in day length. Nature Communications 4: 2108.
  2. Nakao N, Ono H, Yamamura T, Anraku T, Takagi T, Higashi K, Yasuo S, Katou Y, Kageyama S, Uno Y, Kasukawa T, Iigo M, Sharp PJ, Iwasawa A, Suzuki Y, Sugano S, Niimi T, Mizutani M, Namikawa T, Ebihara S, Ueda HR, Yoshimura T (2008) Thyrotrophin in the pars tuberalis triggers photoperiodic response. Nature 452: 317-323.
  3. Yoshimura T, Yasuo S, Watanabe M, Iigo M, Yamamura T, Hirunagi K, Ebihara S (2003) Light-induced hormone conversion of T4 to T3 regulates photoperiodic response of gonads in birds. Nature 426: 178-181.
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